2005/03/25(金)00:21
ぴっぴら帳(こうの史代)
各所で評判の、こうの史代さんの「夕凪の街 桜の国」にほれ込んで、同じこうの史代さん作の「ぴっぴら帳(1巻&完結編)」と「こっこさん」を買ってしまいました。「ぴっぴら帳」は「ぴっぴらノート」と読みます。
楽天ブックスから届いたのはこの間の日曜(3月13日。あの「13時間」睡眠の日)だけど、感想を文章にするのにここまで時間がかかってしまいました(苦笑)
一言で言うと、「こういう作品ツボだ…」
日常物に弱いのか、自分。
考えてみれば、「あずまんが大王」もキャラ云々というよりはむしろ日常物の感覚で読んだし。
だからといって新聞マンガはどうかというと、それは別問題(いしいひさいちは別格だと思ってるけど)。そもそも家で取ってる新聞にはマンガが載ってない。
そういえばこの間久しぶりに床屋で読売新聞を読んだら、「コボちゃん」がカラーになっていたのには驚いた。
閑話休題。
こうの史代さんの「ぴっぴら帳」。
食堂で働く玉井キミ子(キミちゃん)がある日、セキセイインコの「ぴっぴらさん」を拾ったことで始まる1人1羽の不思議で楽しい毎日と、その周りの人達とを描いた4コマ漫画である。
絵柄が古い、出てくる人の行動もちょっと古めかしい、と思う人もいるかもしれない。
最初に読んだときは、その絵柄に「初期のサザエさん」のイメージがかすかに重なった。でも、舞台はあくまで現代。
読んでいて、
「キミちゃん、焼き芋屋さんのスポーツ新聞じゃなくて、ちゃんと新聞くらいとろうよ」(ネタバレのため反転、以下同じ)
「もう少し探せばお風呂付のアパートあるよ!」
とか言いたくもなった(笑)
でも、ちょっと時代遅れかもしれないその感覚がとてもいい。
時間が緩やかに流れているような雰囲気がとても心地よい。
毎日という時間がこんなに美しく、いとおしく、そしてかけがえのないものだ、ということを改めて実感できる。
単純な「ほのぼの」系というだけではなく、笑いを取るところではしっかり笑わせてくれている。
例えば、食堂のオヤジが作る「イチゴショート」「タマ丼」には笑うしかない。何でアンタ食堂なんかやってるんだ(笑)
もちろん、セキセイインコのぴっぴらさんや、その他に出てくる小鳥の不思議な行動・動作は、小鳥を飼ったことがない自分にとっては新鮮。小鳥を飼ったことがある人なら「あるある!」と思われるのかもしれない。
さらに、セキセイインコ漫画のはずなのに、キミ子の周りの人をしっかりと描いているのが話に幅を持たせている。
インコにベッタリの漫画だったら、ここまでのめり込むことはなかっただろう。
「宝物のような毎日は 突然ひょいと訪れたりします
これはその ほんの一例」
(「ぴっぴら帳 1」より)
こうの史代さんの作品に出会えたことで、「宝物のような毎日」が自分にも訪れているのかもしれない。
この漫画をすでに読まれた方で「インコを飼いたい!」と思われた方はたくさんいるだろう。
でも、私はそうは思うことができなかった。
断じて、この漫画がつまらなかったということではない。ただ、
サボテンを枯らすような奴が動物を飼っちゃダメだろう
ということで自制しているのだ。(涙)
さて、今回買ったのは「ぴっぴら帳 1」「ぴっぴら帳 完結編」「こっこさん」の3冊である。
でも、「ぴっぴら帳」だけの話で終わらせている。
「こっこさん」を読んでいないわけではない。先に買った「夕凪の街 桜の国」や「ぴっぴら帳」と同じように何度も読んでいる。
今日のネタとして取り上げなかった理由は何か?
ひとえにネタ切れ対策として温存しているだけである。
肝心の「夕凪の街 桜の国」については、まだ自分の中で整理がついていないので後日に。何とか自分の言葉で語りたいと思って、繰り返し読みつつちょくちょく書いてますが、書きたいことが多すぎて、何を書いていいのか収拾がつかなくなり止まらなくなってます。(爆)
誰か止めて~!!
ぴっぴらノート(1) ( 著者: こうの史代 | 出版社: 双葉社 )
ぴっぴら帳(完結編) ( 著者: こうの史代 | 出版社: 双葉社 )