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2007.04.18
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カテゴリ:読んだ本
訳:立花 隆
平成10年7月1日 新潮社より。

1970年4月、宇宙に出てからの船体トラブルに見舞われたアポロ13号が、
予定していた月面着陸を諦めて、地球に帰還するまでを描いたノンフィクション。

トラブルがすごいです。
2つあった酸素タンクが2つともダメになり、3つあった燃料電池の2つがダメになり、
電力供給ラインの1つが機能停止。
燃料電池がダメになったことで、エネルギー源が極めて少なくなり、
そのために水の供給が通常通り行われなくなり、酸素も作られなくなる。
3人の宇宙飛行士達は寒さと脱水症状、疲れ、精神的なストレスに苦しみながら
地上管制官達と力を合わせて、地球を目指します。

エネルギーが少ないので、ほんのわずか船体の角度を変えるための噴射も
計算に計算を重ねて、慎重に行わなければならない。
なのに破損した着陸船から漏れる水蒸気のせいで、船体角度が少しずつズレていき、
これ以上ズレが大きくなったら、地球の大気圏再突入ができない。
しかし、宇宙飛行士達はもちろん、指示を出す管制官にも水蒸気が原因とは
その時にはわからないので、その場でできるギリギリの決断を出すしかない。
緊迫の現場です。

事故が起こった原因自体は、人災に近い印象も受けます。
1969年7月にアポロ11号が月面着陸に成功した後、NASAの宇宙開発事業は
比較的順調に進んでいたらしいです。
そのための油断というか、用心が不足した故の事故、という感じ。

ただ、この頃の宇宙飛行士も地上管制官もみんな若いんですよね。
「宇宙開発の技術そのものが若かったのだ」とは筆者の言葉。
その未熟な技術で、それでも宇宙を目指す勇気は賞賛に値すると思います。

印象的なシーンとしては、トラブル後の宇宙船が地球に帰るにあたり、
地上管制官が今ある宇宙船の資源でやりくりするためのチェックシートを作成するところ。

チェックシートというのは『Aをする。Bをして、数字がXXになることを確認する。
確認したらCをする』といった、まあ無事に宇宙船を動かすための手順書みたいなものです。
通常のチェックシートはもちろんある。
あるけど、全然使えないから、新たに作るわけです。
で、管制官達が作った手順書を見ながら、宇宙飛行士達が操作を行う。

見ながらの操作のためには、宇宙飛行士達の手元に手順書がなければなりませんよね。
どうやって届けるか?

音声通信で地上管制官達が読み上げるのを、宇宙飛行士達が手で書くんですよ!
2時間とか3時間とかかけて、今ある手順書の余白を使って。

人類ってスゴい・・・・・。

専門用語が多くて、ちょっと理解しにくい部分もありますが、緊迫感は伝わります。
なかなか興味深い1冊。






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Last updated  2007.04.18 12:44:44
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