2023/12/06(水)21:46
マリアージュ・ブラン ~嘘つき弁護士の愛の法則~ #25
爱的二八定律 She and Her Perfect Husband
第25話「婚前契約」
その夜、陽華(ヤンホワ)は意を決して秦施(チンシー)の寝室を訪ねた。
「どうしたの?話はないんでしょう?!」
秦施はとりつく島もなくドアを閉めようとしたが、陽華は咄嗟に足を出して止めた。
「悪かった…確かに陶俊輝(タオジュンフイ)に嫉妬していた
君と過ごした7年間を妬み、僕より先に君と出会い、思い出があることに嫉妬したんだ
でも結局、僕の方が幸運だと分かった、今もこの先も君は僕のものだから…」
てっきり自分の暴言が原因だと思っていた秦施は勘違いと気づき、失笑した。
「幼稚かな?」
「可愛い♡…あ、もしや酔ってるの?」
「酔う前に来たよ」
一方、呉菲(ウーフェイ)は陶俊輝を連れて丁方方(ディンファンファン)のマンションを訪ねた。
すると曹以任(ツァオイーレン)もいると知り、陶俊輝は驚く。
「今日、彼と会えなかったんでしょう?」
「今後は先に教えてくれ」
仲直りした秦施と陽華、そこで秦施は曹以任の不動屋について分析を頼んだ。
彼の会社は住宅を家主から安価で借り上げ、リフォーム後に高値で貸し出している。
家賃は年払いにすれば1年分で14ヶ月住むことが可能、月払いが希望なら独自のサービスで担保なしのローンを組めるという。
「あの賃貸料では利益率が低過ぎて儲けがないわ」
しかし陽華はあっさり曹以任のからくりを見抜いた。
彼は客から集めた資金を元手にして自社のクレジット商品を売り、そのお金で改装してテナント料を得ているのだろう。
「ブライトリース社の利率は16%、コストは収益の10%だから会社は6%の差額を得る
リフォームローンの利息は4~8%、1軒につき10万元必要でも自社の内装工事なら8万で済む
10軒リフォームすればさらに安くなるだろう、低金利で銀行から借りれば利益率はあがる…」
かつてウォール街で働いていた曹以任。
陽華は金融に携わる者が得意とするのは″作り話″だと言った。
その頃、陶俊輝は呉菲の計らいで曹以任と直接、話せる機会を得た。
そこで方方のためにも婚前協議書にサインするよう説得したが、思いがけず曹以任の素顔を知る。
曹以任は能力があっても一般家庭に生まれたというだけで辛酸を舐めてきたと嘆いた。
「この世で重視されるのは20%の人間だけ、私はその中に入りたい
君と僕は同類だろう?君ならサインするかい?」
「どちらにせよ丁总が認めなければ君たちは法律上の夫婦とは認められない」
すると曹以任は失笑し、男の秘密を共有しようと言った。
「結婚は男にとってどうでもいいことだ」
曹以任は乾杯しようと言ったが、陶俊輝は独りでワインを飲み干した。
一方、陽華は男にとって結婚は大事なことだと話していた。
男の本能は独占、自分が欲しいものを独り占めにしたがるという。
それはゲーム機やカメラでも同じ、ましてや好きな女は絶対に手に入れたいと思うものだ。
すると秦施は性別による優越感はないのか聞いた。
「実は男の遺伝子は弱く、女性より淘汰される確率が高い、人類の役目は種の保存だ
子供を産んでくれる人がいなければ男の遺伝子はこの世から消えてしまうだろう
それに今やインターネット時代、男性に絶対的地位などない
男だというだけで誇れることは何もないんだ
結婚を女性に対する施しだと思っている男は恐ろしく狡猾で幼稚としか言いようがないね」
「ねえ~今夜は一緒に寝ない?」
秦施は陽華にすっかり魅了され、うっかり口を滑らせた。
「ぁ…忘れて!」
「いいよ…いや提案のこと」
「もう時間切れよ!」
秦施は気まずくなって寝室に駆け込み、仕事を始めた。
その頃、陽華は初めての共寝に期待しながら、シチュエーションを想像してパジャマを選ぶことにする。
すると偶然、本棚のトロフィーに目が留まった。
それは2007年の弁論大会最優秀賞のトロフィーで、蔡亮(ツァイリャン)によれば陶俊輝の後輩が受賞している。
…その後、2人は恋人になったんだ…
一方、陶俊輝は今回の案件の根底には丁氏の曹以任への不信感があると気づいていた。
恐らくそれは呉菲の父も同じだろう。
陶俊輝は呉菲を自宅まで送り届けると、自分は婚前契約にサインすると言った。
しかし呉菲はそもそも協議書などないとごまかし、心配いらないと笑って帰ってしまう。
陶俊輝は笑顔で見送ったが、その時、秦施からメッセージが届いた。
…曹以任のブライトリース社の商品と融資を調べてみて…
秦施の寝室に陽華がやって来た。
仕事中だった秦施は書類を退かして陽華をベッドに招き入れたが、陽華はふと思い出してゲームの続きを始めてしまう。
「このままじゃ気になって眠れないんだ」
しかし永遠と待たされた秦施はついに実力行使、携帯を取り上げて陽華を押し倒し、自分から唇を重ねた。
「誰かさんが法律の勉強を始めたって本当?」
「君が目的を果たすのを手伝いたいんだ…君を助けるのが僕の務めだろう?」
「私に聞いてよね、他の女から夫の行動を聞きたくない」
「李黛(リーダイ)とはやましいことはないよ」
「…信じるわ」
「君は僕のどこが好き?」
「私は…その頭脳と心、あなたは心が綺麗で純粋だもの、それにすごく勇敢で誠実だわ
純粋な心を持ち続けている人なんてめったにいない」
翌朝、呉菲の部屋に父がやって来た。
これから出廷する呉菲は準備で忙しかったが、父は大事な話だと訴える。
確かに陶俊輝の人柄と能力を認めて娘との結婚を許したが、実は蘭(ラン)会長の案件の詳細を知っていささか不安になった。
「お前と引き合わせてくれたのが蘭会長だ
だが彼は蘭会長に対して情け容赦なかった、パパとママはそこが気に掛かる
蘭会長の案件と知っていたら受けるべきじゃなかった
しかも彼は蘭会長の信頼を利用して不正の証拠を集めていたんだ
まさか己の仕事のためにそこまで冷酷になれるとは…世話になった人をあっさり切り捨てた」
呉菲はやはり父が丁氏の案件を陶俊輝に紹介したのは牽制するためだったと分かった。
「話はそれを見てからだ…」
すると父は封筒を置いて出て行ってしまう。
一方、名実ともに夫婦となった秦施と陽華は幸せな朝を迎えていた。
方宇(ファンユー)金融を調べていた陽華は問題点を見つけ、蔡亮にファンドから手を引くよう勧めた。
しかし新エネルギーシティのプロジェクトは頭取の肝入り、蔡亮は社長の怒りを買えば2人ともクビになると訴える。
その時、陽華の携帯に老周(ラオジョウ)から連絡が来た。
周老は陽華の銀行が松江(ソンジャン)エネルギーシティの信託商品を扱うと知り、これから行くという。
「お前さんの業績アップに貢献しようと思ってな~」
「老周、この商品は買わないで」
呉菲は原告側の代理人として出廷したが、父からもらった封筒のせいで上の空だった。
裁判中にもミスが続き、肩を落とす呉菲。
実は封筒の中には陶俊輝がオフィスで寝てしまった秦施を愛おしそうに眺めている写真が入っていた。
一方、陶俊輝は秦施の助言に従ってブライトリース社を調べ上げていた。
そこで曹以任のオフィスに乗り込み、物件の環境モニタリングの結果を提示する。
「マンションの改修期間は3ヶ月から1年
最長で1年超の工期なのにホルムアルデヒドは基準値を超えてる」
これは個別の案件ではなく、20ヶ所の物件を調べた結果だった。
「噂通り君は鋭いな…」
つづく
((( *´꒳`* )))ポワワーン