大人げないにもほどがある

私の母は戦前の生まれで、作ってくれるお弁当はいつも茶色かった。
そんな母がある日「今夜のメニューは『エスカロップドハワイアン』よ♪」と言った。
小学生だった私達兄弟は色めきたち、初めて名前を聞く料理がどんなものだろうかと想像し合った。

夕食時出てきたものは、豚肉をソテーしたものにパイナップルの輪切りを乗せたものだった。
私達は「これがエスカロップドハワイアン！」「名前負けだよ～」と母をからかった。

実は大人になり、この出来事が心に引っかかっていた。せっかく母が作ってくれたものを、あんな風に言うなんて･･･。

先日、その日の事を謝った。
「いくら子供でも、茶化しすぎだったよね。ごめんなさい」
「良いのよ、ＴＶでやったのを真似してみたのよね」

四半世紀経っても、母もまだその日の事を覚えていた。口に出した事はなかったが、母なりに思うところがあったのであろう。お互い元気な内に謝る事ができて良かった。