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カテゴリ:読んだ本
訳:羽田 節子
2006年9月 (株)福音館書店より 作者ジェラルド・ダレル(1925-1995)は英国のナチュラリスト。 動物園の飼育助手をした後、21歳の時に父の遺産3000ポンドを手にして、 動物園のための動物採集家となる。 1947年、22歳の時にカメルーンへの採集旅行へ出発。 帰国して5年後の1953年、その採集旅行のことを書いた「積みすぎた箱舟」を出版。 1959年にはジャージー島に動物園を作り、絶滅危惧種の繁殖を目指す。 次いで、ジャージー野生動物保護財団を設立して、繁殖個体を野生に帰し、 国際訓練センターを開いて100ヶ国2000人に上る保護活動の担い手を育成した。 生涯に42冊の本を著し、そのうち日本語訳されたものは16冊。 動物保護の活動と動物文学への貢献により、イェール大学・ダラム大学・ケント大学から 名誉博士号を贈られている。 また、ケント大学にはダレル自然保護生態学研究所が設けられている。 という自然保護論者のパイオニアであるジェラルド・ダレルが、初めて行ったカメルーンへの 採集旅行の様子を描いたノンフィクションです。 この旅行の採集動物には大型肉食動物はおらず、一番大きくてヒヒ。 その他、哺乳類、鳥、爬虫類、昆虫など様々な生き物を採集しています。 筆者自身が序章で述べているんですが、それまでの野生動物の採集については 間違ったイメージが描かれている、とのこと。 「敵意に満ちた部族や獰猛な動物に出会って1日に20回も死の危険にさらされる旅などないし、 かといって、1日中椅子にふんぞり返って、仕事は全部『黒人』にやらせるという状況も ありえない」 なるほど~。 私が子供の頃に読んだそれっぽい本は、探検家がアフリカのジャングルに押し入って ライオンやトラと戦う話でしたよ。 動物採集の話じゃなかったと思いますが、どうしてもそういうイメージが先行しますね。 ダレル氏は現地人と仲良く付き合い、現地人ハンターと一緒に自ら採集に出かけたり、 あるいは人々が持ち込んでくれる動物を買い上げたりします。 そして、集められた動物の世話をし、その100匹以上の動物を生かしたままイギリスへ 連れ帰るのです。 この本には、その様子が淡々と、でもだからこそおもしろく描かれています。 捕まえた猛毒を持ったヘビが檻から逃げた時でも、危険から逃げることよりも、もう一度 捕獲することを優先させるダレル氏。 氏の動物への深い愛情が伝わってきます。 ただ、私的にはサスライアリの群れにキャンプ地が襲われるところなどは ものすっっごい怖かったですが。(^^; タイトルは採集旅行から帰る船の中での、ダレル氏と相棒のジョンとが 100個以上の動物の檻を見ながら、 「ノアがカメルーンで集められる動物だけを乗せたとしても、箱舟は積み過ぎだ」 と会話するところから。 面白い本でした。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.10.08 09:42:28
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