柴田香 の kaori 's LIBRARY

2006/04/13(木)00:04

「センセイ?」

コトバ(448)

「センセイ?」とあたしを呼んだそのカオは、 まちがいなく中学生のあどけなさを残していて、 あたしは一気に時間が巻き戻ったような気がした。 昼休み時間を使っての街頭録音。 専門学校生のグループに声をかける。 そのなかの一人のオンナノコは、 かつてあたしが教育実習に行ったときの となりのクラスの生徒、サダカリだった。 当時、放課後あたしのところに来ては ×組の○○くんがカッコいいだとか、 文化祭とか職場体験のことだとかの話をしてた。 実習期間が終わるときには 自分のプリクラつきの激励の手紙をくれた。 「がんばってホンモノの先生になって、  またうちの中学に戻ってきてください」なんて かわいいことを書いてくれていた。 「やっぱりセンセイだぁ、うぁ、懐かしいよねぇ…」っていって 感極まって涙ぐんでいたサダカリを見て あたしもちょっとうるっときた。 たかだか2週間の実習、それももう6・7年前のこと。 そのうえ自分のクラスの実習生では無かったあたしのことを サダカリは、ちゃんと憶えててくれていた。 センセイになんなかったあたしでも。 ちゃんといつまでもあのころの生徒の中では 「センセイ」でい続けてるんだな、と思うと、 スゴクなんだか感慨深い。 この気持ちは「教育実習に行って、先生にならなかったヒト」にしか わかんないかもしんないけど。

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