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2021/12/16(木)22:56

上陽賦~運命の王妃~#31 あらすじ

上陽賦~運命の王妃~全68話(68)

上阳赋 The Rebel Princess 第31話「三つの命」 崩御した皇帝は自分の遺志を継いで国を治める次期皇帝に皇太子・馬子隆(バシリュウ)を指名していた。 退路を経った王藺(オウリン)は火薬を爆発させて皆を道連れにすると脅したが、そこへ妻の馬瑾若(バキンジャク)が現れる。 「…長い夫婦生活で借りは全て返しました  今日をもって私、馬瑾若、晋敏(シンビン)長公主はあなたと夫婦の縁を切ります  皇兄の言葉を聞かず、あなたに情けをかけたのがいけなかった…  そんなに馬氏を嫌うなら私も皇兄と逝きましょう」 すると馬瑾若は足元に落ちていた兵士の剣を拾い、自ら首を斬ってしまう。 「瑾若!」 「むーちん!」 王藺は慌てて駆け出し馬瑾若に駆け寄ったが手遅れだった。 父の腕の中で息を引き取った母の姿に王儇(オウケン)は呆然、その場で腹を抱えてうずくまり、目の前が真っ暗になる。 「阿嫵(アーウォ)!」 蕭綦(ショウキ)は驚いて阿嫵を抱きしめたが、その時、王儇の足元から血が流れ出した。 長公主が命を以って丞相の謀反を鎮めた。 こうして胤暦2年9月、大成皇帝・馬曜(バヨウ)の国葬が執り行われる。 そして10月5日の吉日に皇太子・馬子隆の即位式が挙行された。 新帝は恩人である豫章(ヨショウ)王・蕭綦に国政の補佐を命じ、温宗慎(オンシュウシン)を侍中に復職させる。 子隆の姿に感無量の皇太后王氏と皇后謝氏、しかし安平王・馬子澹(バシタン)だけは複雑な面持ちでうつむいていた。 …臣下たちは朝服姿の新皇帝をひざまずいて迎えた …喪中につき音楽は禁じられたが、鞭が三度打たれ、慶事を告げる鐘が鳴る …宮殿の外でも皆こうべを垂れた …新皇帝の即位と共に皇后は皇太后となり、皇太子妃は皇后に封じられる 恐らく数千年後、歴史の記録に残るのはこのような数行の記述だけになるはずだ。 馬瑾若の亡き骸は慈安寺に埋葬された。 …あの日のおぞましい出来事は永遠に忘れられない …私は母を失い、まだ見ぬ子まで失ったのだ …一生分の涙をあの日、全て流した …命がけで私を守ってくれた母、もう二度とあの笑顔で私の名を呼ぶことはない 蕭綦も徐(ジョ)女官も全快していない阿嫵を心配し、連れて帰ろうとした。 しかし王儇は母の位牌を抱いたまま墓の前から動けない。 悲しみに打ちひしがれる王儇、蕭綦はただ憔悴しきった阿嫵を抱きしめ、そばに付き添っていた。 王儇は涙が枯れ果てた頃、ようやく母の墓をあとにした。 蕭綦の話では皇帝の死を詮索させまいと新帝から式乾(シキケン)殿の侍女と医官を死罪にするよう密命が下されたという。 また家族の情を鑑みて王藺を反逆の罪には問わず、王氏一族の罪も放免してくれた。 しかし徒党を組んだ罪は重く、王藺は3日後に処刑されるという。 「会ってこい、どうであれそなたの父親なんだ」 王儇は食事も喉を通らず、伏せったままだった。 …母を失ったと同時に私は我が子も失った …蕭綦に子を授かったことも告げられぬまま、お腹の子は私と共に子律(シリツ)に立ち向かい …蕭綦と共に苦難を乗り越えたのに、逝ってしまった 蕭綦は阿嫵の様子を見に来たが、その哀れな背中を前にすると声もかけられない。 この絶望からどうすれば立ち直れるのか、それは王儇本人にも分からなかった。 皇太后は王氏一族を守るため、子隆が蕭綦に頼んだ残党の調査を止めた。 しかし皇帝は未だ母が決定権を持つことに納得がいかず、今や恩人である蕭綦に絶大な信頼を寄せている。 皇太后は蕭綦に惑わされるなと警告したが、皇帝は蕭綦に褒美を与えるつもりだと言った。 すると皇太后はある策を思いつく。 「…ならば免死金牌(一度だけ死罪を免除する札)を与えては?」 そこへ皇后・謝宛如(シャエンジョ)がやって来た。 皇后の懐妊が分かった。 宛如はこの時期に合わせて来てくれた我が子の強運に喜び、流産した王儇の不運を笑う。 「ふっ、どうでもいいわ、彼女の子なら薄命なのも仕方がない」 そこで宛如は早速、報告に向かった。 宛如の懐妊に天にも昇る心地の子隆、しかし皇太后はこの機に乗じ、妊娠初期は用心すべきという口実で後宮の権限を取り上げてしまう。 その夜、皇太后は密かに王藺を寝宮に招いた。 ただの兄と妹に戻って杯を交わそうという皇太后、すると王藺は妹の勝ちを認めたが、王氏を裏切ったのも事実だという。 「王氏を裏切ったのは兄上です、私が誰より尊敬し頼って来たのは兄上  子隆は私の子ですが馬氏の末裔だとお忘れですか?  王氏は馬氏と代々を共にしながら朝廷の半分を手にしました  だけど兄上は朝廷の全てを仕切っても満足しなかった  子を守る女の冷酷さを甘く見てはいけません」 とは言え冷酷さで言えば王藺の足元にも及ばないだろう。 これまで王藺を父と思って従って来たが、まさか兄が甥の皇位を狙うとはあまりに酷い仕打ちだ。 しかし王藺は愚鈍な子隆に国を任せることなど到底できないという。 「大事を成す者は家族を顧みぬ!」 「兄上、もういないでしょう?阿嫵も長公主も実の妹である私も…兄上の家族は皆、背を向けた」 「ふっ…ははは、確かに」 すると王藺はようやく杯を手にした。 「息子をしっかりと守ってやるんだな、そして家族仲良く幸せにな…」 「兄上、ご心配なく…私がいる限り王氏の没落はありえません」 皇太后は兄の言葉が最後の強がりだと思っていた。 皇太后は子隆に皇后の懐妊中は安静のため出入りを自重するよう助言した。 これを知った宛如は激怒、子隆はいつまでも母親の言いなりだと嘆く。 しかし乳母はむしろ今は皇帝に尽くすべきだと助言した。 翌朝、子隆は皇后からの差し入れを持って母を訪ねた。 すると皇太后はせっかくの高麗人参湯を侍女たちに与えてしまう。 子隆は顔をしかめたが、それより伯父を処刑すると決めながら豫章王になぜ免死金牌を下賜するのか聞いた。 皇太后は王藺が失脚すれば豫章王が権力を独占し、何より阿嫵がそばにいると警告した。 「私は阿嫵の能力をよく知っているわ  あの夫婦を仲違いさせてこそ安心して一歩を踏み出せる」 豫章王が免死金牌を手にしたと知れば当然、阿嫵は父を助けるよう懇願するはずだ。 しかし豫章王の性分なら王藺の罪を許せず、2人の間に溝ができる。 もし豫章王が王藺を助けると決めたとしても、今度は配下たちが阿嫵に不満を抱くだろう。 すると皇太后はどちらにせよ兄は長く生きられないと断言した。 「豫章王が助けたとしても辺境へ行くことになる、道中には山賊が待ち受けているわ…」 王儇が目を覚ますと、帳(トバリ)の向こうで正座している兄の姿に気づいた。 「父上を助けてくれ、どれだけ憎もうと父親だろう?」 王夙(オウシュク)は皇帝の恩人であり、兵権を掌握した蕭綦なら助けられると期待する。 「阿嫵、蕭綦は王氏の婿だ、あいつの入京を手助けしたのは父上だぞ?  愛娘まで捧げたのに…恩を返すべきだろう?!こうなったのも蕭綦のせいだ!」 「…真実を知らないの?」 王儇は父へのわだかまりを捨てられず、首を縦に振らなかった。 父の処刑は明日、王夙は王儇の葛藤を理解できず、痺れを切らして帰ってしまう。 「お前が助けないなら私が行く…私に何かあればこれが最後の別れになるだろう」 つづく ( ;∀;)むーちん… ついにオスマン帝国外伝が始まる!…え?w

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