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カテゴリ:如懿伝〜紫禁城に散る宿命の王妃〜全87話
如懿传 Ruyi's Royal Love in the Palace 第84話「残された時間」 如懿(ニョイ)が実子のように目をかけてきた第5皇子・永琪(エイキ)が亡くなった。 宮中が悲しみに包まれる中、今度は烏拉那拉(ウラナラ)氏の生母・承恩(ショウオン)公夫人の訃報が届く。 如懿は涙ひとつこぼさなかったが、寝宮の祭壇で一晩中、ひざまずいていた。 朝方、このままでは体が持たないと侍女・容珮(ヨウハイ)は水を勧めたが、如懿は全く反応しない。 仕方なく容珮は粥を作ることにして下がると、如懿はこらえ切れず咳き込んだ。 同じ頃、養心殿でも愉妃(ユヒ)・珂里葉特(ケリエテ)海蘭(ハイラン)が嘆願を続けていた。 すると進保(シンホウ)が現れ、皇帝の伝言を伝える。 「翊坤宮の娘娘のためなら帰るようにと…」 しかし海蘭は決して諦めなかった。 容珮が粥を作って戻ってみると、激しく咳き込んでいた如懿がようやく立ち上がると言った。 すると箪笥から生地を取り出し、何やら作り始める。 一方、養心殿では朝議のため寝殿を出た乾隆帝(ケンリュウテイ)弘暦(コウレキ)がまだひざまずいている海蘭に呆れていた。 「皇上、亡くなった承恩公夫人が後事(コウジ)を託せるのは姐姐のみです 翊坤宮に立ち入ることをどうかお許しください…」 海蘭は平伏して懇願したが、弘暦は黙ってその横を通り過ぎようとする。 しかし弘暦は急に立ち止まった。 「会ったら、すぐ円明園へ…」 「臣妾(チェンチィェ)、感謝、申し上げます」 海蘭はようやく如懿と面会が叶い、永琪の葬儀の準備でこの後すぐ円明園へ発つと報告した。 第12皇子・永璂(エイキ)なら擷芳殿(ケツホウデン)に移り、容(ヨウ)妃・寒香見(カンコウケン)も世話してくれているという。 例の胡蕓角(コウンカク)だが、王府にいる全ての人間に尋ねてみたところ、どこか妙だと言った。 胡蕓角は王府に来てから一度も帰省するどころか、外部の誰とも親交がなかったという。 たまに後宮の自分を訪ねる以外、ずっと屋敷にいたようで、黒幕の影すらなかった。 ただ延禧(エンキ)宮へ来ても挨拶程度ですぐ帰ってしまうのに、なぜか王府へ戻るのはいつも遅かったという。 御花園でも散策していたのか、それとも他に用があったのか…。 その時、如懿が急にひどく咳き込んだ。 海蘭は驚いたが、如懿は心配させまいと大きく深呼吸して息を整える。 「大丈夫よ、で胡蕓角と永琪の仲は?」 「とても良かったわ、でも1つだけ腹の立つことが…永琪は福晋といる時はお湯で沐浴していた でも胡蕓角と一緒の時はわがままを言って水で沐浴していたの いつも薄着して、時には冷たい物を食べていたとか… 永琪の持病は冷えがたたり悪化したのよ、胡蕓角が死なせたも同然だわっ!」 すると海蘭が胡蕓角の遺品の中から見つけた処方箋を渡した。 数年前に書かれたようで、署名もなく、不可解に思って持って来たという。 如懿も確かに妙だと怪しみ、円明園へ発つ前に侍医・江与彬(コウヨヒン)に調べてもらうよう指示した。 また胡蕓角の遺品は捨てず、他に手がかりがないか改めて調べるよう助言する。 「それから胡蕓角の件とは別に頼みたいことがあるの…ゥッ…ゴホゴホ!」 「姐姐の頼みなら何でも聞くわ…ずっとこんな咳を?」 しかし主人の手前、容珮は何とも答えられず、ただ目で訴えるしかなかった。 翊坤宮を後にした海蘭は密かに江侍医に接触、処方箋を渡した。 また如懿の頼みは寒香見に任せることにする。 そこで寒香見は礼拝堂にいる寒(カン)部の者に父への伝言を託し、使いに出すことにした。 「辺地にいるこの人物を探し出したいの…」 海蘭は永琪の嫡福晋・西林覚羅(シリンギョロ)氏から胡氏の遺品を全て受け取った。 そこで円明園に異動になった太監・李玉(リギョク)に遺品の調査を頼み、紫禁城との連絡係を任せる。 その頃、弘暦は寒香見と一緒にいた。 すると皇帝付き侍女・毓瑚(イクコ)が円明園に発った愉妃からの伝言を伝える。 「翊坤宮の娘娘は傷心から病を患っているため、侍医を遣わして欲しいと…」 弘暦は思わず何の病だと確認したが、寒香見が診断を下すのは侍医だと釘を刺した。 「皇上、まさか診察も許さないのですか?」 「…診察くらい構わぬ」 「では万全を期して信頼できる侍医を遣わしてくださいませ」 そこですかさず毓瑚が江侍医に頼もうと提案し、弘暦は仕方なく認めた。 寒香見の機転で江与彬が翊坤宮にやって来た。 そこで胡蕓角の遺品の調査について報告する。 処方箋は筆跡を調べたところ包(ホウ)侍医だと分かった。 しかし本人に探りを入れても、身に覚えがないとしらばくれているという。 包侍医と言えば炩皇貴妃(レイコウキヒ)・衛嬿婉(エイエンエン)の主治医、如懿は胡蕓角が衛嬿婉とつながっていたと知った。 またこの処方を見る限り珍しい血液の病で、発症すれば根治は難しく、若くして亡くなるという。 処方薬はかなり高額になるが、あくまで延命治療に過ぎなかった。 「衛嬿婉は処方を与えることで胡蕓角を利用したのね…」 さらに江与彬は遺品の中にもうひとつ妙な物があったと伝えた。 それは空になった入れ物で、一見すると使い終わった白粉のようだったが、調べてみると無味無臭の毒物だったという。 確かにこの毒を傷口につけると少量でも死に至るが、栄親王の臨終の時に中毒反応は出ていなかった。 しかし如懿は胡蕓角が何の理由もなく永琪のそばに毒物を置くとは思えない。 「つぶさに思い出してみると、胡蕓角は永琪の病が悪化するようなことばかりさせていた…」 「この毒は宮中でしか入手できません」 「宮中?」 如懿は江与彬の言葉でようやく合点がいった。 胡蕓角が延禧宮に長居していないにも関わらず王府に戻るのが遅かったのは、衛嬿婉と会っていたからだろう。 「敵は私だけじゃなく永琪も狙っていた…次の標的は永琪やも…ゥッ!」 如懿は動揺したせいか激しく咳き込んだ。 驚いた江与彬は慌てて脈診したが、もはや手遅れだと分かる。 如懿はあの冷静な江与彬が珍しく動揺している姿で全てを察し、余命を教えて欲しいと頼んだ。 「労咳(結核)を発症しています…恐らく3ヶ月か4ヶ月かと…」 あまりの衝撃に容珮は力が抜け、その場にへたり込んだ。 「十分よ…江与彬、私にはやるべきことがある、力になってくれるなら言うことを聞いて」 「もちろん…ウッ…お支えいたします、薬を飲めば活力は保てるでしょう」 「はお、私の症状は誰にも明かさないでね…悲しみが高じて具合が悪いとだけ」 「…はい」 すると江与彬と容珮はこらえきれず、しばし涙に暮れた。 衛嬿婉は第17皇子・永璘(エイリン)を産んだ。 弘暦は永寿(エイジュ)宮での養育を認め、毎日のように顔を見に来てくれる。 何とか我が子を皇太子にしたい嬿婉は、折を見て第15皇子・永琰(エイエン)を連れて養心殿を訪ねていたが、皇帝のそばには永璂がいた。 そこで嬿婉は皇帝や乳母がどれだけ手をかけても子供は母親の元へ戻るものだと揺さぶりをかける。 しかし弘暦は目を細め、永璂を自分のそばで育てると教えた。 面白くない嬿婉は標的を永璂に変え、聞こえよがしに如懿の話をしてみる。 「皇上、もうすぐ栄親王の百日忌です、嫡母である翊坤宮の娘娘に仕切らせては?」 墨絵を書いていた永璂は母を持ち出され、思わず筆を止める。 「嫡母だと?永琪を死なせた疑いがあるのだぞ?」 「はい、でも愉妃は生母とは言え、翊坤宮の娘娘をかばい皇上を怒らせました もしお怒りが収まったのなら、愉妃に仕切らせますか?」 弘暦は生母の愉妃は参列するだけでいいと告げ、結局、皇貴妃に任せることにした。 衛嬿婉は未だ翊坤宮の娘娘が廃后にならないのは第12皇子のためだと確信した。 そこで寝宮へ戻ると、侍女・春嬋(シュンセン)に引き続き永璂の食事に気を配れと指示する。 春嬋は御膳房にちゃんと頼んであると安心させたが、そこへ太監・王蟾(オウセン)が慌ててやって来た。 実はいつもの方法で皇貴妃の弟・左禄(サロク)に銀子を送ったが、先月から受け取っていないという。 「聞けば辺地にはもういないとか…」 すると驚いた嬿婉は面倒が起きる前に探し出せと命じた。 如懿は江与彬の薬のおかげで病状が落ち着いてきたが、やはり永璂のことが気がかりだった。 そこで江与彬に自分の代わりに永璂を守ってやって欲しいと頼む。 江与彬は拝命すると、容妃が誰にも知られぬよう第12皇子の面倒を見ていると教えた。 また穎(エイ)妃・巴林(バリン)湄若(ビジャク)たち蒙古出身の妃たちは皇貴妃と仲が悪く、鳴りを潜めているという。 「衛嬿婉は飛ぶ鳥を落とす勢い、7公主の養母・穎妃が目障りなはず 愉妃に伝えて、穎妃と7公主に注意を払うように…」 とにかく狡猾な衛嬿婉のこと、警戒を怠るわけにはいかない。 すると如懿は永琪の百日忌には安華殿で祈りを捧げたいと話し、容珮に養心殿の許可をもらうよう頼んだ。 如懿の懸念は的中した。 衛嬿婉は皇帝に第7公主・璟妧(ケイゲン)だけが離れて暮らしているため、このままでは兄弟の情を知らぬまま成長してしまうと訴える。 そこで絆を深めるために一度、永寿宮で預かりたいと懇願した。 弘暦は難色を示したものの、嬿婉にせがまれ折れてしまう。 「分かった分かった、ただし璟妧が嫌がったら諦めよ」 王蟾たちは穎妃が留守の間に第7公主を無理やり抱きかかえ、連れ去った。 衛嬿婉は娘との再会を心待ちにして門の前まで迎えに出たが、璟妧の悲痛な叫び声が聞こえて来る。 「私の母は穎妃よ!帰らせて!皇貴妃は皇額娘を陥れた悪人よ!」 「…この子ったら、何てことを言うの?」 嬿婉は娘の暴言に動揺した。 「間違ったことは言ってない!」 「お黙り!」 養母に似て正義感が強い璟妧は思わず皇貴妃に楯突き、生意気だと頰をつねられてしまう。 そこへ知らせを聞いた巴林湄若が慌てて駆けつけた。 衛嬿婉は穎妃にしがみついて泣きじゃくる璟妧も姿に愕然となった。 「…璟妧は私の娘よ!私の悪口を吹き込むなんて!」 「璟妧はあなたの本性を見抜いているわ、この子だけじゃない 妃嬪の皆も汚い手でのし上がった人など大嫌いよ!」 「そうよ!悪いことばかりしているから14弟と16弟は幼くして亡くなった…グスン」 「実の母に向かって何てことを!」 激高した嬿婉は高位の立場を利用し、不敬な穎妃を杖刑(ジョウケイ)に処すと命じた。 しかしさすがに皇帝の妃に罰を与えるなど恐れ多く、太監や侍女たちは一斉にひざまずいて嘆願する。 「娘娘、お鎮まりください」 そこへ偶然、皇太后がやって来た。 皇太后は永琪に祈りを捧げた帰り道で、とんだ騒ぎに出くわした。 巴林湄若は確かに礼儀を欠いたと認めて許しを請うと、璟妧は皇貴妃が自分の頰をつねったせいだとかばう。 そこで皇太后は生みの母である皇貴妃に少しは優しくしてやれないかと諭した。 しかし璟妧は自分の母は穎妃だけだと断言する。 皇太后はならば引き続き穎妃が育てるよう認めたが、慌てた衛嬿婉は璟妧の気性が激し過ぎるため、やはり自分がしつけたいと訴えた。 憤慨した巴林湄若は璟妧は良い子だと言い返し、気性が激しいなら皇帝に気に入られるはずがないと反論する。 すると嬿婉は娘を取り戻したいあまり、思わぬ暴言を吐いた。 「実子ではないでしょう?養母が注げる愛情など知れているわ」 「そうなの?」 ↓思いっきり養母ですが、何か? 嬿婉は皇太后が皇帝の養母だと思い出し、慌ててひざまずいて前言撤回した。 「やはり″生みの親より育ての親″です!」 「フ…落ち着け、勘ぐり過ぎだ」( ๑≧ꇴ≦)あいじゃーwww すると皇太后は子供が一緒にいたいと思う者こそ親の資格があると話し、結局、璟妧の希望通り穎妃に養育を任せた。 毓瑚は皇貴妃が無理やり第7公主を連れ去ろうとして騒ぎになったと報告した。 あれでは穎妃の無礼も責められず、皇貴妃の言動も非難されて当然、しかも皇太后の怒りまで買うことになったという。 話を聞いた弘暦は性急に衛嬿婉を昇格させてしまったことを後悔した。 まさかこれほど無能なうえに、皇太后に浅はかな発言までしようとは…。 そこで弘暦はやはり永琪の百日忌を愉妃に仕切らせると決めた。 永琪の百日忌、巴林湄若は弟の死を心から悲しむ和敬(ワケイ)公主・璟瑟(ケイシツ)の姿に気づいた。 法事でもない限り会う機会がないため、湄若はちょうど安華殿を出て1人になった公主に声をかける。 すると例の騒ぎを知っていた璟瑟は、皇貴妃が第7公主を連れ去ろうとして非難され、蒙古の妃嬪たちのご機嫌伺いも拒否しているとは情けないことだと言った。 湄若は皇帝に媚びるしか能がない人だと蔑み、皇太后を怒らせて子供の教育もできないと呆れる。 「子供の教育もできないとは?」 「皇后になることしか頭にない人に子供の教育ができると? 信じられぬなら、ご自分で確かめてみては?」 如懿はまず早逝した第10皇子の経幡(キョウバン)を完成させた。 すると容珮がそろそろ安華殿へ行く時間だと告げる。 弘暦は如懿に1日だけ祈りを捧げることを許し、ただし他の妃嬪との接触を禁じていた。 如懿は薬を飲んでから安華殿にやって来た。 するとまだ海蘭だけが残っている。 2人は言葉を交わさなかったが、並んで″和碩(ホショ)永純親王″の霊位に手を合わせた。 「永琪…私たちを見守って、あなたの敵を討ち、姐姐の無実を証明してみせるわ」 海蘭が誓いを立てると、横にいた如懿の頰を涙が伝う。 一方、皇太后は如懿からの密書を受け取っていた。 「毒心(心を殺す毒)」 皇太后が安華殿にやって来た。 するとすでに片付けも済んだ殿内で如懿がひとり経をあげている。 如懿と会うのは杭州(コウシュウ)以来だろうか。 「ウラナラ氏は2人の皇后を輩出したが、2人とも夫の心をつなぎ止められなかったな」 「…フッ、ウラナラ氏の娘は皇后に向かないようです」 「そなたを嫡福晋にすると聞いた時、あいじゃーは言った ″不和が生じた時は後悔するかもしれぬ″と…」 「先見の明がおありです」 「当時はそうだったとしても、今は先のことが分からぬ… ″心を殺す毒″とはどういう意味だ?」 つづく ‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/››‹‹\( ´ω`)/›› やったーっ! 谷底に突き落とされましたが、来週はようやく安心して見られそうですね いよいよ残り3話! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.03.22 17:36:03
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