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カテゴリ:夢幻の桃花~三生三世枕上書~全56話
三生三世枕上书 Eternal Love of Dream 第50話「終わらない戦い」 翌朝、白鳳九(ハクホウキュウ)が目を覚ますと寝台で独りだった。 しかしそこへ先に起きていた東華帝君(トウカテイクン)がやって来る。 「あなたは誰?」 鳳九はまた記憶を失ったふりをしたが、そのいたずらで墓穴を掘ることになった。 「残念だぁ~青丘でそなたの家族に相談するつもりだった、そなたとの婚儀の祝宴をいかに行うか… だが花嫁の記憶がないなら全て無期の延期じゃな」 東華帝君があっさり出て行こうとしたその時、鳳九は慌てて後ろから抱きついて引き留める。 「おっ思い出してきた!あなたは帝君で、私は白鳳九です!…あなたの小白よ」 すると東華帝君は鳳九の額を指で軽く小突いた。 「痛っ…次はもっと上手くやるわ」 「次だと?」 「もうしない…ボソッ」 「ふっ、もうじき谷を出るゆえ、温泉で身体を癒やせ、重霖(チョウリン)に婚姻の準備をさせておく」 ピューッ!ε===┏( ・_・)┛<ラジャー! 白鳳九が温泉に行ったところで東華帝君は中庭に出た。 すると連宋(レンソウ)が比翼鳥(ヒヨクチョウ)族と夜梟(ヤキョウ)族の王族たちを連れて待っている。 実は相里橘諾(ショウリキツダク)たちは民たちだけ避難させ、王族たちで梵音谷(ボンオンコク)を死守しようと決めていた。 「我々には王族としての誇りがございます、今ここに留まらねば後代の者に顔向けできません」 確かに梵音谷では天族は仙力が失われてしまうため、仲間がいるのは心強い。 連宋もすでに脱出の手はずを整え、天族も準備万端だと報告した。 「谷を守ることをお許しください」 橘諾たち王族はひざまずいて嘆願すると、東華帝君は共に妙義淵(ミョウギエン)を守ろうと了承する。 そこで邪気を浄化して緲落(ビョウラク)を抑えることができる連心鏡(レンシンキョウ)を女王に授けた。 比翼鳥の王族は話し合いの末、郡主・潔緑(ケツリョク)だけ脱出させることにした。 驚いた潔緑はちょうど学堂で片付けをしていた第2皇子・相里萌(ショウリホウ)を見つけ、自分も残りたいと掛け合う。 しかし相里萌は、全員が残れば寄る辺がなくなってしまうとなだめた。 「先導して民を率いる者が必要なんだ、天族に生殺与奪の権を握られてもいいのか?」 相里萌は王子として梵音谷を守ることが使命だと話した。 母の戒め通り、梵音谷の悲劇はこの地にとどめなくてはならない。 「案ずるな、これは一時的な別れだ」 相里萌は谷を守り抜いて再会の日を待つと安心させたが、覚悟は出来ていた。 蘇陌葉(ソハクヨウ)はひとり解憂泉(カイユウセン)で簫を吹いていた。 そこにふらりと東華帝君が現れ、気品ある情感豊かな音色だと称賛する。 「こたびのそなたの尽力に礼を言う」 「帝君に尽くすのは生涯の光栄です…その上、私の身勝手をお許しくださいました」 しかし東華帝君は身勝手ではなく真実を求めただけだと理解を示した。 長年、阿蘭若(アランジャク)の死が頭から離れなかった蘇陌葉、確かに沈曄と阿蘭若が相思相愛だったという結末には傷ついたという。 「苦しみ悩んである考えに至りました、この真実は私の想像より救いがある 阿蘭若もそう思うはずです、阿蘭若が愛したのはふさわしい相手だったのですから…」 「(´ -ω-)うむ、ついに悟ったのじゃな、立派じゃ」 すると蘇陌葉は何やら不穏な動きがあることを知り、万一があれば西海も東華帝君に従うと誓った。 白鳳九は中庭に出ると、久しぶりに現実世界の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。 すると燕池悟(エンチゴ)から長い手紙が届く。 相里萌が別れの宴を所望しているため、元気なら酔里仙(スイリセン)で酒を飲もうと書いてあった。 …お前が夢の中にいた頃、比翼鳥族は我々の身分を疑っていた …だが仏頂面と連宋の手前あえて追求しなかった …萌少にも何度か聞かれたが、俺の身分だけ明かした、親友だからな …お前のことも魔族だと思っているようだ …萌少が恋しているのは伝説の白鳳九でお前ではない、真実を伝えたところで仏頂面にかなうまい …このまま隠し通すか、身分を明かすか、自分で決めてくれ 一方、東華帝君と連宋は水月潭(スイゲツタン)にいた。 連宋は四季が復活した梵音谷はさながら桃源郷のようだと感慨深い。 東華帝君が本来、俗世に無縁の梵音谷を選んだのは妙義淵(ミョウギエン)を封印し、三毒の気を中和するためだった。 しかし完全に浄化するには東華帝君の残された修為では足りない。 回復するには再び長い眠りが必要だったが、その前に緲落を始末する必要があった。 東華帝君は妙義淵を抑えれば緲落を封じることができるが、息の根を止めるなら妙策が必要だという。 そこで連宋は独りで戦わずとも天下には有能な上神もいると訴え、太晨(タイシン)宮で静養したらどうかと進言した。 すると東華帝君は嬉しそうに近々、慶事があると教える。 「谷を出たら娶る約束なのじゃ」 連宋は男女の情に疎い東華帝君に先を越されるのかと驚きを隠せなかったが、ふと大事なことを思い出した。 「そう言えば、あの頻婆果(ビンバカ)は謝(シャ)冥主に託しました」 その頃、酔里仙では燕池悟と相里萌が先に始めていた。 相里萌は今度の一件で九歌(キュウカ)の想い人が東華帝君だと知り、愛する人と一緒にいられて羨ましいという。 しかし白鳳九の本当の姿を知らず、幻想だけを膨らませる相里萌に燕池悟は困惑した。 「きっと彼女は良家の箱入り娘で、純粋で善良な仙女だ〜♡ 小動物を愛し、酒や肉など口にせず、それから…」 そこへちょうど白鳳九がやって来た。 「それから生き物や虫が好きで、蝿さえとても殺せない…」 その時、奇しくも鳳九が卓上に止まった蝿を一発で仕留める。 相里萌は唖然となったが、燕池悟はもし白鳳九が九歌のようならどうするかと尋ねた。 「あははは~ありえない!もしこんな人なら豆腐の角に頭をぶつけて死ぬ…」 「…私が青丘の白鳳九よ?あの壺も私があげたのよ?あなたを助けた時は身分を隠してた ずっと黙っててごめんね?(^ꇴ^)うふふふ~」 相里萌が恋い焦がれて来た白鳳九は理想とは全く異なる仙女だった。 すると長年の夢が破れた衝撃で、相里萌は失意のあまり卒倒してしまう。 その時、東華帝君と連宋がやって来た。 侍女たちに起こされた相里萌は女など二度と信じないと声を荒げ、そのまま帰ってしまう。 そこで燕池悟は東華帝君と鳳九を2人きりにするため、連宋を誘って相里萌を慰めに行くことにした。 相里萌は山道の途中でひとり落ち込んでいた。 連宋は相里萌が愛したのは空想上の女子に過ぎず、白鳳九ではないと諭す。 しかし相里萌は傷ついたのではなく、冷静になってみると大失態だったと嘆いた。 「私は朋友に恋していたんだ、目の前で愛を語りながら気づかなかった…情けないよ」 すると燕池悟は告白すればいいと発破をかける。 相里萌は恥の上塗りだと言ったが、燕池悟は相思相愛だけが愛ではないという。 「報われなくても愛は愛だ、違うか?想いを伝えろ、一生、後悔するぞ?」 相里萌はちょうど東華帝君と一緒に歩いている白鳳九を見つけた。 そこで東華帝君に鳳九と話がしたいと断り、酒席での失態を詫びる。 しかし鳳九は相里萌を大切な友だと伝え、これからも九歌だと安心させた。 「それは良かった、だって…ずっと好きだった方に思いを告げられるから… 鳳九殿下、うぉ(我)…悔いはありません」 「ふふ、本当に?愛は実った時こそ悔いがなくなるわ 心から愛する相手には必死で向き合うこと、小燕が手本よ、次は振り向いてもらえるようにね」 「はお!」 連宋と燕池悟は遠目から相里萌の様子を見ていた。 「東華帝君と女を争う命知らずがいるとはな~もっと近くで見ればよかった~」 「面白がってんのか?( ̄  ̄)サイテー…天族って悪者ばかりだな~」 そこへ相里萌が戻って来た。 相里萌は東華帝君の手前、白鳳九に何も言えず、ただ祝福を伝えたという。←そうなの? 「私が恋したのは空想上の女子だと言っていただろう?違うんだ… 届かぬ想いは承知の上、諦め切れなかったのは私の愚かさというより、 鳳九殿下に会って初めて春や夏の暖かさを知ったからだ」 すると相里萌は燕池悟たちと友情を結べて本当に嬉しいと言った。 一方、東華帝君は白鳳九と2人で沈曄(シンヨウ)と阿蘭若の元神を封じた苗木を植えることにした。 2人は影だったが元神があり、亡くなって全てが無に帰しても、世間の道理にならえば感情は残るという。 「2人は影だったけど本物の愛があった…ここは埋葬地にふさわしいわ、遺恨もきっと消える」 「一緒に帰ろう」 「ふふ~太晨宮でお仕えした時、帝君は一瞥もくれなかった 一緒に帰ろうだなんて、まるで夢見たいだわ」 「知らなかったのだ、知っていれば時を惜しんだはず…」 妙義淵に比翼鳥族と夜梟族の王族が駆けつけた。 緲落は地仙ごときが自分を始末するつもりかと呆れたが、驚いたことに緲落が邪気を浄化する連心鏡を放つ。 「ドンファ…やはり機会を与えぬつもりか…」 そこで緲落は邪気で玄(ゲン)魔君・聶初寅(ジョウショイン)に助けを求めた。 …聶初寅、早く来るのだ!… しかし聶初寅は赤(セキ)魔君・喣暘(クヨウ)が命がけで結界を張っており、禁忌の地で血涙を奪うなら殺さねばならないと困惑する。 「今の私には無理です」 …どうあっても殺せ!東華に力を封じられた、ここを出るには絶対に血涙が必要だ!… ↓( ー̀ωー́ ).oO(メンドクセーと思っていそうw 聶初寅は禁忌の地でひとり血涙を封印している喣暘を背後から狙った。 しかし運悪く燕池悟が現れる。 「何をしている!」 「結界を強化すると聞いて加勢に来たんだ」 喣暘の話では違和感を覚えるが原因が分からないという。 そこで燕池悟と聶初寅が手伝いを申し出ると、喣暘は聶初寅だけ制止した。 「玄魔君は結界を強化するので集結するよう仲間に伝えて来い」 梵音谷を出た白鳳九は真っ先に縁啓(エンケイ)台を訪ねた。 謝孤栦(シャコシュウ)が葉青緹(ヨウセイテイ)に頻婆果を与えてまだ3日、復活にはまだ時間がかかるという。 「埋葬の時、骨はなく、わずかな元神が残ったのみで、それすら眠りの間に失われつつあった 復活を急ぐと邪悪な気が取り除けず残るぞ?、そうなると頭は朦朧として知力が衰えてしまう 戻す方法はあるが、ただし神仙の修為を分けてもらう必要がある」 すると鳳九は命がけで自分を助けてくれた葉青緹に自分の修為を使って欲しいと頼んだ。 そうと決まれば仙籙宝籍(センロクホウセキ)の定めによれば葉青緹は神仙にふさわしく、あとは仙体を与える者と瑶池(ヨウチ)に行って身を清めれば神仙になれるという。 「分かった、修行には私が付き添うわ」 「まだ体形を整えたばかりだ、焦りは禁物だぞ?時機が来たら必ず伝えるよ」 「はお」 つづく (  ̄꒳ ̄)萌少の話がチンプンカンプンなんですが…ってこの恋バナ必要か?w お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.01.20 22:01:34
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