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上巻2002年12月 新潮社より
下巻2002年12月 新潮社より 関ヶ原の合戦によって豊臣家が大阪城にとじこめられてしまった時期、 伊賀の忍者の頭領、霧隠才蔵は人ちがいで何者かに襲われたことから、 豊臣・徳川の争いに次第に巻き込まれてゆく。 生来、いかなる集団にも属することを嫌った才蔵であったが、 軍師真田幸村の将器に惹かれ、甲賀の忍者、猿飛佐助とともに、 豊臣家のために奮迅の働きをし、ついには徳川家康の首をねらうにいたる。 (上巻裏表紙 紹介文より) 大坂冬の陣に西上してくる徳川家康の首をねらうため、霧隠才蔵らは駿府城下に潜入し、 徳川の忍者、風魔獅子王院たちと血闘をくりひろげる。 そして、駿府城内に忍び込んだ才蔵は、家康の寝所の天井裏に立つのだが・・・。 人間性を抹殺された忍者たちの中で、いかなる組織にも属さず、ただひとり人間らしく 生きようとした才蔵の悲哀わ通して、"忍び"の世界を現代の眼で捉えた長編小説。 (下巻裏表紙 紹介文より) 主人公は伊賀の忍者・服部才蔵、通称・霧隠才蔵。 関ヶ原の合戦後、大坂の陣まで激動の時代の話です。 伊賀の忍者・霧隠才蔵と甲賀の忍者・猿飛佐助が登場するんですが、 2人の、というか伊賀と甲賀の違いが面白い。 才蔵に代表される伊賀忍者は、個人で行動するのを基本とし、幻術などの忍術や 個人技に優れ、雇い主とは金でつながる傭兵的な忍者。 佐助に代表される甲賀忍者は、組織で行動し、忍術よりは兵法に近く、雇い主との間には 精神的にも強い主従関係を築く。 佐助と真田幸村とのつながりが顕著な例です。 その2人が出会い友情のようなものを感じつつ、個人主義の才蔵が真田幸村の度量の広さに 惹かれて、大坂に味方していく様子が描かれます。 でも、なんとなく戦国の戦いがメインというよりは、モテモテ才蔵のラブロマンスが 中心だったような。(笑) 物語は京都へ向かう才蔵が、誰かと見間違われて、三河訛りのある武士達に襲われる ところから始まります。 その夜の宿で、高貴な女性が宿泊しているのに行き会う。 京都の公家・菊亭大納言藤原晴季の三の姫である青子と名乗っていたその女性に惚れ、 才蔵はその女性を捜す。 しかし、それは偽名で、手掛かりを探して青子を訪ねた才蔵は、青子に惚れられてしまう。 その後、女性が淀君に仕える女官で、隠岐殿と呼ばれる人物であることが判明。 才蔵は隠岐殿にも惚れられてしまう。 隠岐殿は有力な武将を豊臣側に付かせるための工作を続けており、 佐助も幸村の下で同じような働きをしていたので、その流れで才蔵とも出会う。 更に、隠岐殿の侍女・お国を助け、お国にも惚れられてしまう。 でも実はお国は徳川の間者。 そして、家康の暗殺に向かう途中で、佐助に紹介された甲賀忍者の小若と夫婦のふりを して旅をする(佐助は家来の役)のですが、小若からも惚れられてしまう。 どの女性相手でも才蔵は優しくもつれなく振る舞っていて、男であれば羨ましい限りの 境遇です。(笑) 大坂の陣でも幸村に心中することなく、最終的には隠岐殿を選び、 忍者としてではなく生きていこうかというところで終わり。 明るく楽しい話で面白かったです。
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Last updated
2014.11.28 13:03:29
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