映画「燃えよ剣」
新選組副長・土方歳三の生涯を描いた「燃えよ剣」を見てきました。本当は2020年の5月に公開予定だったのが、コロナで延期。2021年秋に公開が決定して、ようやく見ることができました。平日の夜20:00くらいの回だったので、映画館内8人くらいで、周囲に人おらずのびのび見られました。新選組は大好きです。キャストも土方歳三役が岡田准一、近藤勇役を鈴木亮平、沖田総司役を山田涼介とイメージにぴったりな感じでとても楽しんで見てきました。以下、ネタバレを含みますので、ご注意ください。ストーリーは函館戦争で最後の決戦を間近に控えた土方が、共に五稜郭で戦う将校に自分の事や新選組の事を語る、という形で進みます。相手は誰だか出なかったと思いますが、榎本武揚とフランス人のジュール・ブリュネなのかな?ジュール・ブリュネはフランス陸軍士官で、江戸幕府陸軍の近代化を支援するため派遣されたフランス軍事顧問団の一員として訪日。明治新政府軍に敗北して、ランス軍事顧問団は新政府から日本からの退去を命令されましたが、ブリュネは残留を選択し、フランス軍籍を離脱して榎本武揚率いる旧幕府艦隊に合流、箱館戦争に従軍した人です。ハリウッド映画『ラスト サムライ』のモデルになった人物らしい。江戸の試衛館にいた近藤達が京都へ向かうと決まった時、土方が刀を買いに行く。刀屋に「之定が欲しい」という土方に、刀屋が「あなた様が来るのを待っていた刀だ」と差し出すんですけど、え、之定じゃないよね?兼さんだよね?と思いながら見ました。あとで原作を確かめてみたら、ほぼ原作通りでした。実際はどうだったかとともかく、小説の中で土方は之定を求め、手に入れた刀に満足していた、つまり之定だったということだと思います。途中で、土方が誰か(誰だったかな)を刺し殺すシーンで「この堀川国広で心臓を斬るか」みたいなセリフもあって、和泉守兼定と堀川国広は名前つきで出ています。いいなあ。沖田の刀は池田屋で帽子が折れた、という台詞が一言。労咳で戦えなくなった頃に持っていた刀は菊一文字。このへんは見ていて楽しいだろうと思っていたんですが、刀うんぬんより映画に没頭してしまっていた方が大きかったです。新選組結成後は、伊藤英明が演じる芹沢鴨と対立していって最終的には斬るわけですが、途中、お座敷での宴会で芹沢鴨が酔って大暴れするシーンがあるんです。お膳を叩き割る鴨に、禿とか見習い(?)などの女達が悲鳴を上げて怯える中、鴨の両隣りに控える芸妓のお姉様方が眉一筋動かさず、何も起きていないかのように座っているのがすごい。新選組と言えば浅葱のだんだらですが、それは鴨が持ってきた衣装で土方達は黒の隊服を着ていました。そうだっけー?と思いました。印象的だったのは尾上右近の演じる松平容保。真面目で誠実で世渡りが下手そうで、すごくいい容保でした。松平容保と言えば、NHK大河ドラマの「新選組!」で筒井道隆が演じた容保が気弱さとか情けなさとか最高の容保だと思っているんですが、尾上右近のは方向性が全然違うけど、いい容保でした。この幕末で会津様は一番貧乏くじだよなーと思っているので、その非運感が出ていました。ついでに、山田裕貴の徳川慶喜もとてもよかった。癇が強くてヒステリックで、いかにも賊軍と言われることに怯えて逃げそうな感じ。このキャスティング決めた人、天才だと思う。土方の恋人役のお雪は柴咲コウ。柴咲コウって若い頃はあまり好きじゃなかったんですが、年齢を重ねていい味を出すようになったと思います。で、映画後半、まあ予想通りですけども鳥羽伏見の戦いくらいから泣き始めて、その後はほとんど泣きっぱなし。近藤勇との別れで土方の手が離されて行き場を失うのとか、沖田の死とか。ピークは写真を撮る土方を近藤、沖田、源さんが笑って見ている幻を見るところ。いや泣くよ、こんなの。久しぶりに原作を読みたくなりました。でも、読んだらまた泣くんだよね・・・。