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カテゴリ:読んだ本
訳:ヘレンハルメ美穂、岩沢 雅利
2009年7月 早川書房より 宿敵ザラチェンコと対決したリスベットは、相手に重症を負わせたものの、 自らも傷つき、瀕死の状態に陥ってしまった。 現場に駆け付けたミカエルの手配で、リスベットとザラチェンコは病院に送られ、 一命を取りとめる。 だが、彼女の拉致を図っていた金髪の巨人ニーダーマンは逃走してしまう。 この事件は、公安警察の特別分析班の元班長グルベリに衝撃を与えた。 特別分析班は、政府でも知る人の少ない秘密の組織で、 ソ連のスパイだったザラチェンコの亡命を極秘裏に受け入れ、彼を匿ってきた。 今夏の事件でそれが明るみに出れば、特別分析班は糾弾されることになるからだ。 グルベリは班のメンバーを集め、秘密を守るための計画を立案する。 その中には、リスベットの口を封じる卑劣な方策も含まれていた・・・・。 (上巻 表紙裏 紹介文より) ![]() ![]() 以下、粗筋と感想になります。ネタバレに注意。 2の続きからになります。 同じ病院に運ばれたリスベットとザラチェンコは手術を受けて命を取り留め、そのまま入院。 ミカエルが銃を突き付けて道路脇に縛り上げておいたニーダーマンは、 頭の悪い刑事の指示により、迂闊に様子を見に行かされた警察官2人を殺して逃亡。 この刑事は署内の問題児だったらしい。 この話ではダメな検事や刑事がわんさか出てきて、そりゃ巨大組織には一定確立で こんなのも混じるとは思うけど、スウェーデン大丈夫なのか?と思います。(^^; 3は、秘密を守ろうとする公安警察vs市民(リスベット)の人権を守ろうと立ち上がる ジャーナリスト&良心ある人々、という図式。 これに、MSPという大手新聞社に編集長として迎えられ社内改善をしようとするエリカと、 古い体質の社員達との戦い、更にはエリカを遅うストーカー騒ぎが絡みます。 悪党側は、ミカエル命名の『ザラチェンコ・クラブ』。 公安警察自体が悪いわけではなく、その中に一部、憲法が定めるところから逸脱した 今回の主犯となるグループが存在する、と考えています。 主な人物は、エーヴェルト・グルベリ、グンナル・ビョルク、ペーテル・テレボリアン。 この3人はザラチェンコが亡命してきた当時を知っており、リスベットの人権侵害に 直接荷担したヤツら。 人権侵害とは、リスベットがザラチェンコに手製火焔瓶を投げ付けて殺そうとした後、 その事件を隠すため、児童精神科病院に幽閉し、革ベルトで不当な拘束を続け、 そこから出た後も生活無能力者として後見人を付けた事などを指します。 グルベリは『ザラチェンコ・クラブ』の責任者。 ビョルクはザラチェンコの世話係で、ザラチェンコが起こした数々の事件を 世間の明るみに出ないようにもみ消す役。 ビョルクは、ダグとミアが出そうとしていた「女性の人身売買と強制売春」の記事に 少女を買った側として公表される予定でした。 その件でミカエルに脅されて、当時の真実を告白した報告書をミカエルに渡しました。 ペーテル・テレボリアンは精神科の医師。 児童精神科病院に幽閉するにあたり、リスベットが精神に異常をきたしているという ウソの診断をくだしたのです。 グルベリは、ザラチェンコ・クラブ(当人達は『班』と呼称。公安警察内の特殊な一派)を かつての仲間であるフレドリック・クリントンに託し、自分はザラチェンコを殺害して自殺。 クリントンはビョルクを自殺に見せかけて殺害。 リスベットの裁判を担当するエクストレム検事に偽の情報を流し、リスベットを再び 重大な精神疾患で病院に監禁する判決を出させようとします。 また、エクストレム検事が自尊心をくすぐられると弱いバカなタイプで、 この作戦に簡単にひっかかちゃうんだな。 そして、陰謀の証拠となるビョルクの報告書を、ミカエルと妹のアニタから盗み、 ミカエルの自宅や携帯電話に盗聴器を仕掛けたり。 最後の方には、殺し屋を雇ってミカエルを暗殺しようとまでします。 これに対抗するミカエル達。 仲間が次第に増えていきます。 最初はドラガン・アルマンスキーと、リスベットの元後見人であるホルゲル・パルムグレン。 そして、頭を撃たれたリスベットの手術を担当した外科医アンデルス・ヨナソン医師。 この人は、ミカエルの頼みで、入院中のリスベットにPDA(携帯PC端末?)をこっそり 届けてくれます。 ブブランスキー警部補と部下のソーニャ・ムーディグ、イェルケル・ホルムベリ。 元々はエクストレム検事の下で、ダグとミアの殺害事件を捜査していたチームです。 リスベットを容疑者として追っていましたが、途中から疑問を抱き始めたことにより エクストレム検事と対立。 リスベットの捜索から外されていました。 トーステン・エドクリント公安警察憲法保障課課長と、部下のモニカ・フィグエローラ。 エドクリントはアルマンスキーの知人で、アルマンスキーがビョルクの報告書を 安全な第三者に預ける必要ができた時と考えて、選ばれた人です。 公正で、憲法がきちんと守られていくために尽力する人。 ザラチェンコ・クラブは公安警察全体ではなく、暴走した一部のグループだと見るミカエル達と 協力して捜査に当たります。 捜査の現場責任者はモニカで、体力あって冷静で強い女性。 この人、ミカエルといい仲になっちゃうんですよね。 主人公はいつもモテモテ。(ー_ー) ミカエルの妹アニカ・ジャニーニは弁護士で、女性の人権を守る弁護が専門。 ミカエルに頼まれて、リスベットの弁護を引き受けます。 そしてリスベットのハッカー仲間達。 こういった人々が協力して、ザラチェンコ・クラブと戦っていく。 最初は公安警察の陰謀がすごくて、読んでいても不愉快なんですが、 裁判が始まると、周到に準備したアニカのテレボリアンへの攻撃が痛快で 読んでいてスカッとします。 そして裁判が始まる日に合わせて、ビョルクを殺害したザラチェンコ・クラブの面々の逮捕、 ミレニアムから今回の真相を明るみにする雑誌と、『班』と題した本の出版と たたみかけるような波状攻撃で、リスベットは無罪となるのです。(^^)v 裁判後、ザラチェンコの遺産を受け継ぐことになったリスベット。 ザラチェンコの物など受け取りたくないリスベットは遺産は全部処分して、 お金はどこかに寄付することに。 しかし、その目録にある廃工場が気になって見に行くのです。 そこで隠れていたニーダーマンに遭遇。 動けないようにしてから、ニーダーマンのかつての仲間と警察に通報し 一網打尽にするのです。 最後に、それを知らせに来たミカエルと仲直りする。 リスベットが一方的にずっと避けていたんですが、自分の中に恋心がなくなっていることを 確認し、友人としてもう一度付き合っていこうと決心するのです。 よかったんじゃないかな。 読んでいて、ミカエルは恋人とか夫としては最低の部類に入りますが、 友人としては誠実なタイプだから。 内容的には続きそうな感じですが、ミレニアムは三部作で終了。 作者が突然の心筋梗塞で50才で亡くなったからです。 残念ですね。 遺稿があるようですが、出版のことで内縁の妻と親族でもめているらしく 決着が着かないと出ないようです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.06.27 12:48:15
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