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2002年04月 新潮社より
四国は讃岐の吹けば飛ぶよな小藩が、この法螺噺の舞台です。 ご案内役は、お江戸で鳴らした幇間(たいこもち)。 相方を務めますは、お武家の次男、俗に言う冷飯ぐい。 でも、この男、暇のつぶし方が、なんだか飄々としております。 藩のしきたりも、すこぶる妙です。 そんな冷飯ぐいどもが、何の因果か、藩の命運を背負うことになったから、さあ大変。 繰り出すあの手この手に思わず唸る大江戸笑劇の快作! (裏表紙 紹介文より) 一連のシリーズの中の最初の1冊。 順番としては「風流冷飯伝」「退屈姫君伝」「面影小町伝」「真田手毬唄」となります。 更にまだ読んでいませんが、「おんみつ蜜姫」「退屈姫君 恋に燃える」「おたから蜜姫」 「退屈姫君 これでおしまい」とあるようです。 舞台は讃岐の風見藩。 登場人物は太鼓持ちの一八(いっぱち)と、風見藩の冷飯食い・飛旗数馬(とびはた かずま)。 一八はお仙の兄。 「退屈姫君伝」でお仙が、倉知政之助と共に讃岐へ遠国御用に行った兄・一八が 帰ってこないので、行方を捜していると言っていましたが、 その遠国御用の時の話です。 数馬は風見藩の藩士・飛旗隼人の双子の弟。 兄は仕官していますが、次男である数馬は無職の冷飯食い。 貧乏な風見藩にある奇妙な風習の中で、一八と数馬がほのぼのとした事件の中で 交流を深めていく話です。 以下、ネタバレとなりますので間を開けておきます。 風見藩には変わった風習がいろいろあります。 先々代の藩主・時羽光晴(=光猶院(こうゆういん))が変わり者で、いろいろ決めたもの。 城が見える場所では、城を見ながら男は左回りに、女は右回りに通りを歩かねばならないとか、 将棋・囲碁を長男はしてはいけない、とか。 何でそんな歩き方になったか。 城は元々山に向かって建っていて大手門も山方向に開いていたのが、 貿易に力を入れたいと、港のある海に向かって改築しました。 改築には幕府の許可がいるので、門の改修をしたいと申し出て、まず門の場所を変更。 その後、門の位置に対して城の向きが逆だと不便なので、城の向きを変えたいと申し出る つもりでした。 素直に城の向きを変えたいと言ったら、許可されないかもと思ったのです。 しかし思惑がバレて、小賢しいと思われたようで、幕府から 「城の向きと逆に門を作って、日頃から足腰の鍛錬をするのは感心である」 と先に言われてしまい、城の向きを変えたいと言えなくなってしまった。 がっかりした光猶院はじっと通りを歩く民達を眺めていたが、 男は左回り、女は右回りを申しつけたのが始まりです。 なんじゃ、そりゃ。 何か深謀遠慮でもあるならともかく、ただのはた迷惑ですよ。(^^; で、城の向きを変えることはどうも風見藩の悲願になったのか、 今の藩主である時羽直重が、将棋好きの将軍・徳川家治に賭け将棋を挑んだのです。 勝ったら、城の向きを変える改修をしてもいいとのことで。 風見藩から将棋名人の榊原琢磨が抜擢されます。 しかし、ここで登場するのが田沼意次の陰謀。 風見藩を改易にしたいのです。 負けたら改易にするつもり。 しかし実は、勝っても風見藩には改修できるだけのお金がない。 困った榊原琢磨は、千日手で引き分けを狙います。 時羽直重、田沼意次も観覧する前で将棋を指していた家治は、 千日手をしかけてきた琢磨に対し、詳しい事情はわからないものの 勝つことも負けることもできないと察する。 そこで、指し手を紙に書いて審判に預ける(=「封じ手」というさしかけを途中でやめる時の やり方らしい)のです。 家治は次の手を決めたので、これ以上時間をかけて考えることも変更することもできない、 琢磨は家治の手がわからないので、その先を考えることができないというわけ。 そして「続きが楽しみじゃ」と言い残すことにより、田沼意次の陰謀による魔の手から 琢磨の身と風見藩を救ってくれたのです。 粋だねえ。 一八と倉知政之助の遠国御用は、讃岐藩で誰が将棋が一番上手いかを探ることでした。 もちろん田沼の命令。 田沼の私利私欲から発したくだらない御用ですが、一八は飛旗数馬との友情を深め 江戸に帰りたくなくなってしまい、駆け戻っていく、という可愛い終わり方でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.03.04 12:50:34
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