カテゴリ:その他
秘湯と呼ばれる老舗の温泉に行ってきた。泉質がよく、日帰り入湯では行列ができるほどの人気。ただし、ひとつだけ人によっては「問題」になることがある。混浴なのだ。
混浴につきものなのが「ワニ」である。以前もその生態についてこのブログでも書いたことがあるが、温泉ワニとは混浴に女性が入ってくるのをわざわざ待っている男性客のこと。風呂ではなく女性目当てで来るのなら、別のところに行けばいいのに。 まぁ、ワニが出たらやり過ごせばいいやと思い、件の温泉を堪能した。困ったことにならないように、一応長めのタオルと(湯船に浸かるとき以外で身体を隠すためのもの)、きんきんに冷えたペットボトルのお水を手にして浴槽へGO。お水は、ワニさんがのぼせて先に上がってもらうためのアイテム。万一不幸にしてワニに遭った時に、自分が先に浴槽から上がらないための保険みたいなものである。 今回は残念ながら「ワニ」がいた。浴槽のはじっこで、青葉を眺めながら一息ついていると、何か空気が障る。お湯好きでない人は、動きとかが何かおかしいから、こっちも警戒するのだ。見て見ぬふりをしてチラ見するくらいは男の性で、混浴に入る女が最低許容できることだけれど、ワニはそれを逸脱するのだ。だから腹立たしい。そういう人がいるから、混浴文化が絶滅危機を迎えているのだ。 ワニが次第にこっちにやってきた。不穏な雰囲気なので、くるっと背中を向けてじーっと湯船に浸かって水を飲む。 そうして、1時間が経った。 ペットボトルの水はほとんどなくなっているが、ワニはまだ粘っている。さすがに熱いな~と根負けしそうになる。残った水のを量を考えると時間的にもあと30分くらいで上がろうか、仕方ないよなと思っていたところで、少し離れたところにいる見知らぬおじさんが、私に向かって手を振って言った。 「あのさ、俺、お茶を買おうと思ったら間違えて水を買っちゃって。よかったら飲んでくれないかい?」 私が入った時から気持ちよさそうに天井を向いて長湯していたおっちゃんだった。入り方からして温泉好きだと一目でわかる。 おっちゃんは、ペットボトルを横にして私の入っている浴槽の方にゴロゴロと転がして渡してくれた。水はとても冷たくて気持ちがいい。 「どうもありがとうございます^^」 栓を切って喉に流し込む。ワニ男は観念したのか、その後ものの数分で上がっていった。身体の芯の温度が冷水で下がり、私も気持ちよく残りの時間、温泉に浸かり、無事?上がって脱衣所に行った。 温泉場の帰りがけ、たまたまおっちゃんと再会。追加のお金を支払っていたところで出くわした。もらったペットボトルを手に持っていた私に気づいて、おっちゃんは「水、邪魔じゃなかった?捨ててもよかったのに」と笑顔で話しかけてくれたので、もう一度お礼を言ったのだった。 「あの男ね、あなたが上がったときに、脱衣所の入り口の窓に張り付いていた」 うーん、やっぱりワニだとおっちゃんも気づいていたのか。さりげない気配りに感謝したのだった。 <お酒メモ> 5月5日土曜日 アサヒ 熟撰 生 タンブラーで1つ かじか酒 熱燗 1合 小布施 シャルドネ 2016 白 ハーフボトル お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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