2004/05/10(月)21:40
スマイリーの読書クラブ 第2号
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○●○ スマイリーの読書クラブ ●○●
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-第2号(2004年5月3日発行)-
0.始めに
本好きの皆さん、こんにちは!スマイリーです。
毎日お仕事ご苦労様です。
元気にお過ごしですか。
忙中閑あり。忙しさに負けず、読書を楽しみましょう。
(目次)
1.注目のビジネス本
2.新聞・雑誌の読書特集から
3.特集:時代小説の楽しみ
4.図書館の蔵書から
5.今週の心に残る言葉
6.スマイリーの日記
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1.注目のビジネス本 兼 2.新聞雑誌の読書コーナーから
-福原直樹「黒いスイス」(新潮新書 680円<税抜き>)-
●毎日新聞の記者が書いた興味深い力作です。我々が持つスイスに対する美化
されたイメージを修正する迫力があります。
●第1章で、ジプシーの流浪の生活を変えさせようと、ジプシーの子供たちを
国家が半世紀にわたって誘拐させていたという驚愕の事実が紹介されています。
●このテーマでは時代背景として当時の優生学の流行が指摘され、ナチズム
のみならず、驚くべきことに当時の欧米では、多くの国がが多かれ少なかれ、
この思想に基づいて人種抑圧を行っていた事実が紹介されています。
●ホロコーストを行ったのはナチには違いありませんが、他の欧米諸国はナチを
隠れ蓑に、自分たちも似たような行動をしていたことを知らん振りしているよう
な気がします。
●新聞記者の本らしく、関係者へのインタビューを中心に、資料で補足する、
という読みやすいスタイルをとっています。「20年、30年後に読むのにも
耐えうる話題を集めたつもり」と作者が自負するだけの内容と思われます。
3・特集:時代小説の楽しみ -藤沢周平「用心棒日月抄」-
●今は亡き時代小説作家藤沢周平さんは、魅力的な作品をたくさん発表されて
いますが、この作品は氏の出世作です。
●直木賞受賞後10年間ほどの間、面白いが暗い内容の作品で一部のファンに
知られていた存在だったそうです。それがハッピーエンドのこの作品を境に
一気に流行作家になりました。
●この作品は、忠臣蔵をを背景に使っていて、四十七士の物語と同時進行で、
ストーリーが展開してゆきます。この作者には珍しく派手な趣向の作品です。
●以後の作品はいずれもハッピーエンドもしくは、そこそこハッピーな結末です。
そこが読者に受けました。作者もこの作品をきっかけに何かが吹っ切れたようです。
●癒しの作家藤沢周平の誕生を告げる記念碑的作品です。
4.図書館の蔵書から
-ジョルジュ・バタイユ「眼球譚」(生田耕作訳 二見書房)-
●フランスには一流作家が名を秘して芸術的ポルノ小説を発表する、という
ユニークな伝統があります。日本でも江戸の昔、一流の浮世絵師が密かに
枕絵を描く、という習慣がありました。もっともあちらの方は、現体制や既成秩序
への批判の武器として書かれているようです。
●この手の他の作品は実際に読んでみると、ポルノとはいえ、「いやらしい」
というより「痛そう」とか「汚らしい」という感想のほうが先にたって、
私にはあまり楽しめない作品がほとんどでした。日本であまり話題にならない
のはそのせいでしょうか。
●ところがこの作品は少々違います。清新な、みずみずしいエロチシズムに
溢れています。最後に、トップシーンから少々引用してみましょう。
「(私が)16歳の頃のことだ、---シモーヌという同い年の娘に出会った。
---彼女は黒の学生服を着て、糊のきいたカラーをつけていた。
---服の下は素っ裸のようだった。---廊下に猫用のミルク皿が置かれていた。
『お皿は、お尻をのけるためにあるのよ』シモーヌが言い出した。
『賭けをしない?あたしこのお皿に座ってみせるわ』
『賭けてもいいよ。座れるものか』息をはずませて、私はやり返した。
暑い日だった。シモーヌは皿を小さな床机の上に置き、私の正面に陣取ると、
私の目を見つめながら、腰を落とし、臀部をミルクに浸した。
---私は彼女の足もとに身を横たえた。
---突然彼女は立ち上がった。---小さい床机に片足を掛け、私の頭上に立って、
彼女はハンカチで体を拭った。---」
5.今週の心に残る言葉 --
「艱難は忍耐を生み、忍耐は練達を生み、練達は希望を生む」
(「新約聖書」、ローマ人への手紙・第5章)
6.スマイリーの日記 --
私の夢は図書館の中に「住む」ことです。朝起きてドアを開けると、
そこは図書館の書庫!なんていう生活を夢見ています。
どなたか住み込み館員募集中の図書館をご存知ありませんか。(以上)
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(編集後記)次回は癒しの詩人、星野富弘さんの画文集をご紹介します。
紹介ホームページの掲示板にご感想をお寄せくださるとうれしいです。
スマイリー。会社員。
連絡先:smilynet@hotmail.com