2022/02/18(金)11:46
上陽賦~運命の王妃~#48 あらすじ
上阳赋 The Rebel Princess
第48話「狩り場での陰謀」
王儇(オウケン)は申(シン)太医を屋敷へ呼び出し、人払いした。
「命を懸けても子を持ちたいの、あなたが協力できないなら他の医者をあたる」
「よくお考えの上ですか?子がお生まれになっても王妃は…」
「分かっている、でも望みがあるならあきらめたくないの」
「決断されたのなら私の全てを懸け、王妃の命も救える方法をお探しいたします」
王儇は生まれ変わっても申太医への恩を忘れないと言った。
たとえ自分に万が一のことがあっても申太医に迷惑はかけないという。
「ありがとう」
王儇は太医を見送ると、徐(ジョ)女官に数日ほど宮殿で過ごすと伝えた。
実は自分の冷え性を治す方法があり、鍼治療を受けるという。
一方、鄭(テイ)嬷嬷(モーモー)は皇后の使いで月柳(ゲツリュウ)閣を訪ねた。
そこで賀蘭箴(ガランシン)の密偵に豫章王を仕留める準備をするよう伝言を託し、次に安平王・馬子澹(バシタン)の配下にも計画を知らせる。
その頃、皇帝・馬子隆(バシリュウ)は珍しく昭陽殿を訪ねた。
実は豫章王から寧朔に帰りたいと上奏があり、もし辺境に帰れば自分たちの脅威にはならないという。
しかし宛如は短絡的過ぎると諌めた。
その夜、王儇はなぜか胸騒ぎがして眠れなかった。
蕭綦(ショウキ)が狩り場に行くと聞いてからなぜか不安でたまらない。
同じ頃、宛如は泣き止まない小皇子に手こずっていた。
しかも宮女から皇帝は容(ヨウ)妃の寝殿で過ごすと報告を受け、不満が募る。
皇后まで上り詰めても地位は盤石になるどころか皇帝との溝は深まるばかり、しかし今は耐えるしかなかった。
江南では江夏王・王夙(オウシュク)の治水計画が順調に進んでいた。
3つの堤防を修復できたおかげで水位も抑制され、粛毅(シュクキ)伯・宋懐恩(ソウカイオン)が担当する下流域も5日以内に完工予定だという。
これも顧采薇(コサイビ)の協力で人手が集まったおかげだった。
思わぬ縁で交流を深める2人、すると王夙はしみじみ自分たちが寒門の出身なら自由に生きられただろうという。
しかし采微は士族であれ寒門であれ悩みはあると言った。
「出身であれ境遇であれ婚姻であれ、思い通りにいかないものです
ですが不幸に直面した時、その対処法だけは自分で選べます」
( ゚д゚)<ぽかーん…悟りを得たような言葉を若い女子の口から聞くとは
( ˶´꒳`˵ )<私はもう成人ですよ?
( ゚д゚)<お、おう(良かった、犯罪じゃない)
狩り場へ発つ朝、蕭綦は見送りに出てくれた王儇に辞任の件を伝えた。
「陛下から許可をもらった、狩り場から戻ったら寧朔(ネイサク)へ帰ろう」
すると王儇はあっさり同意し、もはや皇都に未練はないと言った。
そこで蕭綦は将来、2人で旅をしながら暮らそうと提案する。
王儇は夫との幸せな未来を夢見て笑顔で送り出したが、本当は不安で一杯だった。
その夜、皇太后も眠れぬ夜を過ごしていた。
「どうにも不安だわ、私も狩り場へ行くべきだった…」
しかし思いがけず桂(ケイ)嬷嬷(モーモー)から阿嫵(アーウォ)が宮殿に来ていると知らされる。
そこで皇太后は阿嫵を宮殿に引き止める手立てを考えるよう頼み、皇帝が無事に戻るまで出してはならないと命じた。
「夫が死んだと知れば復讐するはずよ…」
同じ頃、鳳池(ホウチ)宮では人知れず王儇の鍼治療が始まっていた。
翌朝、永安宮に宛如が妃嬪たちを連れて挨拶に現れた。
そこへちょうど豫章王妃がやって来る。
王儇は丁重に拝礼したが、自分の席がないことに気づいた。
すると皇太后は自分のそばに席を作り、阿嫵を座らせてしまう。
宛如は阿嫵が自分より高い席に座り面白くないが、皇后の威厳を保つため笑顔でごまかした。
和やかに始まった女たちの談笑、しかし王儇はもはや自分が育った宮殿ではないと実感する。
…笑いの中に殺気がみなぎっている
…私を守ってくれた人たちは変わってしまった
…叔母は叔母ではなく太后になり、宛如姐姐は姐姐ではなく皇后になった
王儇はちょうど永安宮を出る皇后を呼び止めた。
実は皇子に贈り物を届けたいという。
「ありがとう、昭陽殿で話しましょう」
宛如のよそよそしい態度は変わらなかったが、珍しく素直に豫章王妃の好意を受け取った。
一方、皇太后はあと数日でついに阿嫵との縁が切れると思うとやるせなかった。
阿嫵が皇后になると信じ、いつか本当の家族になれると思って愛してきたが、こんな結末になると誰が予想できただろうか。
それでもこの世の中で暴漢の前に立ちはだかり自分を助けてくれるのは阿嫵だけだろう。
「だけどもう姑姑と呼んではくれない…まるで他人のように太后、太后と呼ぶのよ(涙
…子隆と私があの子の夫を殺したと知ったら一生、許さないはず
でも私も敵を生かしておけない」
しかしその頃、皇帝陵ですでに安平王・馬子澹(バシタン)が動き出していることを皇太后は知る由もなかった。
昭陽殿を訪ねた王儇は皇子への贈り物を渡した。
すると宛如は人払いし、久しぶりに王儇と2人だけになる。
宛如は何を話していいのか分からなかったが、王儇は以前のような姐姐と阿嫵に戻りたいと言った。
しかし宛如は昔の自分なら奥深い宮殿の中で死んでしまったという。
「ここでは情を断ち切らねば…」
その時、奥の間から皇子の泣き声が聞こえた。
小皇子・馬静(バセイ)はわけもなく一日中、泣いていた。
そこで王儇は皇子を抱かせてほしいと頼み、小さな命を大事そうに抱える。
すると驚いたことに皇子は静かになり、やがてそのまま眠りについた。
しかし宮女が駆けつけ、皇太后が皇后を呼んでいると伝える。
王儇は帰ることにしたが、宛如は皇子の安らかな顔を見て引き止めた。
「よく眠っているから少し抱いていてあげて」
「でも…誰もいないのに独りで残るのは…」
「阿嫵、すぐ戻るわ」
宛如は無意識に″阿嫵″と呼びかけ、出て行った。
つづく
( ๑≧ꇴ≦)腕を広げただーわんの立場w