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カテゴリ:読んだ本
絵:杉浦 範茂
2002年02月 講談社より ある日、川の向こうからドラゴン兄弟がやってきた。 いったいなにをしに? 最近、ブッチーの様子がなんだかおかしい。 そして、ルドルフにも思いがけないできごとが-----。 変わらないようでいて、変わっていく世界のなか、 それぞれが自分自身を見つめなおしはじめる、 ルドルフとなかまたちの新しい物語! (表紙裏 紹介文より)
以下、粗筋と感想になります。ネタバレに注意。 ドラゴン兄弟のジャックとテリーが再びやってきました。 彼等は市川の農家の飼い猫。 ある日、一緒に飼われているモンタというダックスフンドが、「足の長いブルドッグ」 のような犬に襲われ、それを助けようとして長兄のブラッドも大怪我をしてしまった。 その敵討ちをルドルフに手伝って欲しい、と頼んできたのです。 でも、ルドルフはケンカが強いわけではない。 ということで、市川へはイッパイアッテナが出発。 代わりに、彼等が騙したり裏切ったりしないようにと『ねこ質』としてテリーが 東京に残ることに。 ねこ質のテリーは、ルドルフのことを「ルドルフ親分」と呼びます。 テリーは友達と思っているルドルフはそれに閉口して、「自分の地元では、偉い人のことは 縮めて呼ぶのが礼儀」とでまかせを言って、ルドブンと呼ばせる事に。 ブッチーはブーブン。 ルドブンはともかく、ブーブンはちょっと響きが悪いかな。(笑) ブッチーがハトを捕りたいと言うので、ルドルフとテリーは一緒に浅草寺へ出かけます。 3匹で電車に乗り込んで、見つかりそうになると電車を降りて、やり過ごしてから また乗る作戦。 途中、1人のおじいさんに騒がれて電車を降りたりしますが、結局、1回の乗り換えで うまく浅草まで行くことができます。 もし電車の中に3匹連れの猫とかいたら、すごい見ちゃうなあ。 大騒ぎはしないけど、こんにちは~とか話しかけちゃうかも。 猫にとっては迷惑だったらどうしよう、と思いました。(^^; 浅草寺で、ルドルフは人混みの中で懐かしい岐阜弁を聞きます。 「あの猫、リエちゃんちのルドに似とるやん」 「ちょっと似とるけど、うちのルドの方が、もっと可愛いやん」 見ると女の子達のグループの中に、少し成長したリエちゃんがいたのです。 衝撃を受け、人混みに紛れた女の子達を探してルドルフは境内をかけずり回りますが、 見つけることはできず。 放心状態のルドルフを連れて、ブッチーとテリーは電車にも乗れず、3匹は歩いて帰宅。 『うちのルド』はルドルフを指しておらず、リエちゃんにとって自分は全然知らない よその猫であることもショックでしたが、何よりもルドルフにとってショックだったのは、 自分がリエちゃんを見てもわからなかったこと。 女の子達のグループを見たのに、リエちゃんを見たのに、会話を聞くまでわからなかった。 落ち込むルドルフですが、ブッチーやテリーに励まされ、気持ちを持ち直します。 自分はリエちゃんを心の引き出しにしまって、時々なつかしがっていたのだ、 本物の成長したリエちゃんは、また別の引き出しにしまっておこう、 すぐにリエちゃんに気付かなかったかという問題も、取り敢えず引き出しに入れておこう。 それでいいと思います。 時が経つってそういうこと。 過去には戻れないんだから、元気にデビルのステーキを食べて、今を生きていかなくちゃね。 ブッチーを飼っていた金物屋さんは倒産し、店を畳んで茨城の親戚の手伝いをするため 引っ越してしまいます。 金物屋さんはブッチーを連れていくつもりでしたが、ルドルフ達と別れたくないのと、 引っ越した先はアパートで猫を飼うことはできないと知ったブッチーは残ることを決断。 ハトを捕まえることができたら、自分はノラ猫としてやっていけるんじゃないかと、 そんな思いでハト捕りにこだわっていたのでした。 結局ハトは捕れませんでしたが、ブッチーは悟ります。 「おれはノラ猫でも飼い猫でもない。おれは猫だ!」 うん、正しい。 猫は猫、ブッチーはブッチー、自分は自分。 でもまあ、ルドルフ達と一緒に日野さんちで世話をされたらいいと思います。 おいしい御飯もらって、イヤだけどブラシもされてピカピカにおなり。(^^) ある日、ルドルフは「足の長いブルドッグ」のような犬を見かけます。 後をつけると、その犬は、犬を飼っている家を覗きながら通り過ぎていく。 その先に、塀の上に獣医さんの飼い猫でアメショのミーシャが。 ミーシャはブッチーの彼女で、ブッチーが東京に残った大きな理由の1つ。 ミーシャめがけて走り出す犬。 ルドルフは「逃げろ!」と警告し、ミーシャは辛うじて難を逃れます。 ミーシャを追わせないため、犬を挑発するルドルフ。 犬はルドルフを追いかけてきたので、犬が登ってこれない塀の上を走ってルドルフも 逃げ切ります。 ルドルフって特別大きくもないし、ケンカも強くないけど、すごく勇敢。 こういうところ、えらいなあと思う。 そしてルドルフとブッチーは気付きます。 足長ブルドッグが襲っているのは血統書付きのペットだ、と。 ルドルフは足長ブルドッグの襲撃の邪魔をして恨みを買ったので、1人で出歩くのは危険と 外出を控える予定でしたが、それでいいんだろうかと考える。 イッパイアッテナに連絡しても戻ってくるまでには2~3日かかる。 その間、自分は安全だけど、他の血統書付きのペット達が襲われるかもしれない。 ミーシャを襲われて我慢のならないブッチーと、自分だけ安全ではいられないルドルフは 足長ブルドッグと戦うことにします。 と言っても、この2匹で犬に勝てるわけがないので、犬をデビルのいる庭まで おびき寄せて、最後はデビルに倒してもらう作戦。 デビルに協力を求めると、デビルは2匹の安全をを心配しつつも承諾。 この時の会話がちょっと印象深い。 デビルが「そいつの嫌がる言葉は・・・・」と言いかけると、ルドルフは 「わかってるよ。だから、それ以上言わないでよ。デビルがそんなふうに思っていないのは わかるけど、デビルの口からそういう言葉は聞きたくないから」 「そうか。そういう言葉をおまえたちの前で言いたくないからな」 大人の会話だなあ。 信頼しあっている仲でも、自分に向けられた言葉ではないとわかっていても 不愉快で聞きたくない言葉があって、それをきちんと相手に聞きたくないと言えて、 大切な友人の前だから、その言葉は言いたくないと伝えることができる。 デビルが大人で知的な犬なことは明白。 ルドルフはまだまだてんで子供(特に女の子関係)なんですが、時々ハッとするほど 大人びた振る舞いをするんですよね。 ルドルフとブッチーは足長ブルドッグを探し、挑発しまくって追いかけさせる。 嫌がる言葉は、言うまでもなく『雑種』。 純血種の犬種名を出しては比べてからかい、デビルの庭へと誘導。 最後にデビルから「俺は純血種のブルドッグでな。この家の中には、俺の血統書が 額に入って飾ってあらぁ」と真正面からの挑発を受け、襲いかかる足長。 しかしデビルの敵ではりませんでした。 一撃で倒したデビルは大声で遠吠えて家人を起こし、家の人が慌てて獣医さんへ連絡。 そしてやっぱり怒られてしまうデビル。 ちょっと気の毒。(^^; 足長の母親は血統書付きのブルドッグでしたが、父親は雑種。 足長も雑種ゆえに捨、小さい頃に捨てられてしまったのです。 ルドルフ達は入院した足長のお見舞いに行き、雑種と言ったことを謝りました。 たまたま一緒に入院していたプリンという名の雑種犬と少し親しくなったこともあり、 足長は少しずつ気持ちが和み始めた様子。 結局、日野さんの家に手伝いに来ているおばあさんに引き取られることになりました。 今回もデビルがかっこいい話でした。 強いし賢いし、本当に頼りになる。 イッパイアッテナは市川で彼女を作ったらしいですよ。 市川には戸締まりの甘い図書館があると、しばらくそちらで過ごすみたいです。 次の話が楽しみ♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.07.04 12:41:40
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