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カテゴリ:安楽伝 全39話
![]() 安乐传 The Legend Of Anle 最終話 韓燁(ハンイェ)の目の治療に不可欠だった長思花が見つかった。 喜んだ帝梓元(ディヅユアン)は伏翎(フクレイ)山に駆けつけたが、大伯母・帝盛天(ディセイテン)の話ではいつの間にか開花した長思花が置いてあったという。 しかしこの都で長思花を咲かせることができる真摯な心と根気強さを持ち合わせる人物は1人だけだった。 梓元は翎湘楼(レイショウロウ)に洛銘西(ルォミンシー)を訪ねた。 何と切り出して良いか分からない梓元、その時、洛銘西の手にいつも大事そうに眺めている玉佩があると気づく。 「その玉佩は特別なものなの?」 「玉佩の謂れは君にある…」 あれは大雪の日だった。 洛銘西は靖安(セイアン)侯に連れられて屋敷を訪ねたが、ちょうどその日に梓元が生まれたという。 喜んだ靖安侯は祝われるたび褒美を与え、洛銘西も父に尻を叩かれて祝辞を述べた。 すると靖安侯が自分の腰から玉佩を外して洛銘西に与えたという。 「その時、靖安侯はこうおっしゃった…″梓元をお前の妹とする証しだ、守ってくれ″と」 洛銘西は梓元に真実を打ち明けられなかった。 すると梓元が露台にある小さな囲いに気づいて中を見る。 「ここに鉢植えの花があったのね?何の花だったの?」 「…海棠(カイドウ)だ、暗殺に来た冷北(ランベイ)が鉢を割ってしまった」 梓元は洛銘西の優しい嘘に気づき、何とも言えない罪悪感に襲われた。 「銘西哥哥…私はあなたに謝らないといけない…」 「私に謝る必要はない、私が望んでやったことだ」 しかし梓元は居たたまれなくなり、逃げるように帰ってしまう。 「梓元、来世があるなら君と共にいたい…」 帝盛天の治療が功を奏し、韓燁はついに見えるようになった。 梓元のもとにも早速、知らせが届いたが、韓燁は光を取り戻してもなお考えを改めないという。 想像以上に頑固な韓燁、すると焦った帝燼言(ディジンイェン)が伏翎山に駆けつけた。 「これで姐姐を娶れますね!」 しかし韓燁は梓元を韓家の皇太子妃にすれば不幸にしてしまうという。 「もう守れる自信がない…昔から梓元を守ってきた洛銘西こそ相応しい」 帝燼言は弱音を漏らす皇太子に深く失望し、下山してしまう。 ![]() 任(レン)府の婚礼の日。 梓元が身支度を終えた頃、皇太子の説得に失敗した帝燼言が申し訳なさそうにやってきた。 しかし梓元は最後の手段で大伯母を頼ったという。 その頃、帝盛天はこれまで誰にも明かせなかった韓子安(ハンシアン)への秘めた想いを韓燁に告白していた。 帝盛天と韓子安は蒼(ソウ)山で出会い意気投合、帝盛天は韓子安を死ぬまで支えると決めたという。 自由に生き、欲しいものを手に入れ、どんな望みも叶えてきた帝盛天。 それが韓子安にだけは最後まで近づくことができなかった。 出会いの時を間違えたのか、出会った人を間違えたのか、もしくはどちらも間違いだったのか。 何にせよ韓子安との出会いを後悔したことはないという。 「友にしかなれず、気持ちを隠したはずが、まさか誰かを傷つけるとは思わなかった 孫瑜君(ソンユクン)の言う通り、私は身勝手だった そんな私の身勝手さが両家の確執を生み、取り返しのつかない悲劇を招いたの でもあなたと梓元は違う、同じ轍を踏まないで欲しい」 すると帝盛天は嫁ぐ梓元に譲りたいと碧璽(ヘキジ)剣を韓燁に託した。 「あなたの父上はやっと過去を手放した、あなたも手放して」 「しかし…もう手遅れです、何もかも終わった」 「いいえ!」 その声は馬を引いて現れた帝燼言だった。 帝燼言は安楽(アンルー)を真似て姉の口調のまま、皇太子に言づてを伝えた。 「″来ないなら碧璽剣を持って靖南へ帰るわ、帝家と洛家は同盟を結ぶ 皇帝になりたいなら妃選びは慎重にね″と…」 「荒唐(ファンタン)!」 「″韓燁?私は3万の水軍を差し出したのよ?国か太子のどちらかをもらう″だそうです」 「…大理寺卿を1年、務めたくらいでは海賊くささが抜けぬな」 すると帝盛天は韓燁が思う以上に梓元は鼻っ柱が強いと笑った。 「あの日、青南山で燼言が弟だと明かされなければ、あの子はあなたの後を追っていたのよ?」 帝盛天の思わぬ言葉に韓燁は呆然となった。 「殿下…ご覧ください、姐姐はあなたを失い、一晩で白髪になったのです」 帝燼言が広げた手巾の間には梓元の白髪が挟んであった。 ![]() ![]() 日が暮れる頃、任府で婚儀が始まった。 洛銘西と並んで入場した梓元、その時、ついに韓燁が現れる。 「待ってくれ!」 梓元が振り返ると韓燁が立っていた。 「帝家の娘・梓元、天の定めた重責を担わせ、太子妃に封ずる 中原一の美形たる太子に差し出す嫁荷は3万の水軍、望みはひとつ太子妃の位を欲す …帝梓元、任安楽、太祖の遺詔と3万の水軍が証しとなる どんな名であろうと君が私の太子妃だ、梓元、待たせてすまない」 すると洛銘西がそろそろ婚儀を再開したいと申し出た。 韓燁は長思花の恩があっても自分の花嫁を渡せないと言ったが、そこへ本当の新郎新婦が現れる。 「殿下、私から花嫁を奪うつもりですか? 父親代わりの殿下を立ち合わせるため遅刻しかけましたよ」 韓燁はようやく新郎新婦が帝燼言と苑琴(エンキン)だと知り、まんまと騙されたと分かった。 実は帝燼言も自分の婚儀だとついさっき知ったばかりだという。 「この世で帝家の姉弟だけだ、平気で太子を欺くのは…」 しかしこれは洛銘西の策略だった。 「頑固な韓燁を連れ出すには仕方なかった、だが梓元が最初に考えた方法は捕縛だぞ?」 (´⊙౪⊙)テヘ ( ー̀ωー́ )<…太子殿下と呼べ ![]() 洛銘西は最後の役目を果たし、梓元を韓燁に託してひとり翎湘楼に戻った。 「今となっては賭けをするのも独りだ…」 あの時、任安楽が皇太子妃になれるかどうか賭けをしたのがまるで昨日のことのように思い出される。 「梓元よ、君の勝ちだな」 韓燁は梓元を連れて蒼(ソウ)山の太祖の墓参りに来た。 「太子たる私は己を律して生きてきた、ままならぬ人生ではある その中で最も喜んだことは祖父が決めた婚姻だ」 「両家の間にどんな確執があろうと、運命によって結ばれた2人は引き離せない」 「奇遇だな、心を動かされた任安楽が私が守りたい帝梓元だったとは」 すると韓燁は碧璽剣を納めることにした。 「帝家の栄光と天下の権勢を象徴する剣だ、父皇がとらわれた剣ゆえに置いていく」 実は箱の中の碧璽剣の刃は二つに斬り割れていた。 その夜、力尽きた洛銘西は翎湘楼の露台の長椅子に横になっていた。 …私は靖安侯の期待に応えた 帝家の名誉は回復し、君と歩む者が現れた 君と長思花を見られぬのは残念だが悔いはない… 韓燁と梓元の婚礼の夜、洛銘西はうっすら笑みを浮かべながら静かに目を閉じた。 ![]() ![]() あれから7年が経った。 韓燁は密かに育てていた長思花畑に梓元を案内し、満開の花を見せて驚かせる。 「10年以上も前、ある少女が私に言った 長思花は凛とした美しさで、一斉に咲き誇る姿は満点の星のようだと… あの時、私はまだ年若く、種を集めさせ東宮の庭園にまいた 満開の花を見せて驚かせたかったが、その後、少女は都を離れた 私はこの場所でいつか少女の慰めになるようせっせと種をまいた 言うまでもなく寒い都ではずっと咲かなかった」 「実は一度だけ都で長思花を見たことがあるわ」 「…私もだ、初めて蕾を見たのは洛銘西の部屋だった」 あの時、韓燁は心を込めれば奇跡が起こると希望を与えられたという。 梓元は洛銘西の願いが靖南に帰って長思花を見ることだったと話し、結局、叶わなかったと嘆いた。 しかし韓燁はこうして都でも咲くようになり、洛銘西も天下の民も見ることができると慰める。 ![]() …帝梓元は天からの重責をその身に担う靖の皇帝・韓燁を支え、50年にわたり共に苦難を乗り越えた そして築かれるは輝ける太平の世、久しく天候に恵まれ、民は平和に暮らした… 完 ( ゚ェ゚)公式では見つかりませんでしたが、番外編で2人の幸せな宮中生活も見られます 興味のある方は動画サイトで探してみてください お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.02.03 22:55:41
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