2024/01/25(木)22:12
覆流年 復讐の王妃と絶えざる愛#10 あらすじ
覆流年 Lost Track of Time
第10話
慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)は捕縛された高承賢(コウショウケン)と話を付けることにした。
すでに高承賢は腹を括って待っていたが、穆澤は利用価値があるなら殺す必要はないという。
高承賢はあっさり寝返り、翊(ヨク)王を裏切って慶王に忠誠を誓った。
しかしいきなり侍衛に腕を捻られ、踏み付けにされてしまう。
「陸(ルー)家と慶王府は今や身内の間柄、そなたが陸安然(ルーアンラン)を陥れたことは分かっている
私の犬になるなら、咬みついて良い相手と触れてならぬ者をしかと見極めねばな」
「分かりました…」
激しい雨が続く中、町に告示が張り出された。
支援米強奪の首謀者は柴広(サイコウ)、陸家は無実だという。
驚いた穆川(ムーチュアン)は役所にいる二兄を訪ねたが、そこには復職した高承賢がいた。
「二哥、高承賢の処罰は?!」
「奴は役に立つ」
穆澤は弟に帳簿を渡し、秦野闊(シンヤカツ)が翊王の金庫となり、軍が搾取した裏金が絶えず翊王に流れていると教えた。
「高承賢は生き証人なのだ」
「ならば父皇に帳簿を渡せば…」
「だからお前は子供なのだ!それでは警戒されて徹底的な追求ができない
奴を使えば軍の腐敗を一掃できる」
すると侍衛が駆けつけた。
この豪雨で土石流が発生し、支援米の輸送隊が生き埋めになったという。
穆澤は高承賢に崩壊現場の復旧と被災者の救出を命じ、穆川には必ず高承賢に罪を償わせると約束した。
清河幇(セイカホウ)に帰った穆川は部屋に閉じこもり、ひとり煩悶していた。
すると安然が雨に濡れて戻った穆川を心配し、薬湯を差し入れる。
「不愉快でも身体は大切にして…触れ書きを見たわ」
「澹州の民に申し訳ない、君にも…」
安然は穆川が責任を感じる必要はないと言ったが、慶王を止めるなら今しかないという。
「まだ間に合うわ、慶王がさらに道を外れることがあったらどうする?
その時には兄弟の仲も戻らなくなってしまう…自分をしっかり持って」
翌朝、穆川は独り清河幇を飛び出して行った。
穆川が何をするつもりか分からなかったが、安然も沈長青(シンチョウセイ)に協力を頼み、先手を打つことにする。
すると投獄された柴広の前に安然が現れた。
「取り引きに来たの、慶王はあなたを米泥棒の主犯にしたわ
清河幇を裏切ればあなたの家族も唾棄され、生き地獄を味わう
でも私に協力してくれるなら家族の平穏な生活を約束する」
脱獄した柴広は妓楼にいた高承賢を引きずり出して短剣を突きつけた。
「慶王を呼んで来い!」
何事かと集まって来た民衆、その様子を安然は冬青(ドンチン)と一緒に高楼から見下ろしていた。
やがて知らせを聞いた慶王がやって来た。
すると柴広は濡れ衣を着せられたままでは死ねないと訴え、高承賢に真実を話すよう強要する。
仕方なく高承賢は自分が黒幕だったと認め、しかも分け前が7対3だったと明かした。
高承賢に向けられる民衆の激しい憎悪、その時、沈長青が背後から斬りかかり、裏切り者の柴広を始末して高承賢を解放してくれる。
穆澤は幇主に感謝したが、沈長青は頭脳明晰な慶王なら悪人を懲らしめてくれると民衆を煽った。
穆澤は引くに引けなくなった。
そこで騒ぎを収めるためひとまず高承賢を投獄しようとしたが、思いがけず穆川が高承賢に恨みを持つ民たちを引き連れてやって来る。
「高承賢のような権力を笠に着る輩が大勢の人を苦しめている!
これ以上、犠牲を出してはならない!本人に償わせるべきだ!」
穆澤はともかく役所で話そうとなだめたが、穆川は譲らなかった。
すると穆川は穆澤の前でひざまずき、直訴状を掲げる。
「澹州(タンシュウ)の民に代わり、慶王殿下に直訴します!
どうか勅使の特権をもって、この場で高承賢を斬首に!」
高承賢は驚いて慶王にすがりつき、盟約があると口を滑らせた。
穆澤は民の矛先が自分に向くのを恐れ、咄嗟に侍衛の剣を抜いて高承賢の首を斬ってしまう。
翌日、穆川は役所の兄を訪ねて謝罪した。
穆澤は鬱憤を晴らすように剣術を稽古していたが、結局、穆川を許してくれる。
「まさか弟に怒るはずないだろう?」
その夜、安然と穆川は2人で祝杯を上げた。
「帰郷したら弟を連れて瀚京(カンケイ)へ行くわ、あなたは?」
「明日、二兄と帰るよ」
安然は穆川が食糧庫の案を皇帝に上奏するつもりだと分かった。
「瀚京で再会しましょう」
帰路に着いた慶王一行、しかし山中で奇襲に遭った。
穆澤も自ら剣を手に応戦したが多勢に無勢、何とか刺客を排除したものの、侍衛が慶王を救うため犠牲になってしまう。
馬車は火矢で燃やされ手遅れ、大事な証拠もろとも灰になった。
穆澤は朝堂で澹州の平定を報告し、高承賢の長年の悪事を見過ごして来た秦野闊を処罰するよう上奏した。
しかし皇帝は事件の真相を暴いた慶王に褒賞を与えただけで終わらせてしまう。
そんな中、皇帝は久しぶりに戻った九皇子を歓迎した。
穆川は持ち帰った新種の稲を献上し、陸家を手本に食糧倉庫を提案、皇帝は民を思う九皇子に関心し、科挙の出題を任せるという。
驚いた翊王・穆霖(ムーリン)は官職もない九弟には荷が重いと反対した。
すると皇帝は確かに重積を担うには官職が必要だと失笑する。
「詔を下す、九皇子・穆川を斉(セイ)王に封じる」
こうして穆川は農事と水利を任され、安平街(アンヘイガイ)の屋敷を賜った。
穆澤は自分のために死んだ昭烈(ショウレツ)の無念を思うと居たたまれず、独り皇帝を訪ねた。
実は澹州で翊王と秦野闊が高承賢に搾取を命じた証拠を入手しながら帰路で賊に襲われ、侍衛が殺されたという。
「私と九弟も死にかけました…」
しかし皇帝は穆澤の野心を見抜いていた。
今や澹州では慶王を″清廉にして文武両道、戦場では勇敢にして民の心に寄り添い、賢王の風格あり″と評している。
あえてここで胸の傷を見せてまで翊王の処罰を迫るとはいささかやり過ぎだろう。
「良(リョウ)妃がそちの出自を隠していたな、朕が知らぬとでも思ったか?
…慶王の座を守り、養生せよ、余計なことは2度と考えなくて良い」
蔡望津(サイボウシン)は慶王が戻ったと聞いて書斎へ駆けつけた。
しかし慶王はどこか様子がおかしい。
「何が軍功だ、戦績を上げても全ては徒労に終わった…
もう結果は決まっていた…とっくの昔にな!
私は父皇に疎まれていたのだ…だから何をしても無駄だった!」
虚しく積み上げられた戦の記録、穆澤は全て床にぶちまけ、嘆き悲しんだ。
すると蔡望津が慶王を励まし、奮起させる。
「今までの努力は陛下の歓心を買うためですか?
殿下は偉業を成して歴史に名を残すお方、違いますか?!
目指すは至尊の位、昭烈が天から我らを見ていますよ?」
「その通りだ」
つづく
( ๑≧ꇴ≦)ムーヅー上手い!