さくらの咲く季節。
たとえば、友達とランチをするとして。選ぶ店ひとつとってもすっかり変わってゆくもので。以前は仕事の合間にだったから、街なかで、夜はちょっとお高い店のメニューがリーズナブルにいただけるイタリアンとかフレンチとか懐石だったのが、今はちっちゃな子連れでもオッケーな郊外で、座敷席で、できれば個室で、うどんとか釜飯とかファミリー対応のものになる。話題もそうで、カレシとか仕事とか、つまりは自分のことばっかりだったのが、子育てとかマイホームとか親のこととかが中心で。そうかぁ、もう私もそんな世代になったんだなと思う。むしろ、ちゃんと段階を踏んで大人になってるんだなと思う。ありがたくしあわせなことだと思う。手放したくないものは今でもいっぱいあるんだけれど、手に入れていたときのままで時間が止まっていてただ固執しているだけかもしれなくて。もう私は、ハタチでも25でも27でも、ないよ。3年、5年、10年分、あなたも年をかさねているはずだ。その頃とは状況が、違うのだ。私は今現在の私と、これからの私について考えていきたい。迷いながらも心をきめた、いまこのときの選択がただしかったと思えるような私でありたい。伝わるひとにだけ伝わってくれればいい。さくらの咲く季節だから、こんなことを思うのだろうか。