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カテゴリ:上陽賦~運命の王妃~全68話
![]() 上阳赋 The Rebel Princess 最終話「陽の光がさす場所」 城門で抵抗された宋懐恩(ソウカイオン)は密道から式乾殿へ侵入、馬子澹(バシタン)と王儇(オウケン)は太極殿に逃げた。 今日が皇帝でいられる最後だと腹をくくった子澹、そこでせめて最期に威厳だけは守りたいと訴え、もしもの時は阿嫵(アーウォ)に斬って欲しいという。 その時、宋懐恩が兵を引き連れやって来た。 「王妃、降りてください…あなたを傷つけたくありません」 しかし王儇は玉座のそばから動けない。 そこで懐恩は自ら上段へ登り、皇帝の首を斬ると挑発した。 子澹は無礼な宋懐恩に激怒、背後にいるのは誰かと問い詰めたが、懐恩は黙って門に向き直り、床に剣を付く。 ドン! その時、門が開き、皇帝だけに許された黄色の礼服をまとった王藺(オウリン)が現れた。 ![]() 王藺が上段へ到着した。 驚愕のあまり声も出ない子澹と王儇、すると懐恩は玉座にいた皇帝を床に投げ出してしまう。 子澹は自分の代わりに玉座を陣取った王藺を見ると、沸々と怒りが込み上げた。 「老いた逆賊めが…腹黒くあくどい奴…殺してやる!」 子澹は一族の恨みを思い出して王藺へ襲いかかったが、あっけなく兵士に捕われ、そのまま引きずり出されてしまう。 王藺は呆然とする娘に声をかけた。 「阿嫵、お前の父亲だ、私は生きていた…偉業を成すためにはお前には隠すしかなかった じき全てが終わる、いや、新たに始まるのだ」 「…その席はあなたの物ではないわ 子澹哥哥が静(セイ)児に譲ると決めたの、静児も王氏の血を引いている」 王儇は父の前にひざまずき、過ちを繰り返してはならないと諌めた。 しかし王藺は今度ばかりは譲れないという。 王儇は仕方なく子澹が玉座に残していった短剣を手に取り、自分の首に突きつけた。 あの時は母がこうして父を戒めたが、また同じ光景を見たいのだろうか。 「大切なのは娘の命ですか?玉座ですか?」 「阿嫵…誰も私を止められぬ、なぜ邪魔をする?…もちろん玉座よりお前の命が大事だ」 すると王藺は震える阿嫵の手をつかんで短剣を取り上げた。 その時、うっかり礼服の袖が切れてしまう。 「愚か者めが!阿嫵っ!なぜ父亲が平和をもたらすと信じられぬのか?! 私以外にやれる者がいるか?誰がやれるというのだ?!」 ![]() 太極殿に王藺の怒号が響き渡った。 しかし突然、背後から懐恩に刺されてしまう。 「良いお話でした…何をしに来たか忘れるところだった…つまみ出せ!」 王儇は兵に制止され、父が連行されるのを黙って見送ることしかできない。 「王藺!私は兵力でここまで上り詰めた、だがこれは次への足掛かりに過ぎぬ」 すると懐恩は剣についた血を拭い、兵士に王儇を解放するよう合図した。 「蕭綦(ショウキ)が持つものは私も手に入れ、蕭綦が持てぬものも手に入れる…」 懐恩は王儇に歩み寄ると、豫章王が逃げ出した婚礼の日@8話、激怒した王儇から受け取ったかんざしを返した。 ![]() 「阿嫵…私の皇后になってくれ」 バシッ!⊂彡☆))Д´) ァゥッ! 「なんて卑劣な男!」 阿嫵は思わず懐恩を引っ叩いたが、その時、蕭綦が太極殿に駆けつけた。 「懐恩!」 懐恩は蕭綦の声に反応し、慌てて門を見た。 すると蕭綦が放った矢が懐恩の胸を直撃、同時に寧朔軍がなだれ込んで太極殿を掌握する。 「なぜ戻って来た…」 玉座に倒れ込んだ懐恩はようやく蕭綦が寧朔へ戻っていなかったと知った。 「お前が付近の軍と連絡を取り、反乱を目論んでいると知っていた だがお前を操る黒幕が誰かは分からなかった」 「反乱など起こしたくなかった…」 懐恩が思わず立ち上がると、包囲していた兵士は一斉に長刀で突き刺した。 ![]() 玉座に倒れ込んだ懐恩はうめき声をあげると、最期の時を迎えた。 「…寧朔に連れ帰ってくれ…哥…二度と皇都には来たくない…」 懐恩は蕭綦の元へ行こう立ち上がったが、力尽きてしまう。 「二度と皇都には来ない…」 すると懐恩はそのまま床に崩れ落ち、絶命した。 王儇は父を探して殿内を飛び出した。 すると回廊に捨て置かれた父を見つける。 「私は死んだのか?生きているのか?…お前は生きているか?」 「2人とも生きているわ、太医を呼んで来る!」 しかし王藺は阿嫵を引き止め、抱きしめて欲しいと頼んだ。 父の胸で泣き崩れる王儇、なぜ父はここまでしなければならなかったのか。 「それは…愛のためだ、愛など知らぬと思うだろうが、ちゃんと知っている」 「母亲を愛していた?」 「…お前はどうだ?蕭綦を愛しているか?それとも子澹か?」 「種類の違う愛だわ」 「そうか、私の娘はすっかり大人になったのだな…私は間違っていた 人は若い頃に得られなかったものに生涯すがりつき、生きてしまうようだ…しかし正解も分からぬ」 「…全てが終わったら母亲の隣で眠りたい?」 「夙(シュク)児も大人になり、父親に逆らって自らの考えで行動した 夙児とお前の夫・蕭綦を呼んで来てくれないか?話したいことがある…頼む お前の願いはよく分かっている…私が死んだら当然、妻の隣で眠りたい 阿嫵…さあ行きなさい…早く…」 王藺は突き放すように娘を遠ざけ、そっと目を閉じた。 その時、王儇はふと振り返り、父が息を引き取ったことに気づく。 王儇は悲しみのあまり倒れそうになったが、ふらふらと引き返し、再び父を抱きしめた。 ![]() 朝廷は平定され皇都に平和が戻った。 王儇と蕭綦は兵を連れず寧朔へ帰ると決め、王夙は顧采薇(コサイビ)と一緒に見送りに来る。 「ふっ、お前たちの手助けなく、丞相が務まるだろうか」 「哥哥、きっと大丈夫よ」 すると王儇は兄と采薇に婚礼を勧めた。 「寂しくなるよ…」 「そうね」 王儇は子供のように兄に抱きついて別れを惜しみ、皇都を去った。 ![]() …子澹は馬静に譲位、残りの生涯を皇帝陵で過ごした …朝廷は蕭綦の助言を受け、寧朔より北から玄漠(ゲンバク)の南までを3民族の共同居住地とし …多くの人々の暮らしも変わる …税を軽減し、農商業を重んじ、国は平和と繁栄の時代を迎え、″崇光(スウコウ)の治″と称された あれから寧朔へ移り住んだ王儇と蕭綦は養子も増え、大家族となっていた。 宋懐恩と玉岫の忘れ形見も元気に成長している。 そんなある日、王儇は草原に太極殿の床にある大きな地図を模倣し、かつて祖太后から習ったように領土を学ばせた。 「沁之(シンシ)、建寧(ケンネイ)はどこか分かる?」 すると沁之が地図の上を歩き始める。 「♪将軍はいつも城の中~兵士や丞相も城の中~建寧はここです!」 「じゃあ暉(キ)州は?」 「♪交通の要~天下二分の地~軍事の要地…暉州はここです!」 「私たちがいるのはどこ?」 「♪北に忽蘭(クラン)、南に六盤(ロクバン)〜 ♪星が降り、陽の光が差す、空と大地の間には高い山と淡い雲~寧朔は私たちの足元です!」 「そうよ!すごいわ!もう地図を覚えたのね」 蕭綦は子供たちの成長を喜びながら、阿嫵の大きくなったお腹をなでた。 「母亲になるのは嬉しいか?」 「もちろん、もうすぐ我が子に会える、そして帰る家がなくなったあの子たちもみんな私たちの子よ 立派な大人になれるよう導くわ、″人に優しく、世のために尽くしなさい″と…」 ![]() 完 ( ー̀ωー́ )<アウォ…皇后になってくれ…って、こっわっ! いや〜終わってしまいました~! 最後は哥哥とアウォの別れに思わずポロリ…( ;∀;) 好みはあれどやはりチャンツィイのオーラはハンパない!(笑 楽しかった! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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