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カテゴリ:いろいろ
甘納豆がない。
先日買い置きしておいたのに。 どこを探しても甘納豆がみつからない。 テーブルの下も冷凍庫の奥も探した。 必死で探した。 ない。 またあいつの仕業か・・ 以前も、楽しみに取っておいた草団子が、翌朝、姿を消したことがあった。 その犯人があいつだったのだ。 あいつはその手の常習犯だ。 怒りと同時に焦りが募る。 今日は夕刻に友人と食事をする。 手土産に手作りパンを持っていく計画を立てていた。 今日のパンは「甘納豆よもぎ蒸しパン」。 よもぎ入りの生地は作り終え、 手早く甘納豆を混ぜ込み発酵の段階へ進もうとした。 しかし、肝心の甘納豆が行方をくらました。 血眼で15分捜索した。 行方をくらます理由が見つからなかったからだ。 買い置きしていた甘納豆は、 一人じゃとても食べきらないサイズだ。 しかも我が家では甘納豆なんて食べる習慣もなければ 好んで買ってくる者もいない。 しかも犯人と思われるあいつは ダイエットをしている。 つい先日の夕飯時も茶碗半分の米しか盛っていなかった。 「なんで痩せないのかしら」 首をかしげながら飯を口に運んでいた。 だから甘納豆はこの台所のどこかに潜んでいるはずだ。 しかし、ない。 時間が迫る。 そうしているうちにも生地は勝手に発酵を進めてしてしまう。 発酵前に混ぜ込まなければいけないのに。 今すぐあいつに問いただしたかった。 甘納豆をどこへやったんだ。と。 しかしあいつは近所のスーパーへ水を汲みに出かけている。 今日も清らかな浄水を求めて。 くそ。 時間がない。 急がねば。 近所に甘納豆を売っている店はない。 甘納豆を置いている店は 自転車で15分のところにある駅ビルマートだ。 急ぐんだ。 寝起きだったので、 慌てて顔を洗い、 化粧水、乳液、日焼け止めを塗る。 化粧はせずにそのまま家を飛び出す。 家を出る前に書置きをしていこうか悩んだ。 「甘納豆買ってくる」と。 この暗号めいた書置きにきっとあいつは慌てふためくだろう。 しかし今はそんなことをしている場合ではない。 急ぐんだ、自分。 必死で自転車をこぐ。 苛立ちながら足を回転させる。 甘納豆を求めて。 知らず知らず眉間にシワがよる。 信号に引っかかる。 くそ。 10分で到着。 甘納豆の売り場へ直行。 息を切らし、甘納豆をわしずかみ。 そのままレジへ。 顔はふてくされたまま。 私が店員だったら、疑問に思っただろう。 息を切らしてまで甘納豆が食べたいのですか。と。 自転車に飛び乗る。 気分はあぶない刑事の舘ひろし。 水を汲み終え、ほしは家にそろそろ到着しているだろう。 急ぐんだ。 駐輪場にほしの自転車を発見。 急いで、エレベータに乗り込む。 家の扉を開けると同時に叫んだ! 「甘納豆食べたでしょっ!!」 怒りに満ちた声で力いっぱい叫んだ。 ほしは 「うん、食べちゃった」と。 甘納豆ごときでこんなにも怒っている自分にも嫌気がさしてきた。 もういい。 気が抜けたせいもあり 結局、パンは失敗。 そして余った甘納豆は、冷凍庫の奥へ。 「食べるな」とラベルを貼って・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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