カテゴリ:その他
「ちょっと外出につきあって」と上司に言われ、地下鉄で行くのかな?と思ったら、ハイヤーを使うという。
私はただのOLだ。ハイヤーを使う身分じゃないし、そういうものに慣れてしまったら、人間がダメになっちゃうんじゃないのかなと思ってしまう。小心者なのだ。 でも、上司が気を遣ってくれて予約してくれたみたい。ハイヤーの中で「俺もはじめて会社のハイヤー予約して使ったんだ」などという。 会社ではむやみにハイヤーを使う人もいる。この上司よりも若いのに、呑み会に行くのに平気で使う人もいる。「いつどのように使うか」で人間が見えるなと思ったのだった。 ハイヤーの中は、まぁ、それはそれは居心地がいいのだが、落ち着かない。しかも、一般道で行くと思ったら、首都高に入ってしまった。 「えええっ!高速道路の料金が…そんな贅沢なことしていいんですか」とびっくりして、思わず後部座席のシートに、背中を張り付かせていた私。それでも、車が好きな私は、走りが軽快なハイヤーがぐんぐんスピードを上げて地下トンネルを駆けていくと、次第にリラックス。うーん、気持ちいい。 窓の外は見慣れた風景なのに、一味違って見える。しばらくぶりに味わう解放感。上司の優しさに感謝した。 目的地には予定時刻よりも早めに到着。受付で待って、約束の時間になったところで指定された会議室へ入る。 「俺が喋るから、座ってればいいから」と言われており、普通の商談だと思っていたのだが、入った途端、久しぶりに変な緊張感が漂う。かなり固めのコンペだということにようやく気付いた。 相手方は4人いたのに、名刺は1人しか交換しない。公平性を期すためだと思うのだけれど…。最近は、大きい仕事でもフランクな感じでやっていることが多いし、商談にはかっちりと書類を作りこんでから挑むのが当たり前になっていたので、戸惑う私。 事前に書類をきっちり作りこんでおけば、多少プレゼンが拙くても、相手が書類に目を通して理解してくれるし、プレゼンでつまづいても、書類自体を自分が見直すことによって、巡航速度に戻れる。だから書類を自分で作らないで重めのコンペにハイヤーで来てしまった…って。なんじゃこりゃー!! 上司はよどみなくプレゼンをしている最中、相手方が私がどのような人間かを測っているように見えた。そりゃそうだ。外見も年齢もそこそこ「逝っている」のに、挨拶以降何も喋らないなんて、不審人物極まりないと思うのは当然だ。 心の中でぎゃーと叫んだ。でも私の顔の筋肉は微笑を浮かべている感じだった。 よし、このままの表情でいよう、と心に決めた。 たまに私にも予期せぬ質問が振ってきたけれど、ニコニコして答えていると、相手方もだんだんニコニコとしていて、会話は弾み、結局予定の時間をオーバーしていた。 コンペが終了し会議室を出るときに、あまり喋らなかったから、何かひとことを言ってお別れしたいなと思ったので、私は言った。 「このお茶、とても美味しかったです。ご馳走様でした」 お世辞ではなくて、飲んでて美味しいなと思ったのだった。おそらく相手方の中でジャッジをする人なのだろう、その人が、一瞬驚いたような表情に変わって、その後笑顔で「こちらこそ。お疲れ様でした」と返してくれた。 人間的には嫌われなかったのかな、と思いながら先方のビルを出る。がんばってプレゼンしていた上司の役に少しでも立てたらいいのだけれど。 ちょっとしたしぐさとか、喋り方とか、動作で、相手の印象は変わる。 計算ではなく、自然に思った感覚を大事にして、素直に話していれば、いいことにつながることが増えるのではと思う昨今である。 <お酒メモ> 6月7日水曜日 ギネス 生2パイント 蒼空 美山錦 生 2合半 くどき上手 Jr.のヒ蜜 半合 荷札酒 半合 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年06月08日 15時45分34秒
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