|
カテゴリ:月に咲く花の如く 全74話
那年花开月正圆 Nothing Gold Can Stay 第62話「養子選び」 周瑩(シュウエイ)は呉家の孫世代から養子を選ぶことになった。 しかし甥たちとはたまにしか会ったことがなく、誰を選べばいいのか皆目見当もつかない。 そこで鄭(テイ)氏は5人の孫たちを東院に呼んで、腕比べさせることにした。 西院の呉蔚武(ゴイブ)には玉勝(ギョクショウ)と玉同(ギョクドウ)が、中院の呉蔚全(ゴイゼン)には玉進(ギョクシン)、玉林(ギョクリン)、玉成(ギョクセイ)がいた。 玉勝は養子に選ばれる自信があったが、陳(チン)氏は一番年上なので難しいかもしれないという。 一方、中院の3人は養子など興味がなかった。 できれば辞退したいところだが、祖父が許してくれそうにない。 特に一番年下の玉成は兄たちに養子に行きたくないと訴え、腕くらべより2日後に孵化する小斑鳩(コイカル)の卵が盗まれないか心配していた。 腕くらべ当日、まずは王世均(オウセイキン)が″商いの道″という題目で作文を書かせた。 子供たちは皆、良く書けていたが、そんな中、玉成だけは絵を描いてしまう。 呉蔚全は不真面目な玉成を叱りつけると、玉成は養子になどなりたくないと訴えた。 しかし玉成の絵を見た周瑩は、子供には子供のやり方があると理解を示し、次のお題に移る。 次は江福祺(コウフクキ)の計算問題だった。 「私は銀8両で鶏1羽を買い9両で売りました それを10両で買い戻し、また11両で売りました、私はいくら稼ぎましたか」 正解したのは玉林と玉進だったが、玉成はまたしても数字ではなく文字を書いた。 「″江先生、君はおしまいだ″…どう言う意味ですか?」 「鶏に8両も使うなんて、僕が主人なら江先生をクビにする!」 周瑩は思わず失笑し、いよいよ最後のお題になった。 すると趙鴻伍(チョウコウゴ)が皆に銀子を20両ずつ渡し、2時間以内に使い切りるよう指示する。 この銀子を最も有効に使った人が勝者だ。 街に出た子供たちはのどが渇いたと訴え、年長である玉勝が冷茶をおごってやることにした。 すると玉林は自分の冷茶に何かを入れ、玉勝に前に置く。 玉勝は気づいていたが、知らないふりをして飲み干し、ここで別れて買い物を始めようと言った。 その時、玉成がお願いがあると引き止める。 実は自分の20両を分けてみんなで使って欲しいと言うのだ。 そこで4人は5両ずつもらうと、玉成は小斑鳩の雛を見てくると言って帰ってしまう。 最初に戻って来たのは玉林だった。 玉林は20両で腕輪を買い、別の店で80両で売っていたと告げる。 「それに玉は時間がたつほど価値が出ます、2年後には200両で売れるかと…」 確かに玉林には目利きの才があるようだった。 次に戻ったのは玉進だった。 玉進は薬材でも値が高騰している人参(ニンジン)と当帰(トウキ)を買って来たという。 今買えば当然、損するが、玉進は顔色が悪くて痩せてしまった周瑩のために買ったと言った。 鄭(テイ)氏は何と優しい子なのかと感激し、周瑩も顔がほころぶ。 そこへようやく玉同が駆け込んで来た。 しかし買って来たのはおもちゃやサンザシ飴、自分が楽しければ有効だという。 すると張(チョウ)媽は思わず散財ぶりが誰かに似ていると笑った。 なぜかしっかり者の玉勝が遅れて戻ってきた。 急な腹痛で何度も厠へ駆け込んだという。 そんな玉勝が買ったのは馬草だった。 涇陽(ケイヨウ)では馬草が安いが、興平(コウヘイ)で売れば3両は稼げるからだ。 すると玉勝はまた腹が痛くなり、慌てて厠へ向かった。 玉成はなかなか戻って来なかった。 やがて韓三春(カンサンシュン)が玉成を抱いて連れて来たが、よその子供と喧嘩していたという。 呉蔚全は喧嘩と聞いて驚き、何があったのか聞いた。 「小斑鳩の雛を食べられた!せっかく生まれたのに…」Σ( ̄。 ̄ノ)ノ 食べた?! 「勝ち目のないケンカはするな!」 「負けても戦う!」 すると趙鴻伍は20両で何か買えたか聞いた。 しかし玉成はみんなの買い物が終わったなら自分の分を使い切ったという。 「有効に使ったよ?僕の銀子ならみんなに分担してもらった」 呉蔚全と朱(シュ)氏は孫の失態に怒り心頭だったが、ともかくこれで腕比べは終わった。 玉成はのんきに玉同からもらったサンザシ飴を食べていた。 すると周瑩が驚いたことに玉成を東院の養子にすると発表する。 喜んだ朱氏は玉成からいきなりサンザシ飴を取り上げると、早く周瑩を母上と呼ぶよう強要した。 何が何だか分からなかった玉成だったが、自分が養子に選ばれたと知る。 「うわーん!嫌だ~!養子になりたくない!勘弁して~!うわーん!」 呉蔚武は納得がいかなかった。 腕比べでは優れた者が選ばれるはず、玉成はすべてのお題で一番劣っていたという。 しかし周瑩は玉成に常識外れな天性の才能があると言った。 「玉成は作文で絵を描きました 大きな木の下に家族が集まっている絵は、自分が大木になり家族を守るという意思の表れ つまり善良で責任感が強い、商人の基本です 計算問題でも玉成の答えは不正解とも取れます、でも人並み外れた見識を備えているとも言える 独創的な発想は商人に欠かせません 最後のお題で4人は物にお金を使いましたが、玉成は人にお金を使ったのです まだ幼いのに人を使うなんて驚きでした」 こうして周瑩は枠にとらわれず能力を発揮した玉成を選んだ。 玉成が養子を嫌がっていることも分かったが、周瑩は腕比べに参加した以上、今さら後戻りはできないと告げる。 「これは″母″からの最初の教訓よ、この世の大半のことは思い通りにならない 受け入れるしかないの」 鄭氏や春杏(シュンアン)は周瑩の様子が変わったと感じ、これで東院に残ってくれると期待した。 中院に戻った玉成は物陰でひとり涙に暮れた。 偶然、通りかかった玉林は東院に行きたくないと訴える弟のため、思い切り暴れて周瑩を怒らせればいいと吹き込む。 そうすれば周瑩の気が変わって中院に戻れると言うのだ。 春杏は夜更けになっても灯りがついている書斎に向かった。 すると周瑩が玉成に学ばせる書物を選んでいる。 「これが1年目、これが2年目、3年目、この帳簿も…学ぶべき所に印をつけたわ」 「慌てなくてもまだ先のことです、ふふ」 「出て行くから悠長にしていられない …玉成が早く独り立ちできるよう、お膳立てしてやれば安心して去れる」 春杏は周瑩が本当に出て行くつもりだと知り、落胆した。 翌朝、玉成が東院へ越してきた。 春杏は使われなくなって久しい学徒房へ玉成を連れて行くと、そこで周瑩が待っている。 「ひざまずいて…私にではなく関羽(カンウ)像に向かって」 像の横には大きく″誠″と″信″の字が刻まれていた。 周瑩は第3話で呉蔚文(ゴイブン)から教え込まれた通り、玉成にも戒めを教え込む。 「″誠″とは確かな品で正しい値であり、″信″とは高い信用と名誉よ!」 すると周瑩は最後に新しい名前を授けると言った。 「今日からあなたは″懐先(カイセン)″、字(アザナ)は″念昔(ネンセキ)″よ」 「ヤダヤダヤダヤダーッ!名前は変えたくない!」 しかし周瑩は無視して帰ってしまう。 懷先は自分の部屋に案内されるなり暴れ出した。 裁縫が苦手な周瑩が自ら縫った布団も寝台の外へ投げ捨ててしまう。 春杏は手こずったが、そこへ周瑩が現れた。 「懷先?今夜、布団なしで寝るの?」 「なしでも寝てやる!」 「好きにして」 すると周瑩は出て行ってしまう。 春杏はなぜ玉成を選んだのか分からなかった。 他にも利口で素直な子がたくさんいたのに…。 「懷先は誰かに似ていると思わない?昔、この東院にいたわ 懷先と同じようにここから出て行くことばかり考えてた」 「言われてみれば…東院に来た頃の少奶奶に似ています」 「私だけじゃない…」 「四叔?」 「まだいるわ…」 しかし周瑩は名前を出さなかった。 つづく (TㅅT)学徒房のシーン、泣けたわ〜 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.04.03 13:30:38
コメント(0) | コメントを書く
[月に咲く花の如く 全74話] カテゴリの最新記事
|