2023/04/28(金)21:29
九齢公主~隠された真実~#19 あらすじ
君九龄 Jun Jiu Ling
第19話「恐怖を呼ぶ病」
都に現れたある母子。
2人は顔を布で覆い隠し医館を訪ねたが、門前払いされてしまう。
「診察に来た2人が痘瘡(トウソウ)だった!」
「閉め切って蒼朮(ソウジュツ)と蓬(ヨモギ)をいぶせ!」
一方、寧雲釗(ネイウンショウ)は君九齢(クンジゥリン)と距離を置くと決め、試験準備のため国子監(コクシカン)へ戻ることにした。
そんな時に限って大街でちょうど買い物に来ていた九齢と鉢合わせになる。
「あ、今回は本当に奇遇なんだ…懐(カイ)王の治療が成功してよかった」
「安堵しているわ…では科挙、頑張って」
雲釗は九齢とすぐ別れたが、わずかに言葉を交わせただけでも十分、満足だった。
その夜、九齢が勅書を手に入れたと知った朱瓚(シュサン)が九齢堂に駆けつけた。
「君とって害になるぞ?」
「私が頼んだわけじゃないの」
「…とにかく用心しろ」
すると朱瓚は御膳房の桂花餅を差し入れ、照れ隠しに懐王を治したお礼だと言った。
「これで済ませるつもり?」
「…銀子か?」
「違うわ」
「紫英仙株(シエイセンシュ)?」
「あるの?」
「いいや」
「ではつけに」
翌朝、九齢堂に母子が現れた。
すると2人の顔の発疹を見た九齢は驚愕、陳七(チンシチ)に直ちに去毒湯(キョドクトウ)を作るよう頼む。
九齢は他の医館のように母子を追い返すことはなかったが、方錦繍(ホウキンシュウ)は初めて見る九齢の焦る姿に困惑した。
九齢堂では皆が面紗(メンシャ)で鼻と口を隠し、手袋をはめた。
そしてすぐ母子を隔離し、着替えさせてから衣を全て焼却する。
母子の村では大勢が発病し、死者が出ていた。
そこで母親は娘を助けるため都を目指したが、道中、どの村でも同じ病が流行っていたという。
「役所は知っている?」
「分かりません、ですが他の病人も都に向かっているはずです」
すると続々と感染者が都に押し寄せ、街は混乱に陥った。
楚譲(ソジョウ)は疫病のまん延に頭を悩ませた。
痘瘡は過去の王朝においてもたびたび感染が爆発、手を尽くしても感染を止められず、大勢の死者を出している。
すると太医院の江友樹(コウユウジュ)がかつて地方志の中に嵐(ラン)県で痘瘡を根絶させた記述があったと上奏した。
しかしそれは全ての患者を一カ所に集め、焼いて埋めてしまうことだという。
「バカもの!何を言い出す!」
都の痘瘡患者はすでに数百人に上った。
九齢堂を心配した朱瓚は急いで駆けつけたが、実はすでに九齢が患者を受け入れていると知る。
「瘰癧(ルイレキ)と違って危険な病なんだぞ?!」
「瘰癧は太医院の責任逃れの嘘だったの」
「何?!…太医院は痘瘡の治療も君に押し付けるつもりやも、関われば取り返しがつかないぞ?」
「退路はないわ」
すると朱瓚の懸念が現実のものとなった。
江太医の残酷な手段に楚譲は激高した。
しかし丞相・黄誠(コウセイ)は確かに最小の犠牲で済ませるにはやむを得ないと諫言する。
寧炎(ネイエン)は反対したが、その時、江太医が九齢堂の君大夫に試させてはどうかと進言した。
楚譲は九齢堂に痘瘡の治療を任せると決めた。
そこで武徳司に全ての患者を青山(セイザン)の別荘に収容させ、逃亡させないよう厳しく管理するよう命じる。
「1ヶ月後、治療の効果が見られなければ別荘に火をつけて君九齢もろとも葬り去れ」
楚譲は苦渋の決断だと釘を刺したが、陸雲旗(リクウンキ)は複雑だった。
朱瓚が懸念した通り、太医院は九齢堂に痘瘡を押し付けた。
九齢は医者として患者のために命をかけると腹をくくり、まず協力してくれる医者を探すことにする。
しかし治療法がなく致命率の高い病に立ち向かおうという医者はそうそう見つからなかった。
太医院はそんな九大夫の状況を知り、高笑いが止まらない。
すると一度は断った馮(フウ)大夫が九齢を追いかけて来た。
「″まだ治した者がいない″では言外の意味が伝わってしまう、″1人では無理だ″と言ったほうが…」
「ご忠告に感謝します、しかし協力を求めるからには真実を話します」
九齢は先人たちがたゆまぬ努力で良薬を見つけ出したように、危険だとしてもやり遂げなければならないと訴えた。
「たとえ治療法が見つけられなくても、後世に糸口を残したいのです、では…」
青山への出発が明日に迫り、陳七はすでに城外へ準備を整えに出かけていた。
結局、1人の協力者も見つけられなかった九齢。
その夜、中庭で落胆していると、朱瓚が酒を手土産にやって来た。
「弦は引っ張りすぎると切れてしまうぞ」
朱瓚は天下のために戦う九齢について行くという。
すると九齢は酒を一気に飲み干し、協力者を得られないと予想していたが、現実になると受け入れ難いと悔しさをにじませた。
「父が言っていたの、″医術で人を救い、医道で天下を救う″と…誰かに同行して欲しかった」
「君ならできるさ」
翌朝、武徳司が九齢堂に九齢を迎えにやって来た。
陸雲旗は死に急ぐも同然だと警告したが、九齢は覚悟の上、錦繍や柳児に別れを告げる。
「泣いてはダメ、あとを頼むわ」
九齢は名残惜しそうに扁額を眺めると出発すると決めた。
「行きましょう」
「君大夫!お待たせ~!」
その時、馮大夫が仲間の医者たちを連れてやって来た。
昨夜、馮大夫は劉(リュウ)大夫を訪ね、共に痘瘡に挑まないかと誘った。
劉大夫は志だけでは実現できないと困惑したが、馮大夫は主人公について行けば必ず成功するという。
すると劉大夫は失敗しても医館を閉じればいいだけだと開き直り、馮大夫と一緒に他の医者の説得に向かった。
つづく
(  ̄꒳ ̄)世子のさわやかな笑顔を確保してみました…え?( ̄◇ ̄;)
それにしても最後の先生たちが走って来るシーン…ちょっと吹き出してしまったw