1984年単行本として発刊。
2002年6月 (株)光人社より。
筆者・小板橋氏は昭和15年に20歳で海軍に入隊。
昭和19年10月「大和」に乗船しており、レイテ沖海戦で敵の爆撃を受けて重傷を負い、
これにより艦を降りることとなり、結果として終戦まで生き延びた人です。
その時の爆撃で体内に「大和」の破片が入り、今でもそのカケラが残っているとのこと。
生涯消えることのない凄絶な戦闘の情景、血みどろで死んでいった戦友達の痛哭の一里塚として
体内にとどめておきたい、という意思の元に摘出せずにあるそうです。
敗戦前の日本軍の不条理で差別的な体質、使い捨てのように命を失っていく下級兵士の様が
淡々と綴られています。
その状況を読むと悲惨な限りなんですが、その悲惨さが殊更強調されない。
淡々としているんだけど、真面目で勤勉な筆者の性格や、他人の助けに対する感謝の心、
若々しく熱い感情などが伝わってきます。
戦時下という人の死が当たり前のような異常な状況にあっても、それでもこの時代を生きた筆者の
これが青春だったのだろうか、と思わせる本でした。