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カテゴリ:夢幻の桃花~三生三世枕上書~全56話
![]() 三生三世枕上书 Eternal Love of Dream 第49話「影の宿命」 沈曄(シンヨウ)の過去をさかのぼること300年前、妙華鏡(ミョウゲキョウ)は驚いたことに太晨(タイシン)殿を映し出した。 「やはり私と関わる者だったか…」 東華帝君はようやく第8話の経緯を知り、謎が解ける。 あれは東華帝君が緲落(ビョウラク)の封印を強固にした時、深手を負って昏迷した時のことだった。 この時、東華帝君は修為を早く回復させるため、人間界への歴劫(リャッコウ)を決めた。 そこで従者・重霖(チョウリン)は東華帝君が留守の間、緲落を牽制するため、耘荘仙翁(ウンソウセンオウ)の″往世の術″を使うことにする。 こうして東華帝君の影は比翼鳥(ヒヨクチョウ)族に転生した。 転生した者は己が東華帝君の影であることも、妙義淵(ミョウギエン)を守るという大任も知らないが、影は東華帝君の一部のため緲落を威嚇することができる。 しかしこの秘密を知る重霖・連宋(レンソウ)・耘荘は影の人生に影響がでないよう忘れ薬を飲んでおり、すでに覚えていなかった。 沈曄は東華帝君の分身として生まれた影だった。 東華帝君はどうりで息遣いが自分と似ていたはずだと合点が行く。 激昂した沈曄が阿蘭若(アランジャク)の最期の場面で″創世の術″を放ったが、東華帝君が緲落を抑えるために作ったこの術を使えたのもこれで説明がつく。 しかし影が仙力を使えるのは一度きり、結局、沈曄はこの力を全て使い果たし、阿蘭若の夢を作っていた。 蘇陌葉(ソハクヨウ)は、ならば息澤(ソクタク)の話の通り結魂灯(ケッパクトウ)を使って阿蘭若を復活させられると期待する。 確かに阿蘭若が普通の地仙ならこの方法が使えるが、東華帝君はすでに阿蘭若の正体に見当がついていた。 東華帝君は次に阿蘭若の過去をさかのぼった。 すると妙華鏡には予想通り青丘帝姫・白鳳九(ハクホウキュウ)が映し出される。 第9話で鳳九は謝孤栦(シャコシュウ)から東華帝君が往世の術を利用し、人間界に転生したと聞いた。 『私の影を持って帰って帝君の影と同じ所へやって欲しい、分身にも恩返しをさせたい』 しかし鳳九はどこへ影を送ったのかは知らず、ただ影の恩返しが失敗しても人間界への転生でやり直せると話していた。 阿蘭若は白鳳九の影だった。 影の一生は一度きり、沈曄が夢の世界を作ったところで復活はできない。 しかしその頃、何も知らない沈曄と鳳九は阿蘭若を復活させるため、事実の通り戦場で鳳鳴陣(ホウライジン)を敷こうと考えていた。 沈曄は決して鳳九を傷つけることはないと約束、するとそこへ阿蘭若の記憶よりも早く茶茶(チャチャ)が駆けつける。 「殿下!大王が亡くなりました」 白鳳九が王宮へ駆けつけると、すでに相里闕(ショウリケツ)の息はなかった。 悲しみに暮れていた相里賀(ショウリガ)は阿蘭若の姿に気づいて父に会うよう促す。 その頃、沈曄は割れた琉璃盞(ルリサン)を復元していた。 すると家人が慌てて駆けつける。 沈曄は用件を聞かずとも神官へ戻れとの命だと知っていたが、なぜか夜梟(ヤキョウ)族の急襲という報告だった。 夢の中は大きく変化し、もはや何が起こるか予想できなかった。 そこで沈曄は事実を無視して王宮へ駆けつけると、ちょうど濡れ衣を着せられた白鳳九が拘束され、その場で斬られようとしている。 沈曄はすかさず剣を招喚して阻止、もはや時間がないと焦った。 「芝居はもうやめろ!」 開き直った沈曄は阿蘭若と共に戦うと訴え、王宮から出せと迫る。 皇后・傾画(ケイガ)は呆然としていたが、沈曄の迫力に押されて2人を見逃した。 東華帝君と蘇陌葉は沈曄が夢を作った理由を知った。 どうやら夢から安全に出るためには沈曄が執念を捨てて心魔を取り除くしか方法はない。 もし阿蘭若への執着が捨てられなければ、沈曄には死があるのみだ。 東華帝君と蘇陌葉は急いで山を降り、阿蘭若の屋敷に駆けつけた。 しかし茶茶から大王が崩御して公主が王宮へ行ったと聞かされる。 驚いた2人はすぐ王宮へ向かったが、すでに沈曄と鳳九は夜梟族と戦うため、思行河に発っていた。 現実の梵音谷(ボンオンコク)では、潔緑(ケツリョク)から相里萌(ショウリホウ)が王宮に戻ったと聞いた燕池悟(エンチゴ)が解憂泉(カイユウセン)にやって来た。 ひとりで結界を見守っていた連宋は暇つぶしに碁の相手を頼むが、燕池悟は琴棋書画の類が苦手、しかし姫蘅(キコウ)の趣味に合わせるためにも習いたいという。 そこで恐る恐る黒石を置いたが、連宋は絶望的に向いていないと呆れた。 一方、白鳳九は予定通り前線で兵を率いて夜梟族と戦っていた。 そこで沈曄が頃合いを見て鳳鳴陣を敷くよう告げる。 その様子を緲落(ビョウラク)の化身が見ていた。 「鳳鳴陣か…予想した通りだ」 すると緲落の化身は邪気に姿を変え、林の中へ退却した夜梟族の将軍の身体を乗っ取ってしまう。 白鳳九は沈曄が打ち込んだ杭の上に立ち、いよいよ鳳鳴陣を敷くことにした。 沈曄から習った通り一か八か術を放つことにした鳳九、その時、どこからともなく蒼何(ソウカ)剣が現れ、鳳九が乗っている杭に突き刺さる。 鳳九は急に傾いた杭から落下すると、颯爽と登場した東華帝君が鳳九を受け止めて着地した。 「むやみに出歩くな…怪我は?」 「フル(・_・ ))(( ・_・)フル」 ![]() 東華帝君が鳳九を連れてひと気のない川岸へ移動すると、蘇陌葉と沈曄も続いた。 沈曄はようやく息澤が師匠ではなく東華帝君だと気づき、丁重に拝礼する。 「帝君の目はごまかせません、図らずも阿蘭若の元神はその女子の中に… 帝君、私にはその女子が必要です、どうか寛大なお心でお返しください」 しかし東華帝君は自分のものを譲る気などないと断り、仙術で鳳九の鳳羽花(ホウウカ)を現し、鎧から衣に着替えさせた。 「小白は夢の世界に陥り、阿蘭若と入れ替わったのだ 阿蘭若が比翼鳥(ヒヨクチョウ)族なら息澤が教えた方法で復活するが、しかし阿蘭若の正体はただの影だ 一度きりの生命を全うすれば消える、元神を集めたところで元には戻らない」 東華帝君は阿蘭若が二度と復活しないと教え、鳳九を連れて姿を消した。 阿蘭若の元神を取り込んだのは青丘帝姫・白鳳九で、阿蘭若は鳳九の影だった。 蘇陌葉は実は沈曄も影から生まれたと教え、東華帝君の影だと明かす。 「ありえん!信じないぞ!」 沈曄は頑なに真実を受け入れず、仕方なく蘇陌葉は妙華鏡を取り出した。 蛇陣に向かっていた東華帝君と白鳳九だったが、夜梟族が現れた。 「ドンファ、また邪魔してくれたねえ~」 東華帝君は将軍が緲落の化身だと気づき、兵士たちを退けて将軍と手合わせになる。 しかしその頃、沈曄が全ての経緯を知って絶望していた。 「何もかもが徒労であった…阿蘭若…どこにいる…戻って来い…」 沈曄は琉璃盞(ルリセン)を抱きしめながら川へ入り、そのまま沈んでしまう。 沈曄は自ら命を絶った。 すると影はおのずと東華帝君の元へ帰ったが、図らずも緲落の化身と対峙している時に身体に取り込まれてしまう。 そのせいで東華帝君は急に身動きが取れなくなり、緲落の化身はこの機に鳳九から元神の印を取り戻すことに成功した。 意識が戻った東華帝君は緲落の化身に一撃を与えたが、そのまま逃げられてしまう。 白鳳九は再び負傷し、意識を失った。 東華帝君はともかく鳳九を抱きかかえ、川岸に残った蘇陌葉を迎えに戻る。 「夢が崩れ落ちる前にここを離れよう」 その頃、連宋は弱すぎる燕池悟との一局にへき易していた。 すると蛇陣の結界に異変が現れ、急に雪が溶け始めたかと思うと、東華帝君たちが夢から戻って来る。 東華帝君は温泉がある玉林院で鳳九を休ませると話し、燕池悟に疾風院へ戻るよう命じた。 東華帝君は白鳳九を寝台に寝かせ、わざわざ昏睡訣(コンスイケツ)をかけた。 連宋は鳳九が重傷でも負っているのかと聞いたが、思わぬ事態になったことを知る。 「緲落は魔族の血涙(ケツルイ)の他に小白の鳳羽花に元神の赤い印を残していた 夢の中で緲落の化身に襲われ、それを持ち去られた…」 そこで東華帝君は梵音谷の王たちを集め、民たちを脱出させるよう頼んだ。 また燕池悟をすぐ魔界に帰し、赤(セキ)魔君・喣暘(クヨウ)に血涙を死守するよう伝言させる。 元神の印を手に入れた緲落は次に血涙を狙うはず、もし血涙を手にすればついに封印を解いてしまう。 「連宋、もう1つ頼みがある…」 連宋は東華帝君が妙義淵へ向かうと分かった。 すると東華帝君は鳳九には何も知らせるなという。 「阿蘭若の夢に入る前の傷がやっと回復したのだ、緲落のせいでまた傷ついた 私と出会ってから傷だらけだ…小白についてはまず傷を癒してから様子を見よう…」 連宋は東華帝君を見送ると、鳳九への気遣いにいささか困惑した。 「男女の情に疎かったあの方がこうもお変わりになるとは…」 東華帝君は妙義淵に封印された緲落を訪ねた。 しかしあれほど威勢が良かった緲落が、いざ修為を6割まで取り戻してみると急にしおらしい。 実は鳳九から赤い印を取り戻した緲落は力を回復し、徐々に封印が解けていた。 拘束されていた腕はすでに自由に動くようになっていたが、緲落はおくびにも出さない。 すると東華帝君は念のため封印を強化し、白鳳九を傷つけたお返しに一撃を与えて帰って行った。 その夜、白鳳九が目を覚ますと、隣で東華帝君が眠っていた。 …夢から戻って来られたのね 鳳九は東華帝君の顔を見つめながら、阿蘭若の夢の中で夫婦として過ごした時間を懐かしむ。 …ディジュンは横向きで寝る、髪が乱れてしまうのに …ここにいるのは本当にディジュンのなのね、夢じゃない すると東華帝君が目を覚ました。 「気がついたのか?具合はどうだ?」 「だいぶよくなった…あなたは?」 「少し疲れた、ゆるりとしたいのぉ~」 東華帝君は鳳九を抱き寄せて目を閉じた。 「…夢の中から出たけれど何も変わっていない、阿蘭若の欠片は全て離散したのにね」 「夢は崩れても我々は存在しておる」 「でも今はもう阿蘭若と息澤ではない…」 「もちろん私は私、そなたはそなたじゃ、私とそなたも他の何者でもない」 「…幸せだわ」 東華帝君は白鳳九の額に優しく口付けした。 …小白、これからは二度とそなたを傷つけない、何度生まれ変わろうと一緒だ ![]() 東華帝君が夢から戻ったと知った姫蘅は早速、部屋を訪ねた。 しかし戸を開けてみると、寝台で眠る東華帝君の向こうに寄り添う女子の姿がある。 驚いた姫蘅は夜明珠を落とし、慌てて引き返して行った。 物音に気付いた東華帝君は仙術で戸を閉めると、ネズミが植木鉢を落とした音だと嘘をつく。 「どうした?怖いのか?私がいるのに…」 「怖くない、ただ恥ずかしくなっただけ…」 すると鳳九はふとめまいに襲われ、眉をひそめる。 東華帝君は疲れただけだとなだめて休ませたが…。 姫蘅はどうしても東華帝君をあきらめ切れず、苦しんでいた。 一方、魔界に戻った燕池悟は、魔君や首領たちと力を合わせて血涙を守ることにする。 そこにはあの聶初寅(ジョウショイン)も涼しい顔で参加していた。 つづく |ω・`)ァァァァ〜姫蘅のこと忘れてた… ってか蘇少は助けないんだ…( ̄▽ ̄;)
最終更新日
2021.01.27 09:56:04
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