017137 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

クルマ、バイク、鉄道模型など趣味で人生を楽しむ

クルマ、バイク、鉄道模型など趣味で人生を楽しむ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2024.06.16
XML
カテゴリ:クルマ

​ポルシェには911SCS、73カレラRS、RUF BTR3.4と3台を27年間に亘って乗り継いできたので、好きなクルマには違いありません。最近でこそフェラーリONLYですが、乗り継いできた延べ10台のうち、4台目の512BBまではRUFを並行して乗っていました。







ただ、それも20年前の話です。その後、水冷化しただけでなく、弱点の急激な荷重変化による操安性課題も電子制御によるトラクションコントロールで緩和しているはずと期待し、最近4年間くらいは、996や991.1、991.2、992のGT3、GT3RSに注目してきました。俊敏なエンジンの吹き上がりと高圧縮比によるNA固有のエキゾーストサウンドが否応なしに緊張感を高め、市販車で最もレーシングカーに近いと感じさせるクルマ」、「その気にさせるクルマ」と思うからです。
ただ、その検討の中でGT3かGT3RSかという点では迷いもありました。GT3RSの演出過剰、オーバースペックとも言える派手なGTウィングやカーボン・ロールケージには躊躇させるモノがあります。サーキット走行だけを考えても、もっと速いツインターボのフェラーリ488ピスタや296GT、F8トリビュートには何も付いていないのですから・・・。しかし、992を見ているとその傾向は飽きることなく益々過激になっているようです。




昔はRUFでさえ、4点式でした。せめてXの支柱を省略できるレスオプションがあれば・・。試乗の時に上着を置いたり、後ろに飛んだ荷物を取るのにひと苦労しました。

サスは相当固いですが、296GTBアセットフィオラノよりソフトです。

でも、なぜそう速くないGT3やGT3RSが気になるのか?
「官能的な乗り味と速い、遅いは関係ない。」、
「NA、マニュアルと変わらないことが魅力。」、
「フェラーリは速くなりすぎて素人では限界まで楽しめなくなった。」、
「馬は高すぎて手が出ないし、日常的に乗って楽しめるクルマとも思えない。」・・
ポルシェパラノイアの声が聞こえて来そうです。​

​​​ポルシェファンはポルシェ独特のFan to driveにこだわってポルシェひと筋で熱心に愛好されている方々が多いです。「ポルシェ・パラノイア(偏執狂)」と呼ばれる所以です。他のクルマではそのような呼び方はありません。それだけに、ポルシェ以外のスポーツカーに余り乗ったことがない方が多く、特にフェラーリからポルシェに乗換えた方は殆どいないように思います。逆にポルシェからフェラーリに宗旨替えした方は松田芳穂様はじめ、大変多いですが・・。

991を中心に最近のポルシェに乗ってみて感じるのは、RUFを売ってからの20年間、ポルシェは911に関して何をしてきたのかという疑問​です。
エンジンは高回転、高圧縮比の回転型をNAで追求し、水平対向6気筒DOHCのアーキテクチャーは基本変わっていません。排気量は4Lまで拡大しましたが、出力は500-550PS/レブリミット9,000rpm前後、トルクは高回転型を前提にした排気量の限界と言える450-500Nm/6,500rpm前後であり、ポルシェはこれくらいがちょうどいいと思っている節があります。確かにRRのパワートレインでは、いたずらに出力を上げても荷重変化が激しくなるだけで操安性は低下してしまいます。ポルシェの電子制御トラクションコントロールPTMは四駆を前提にしたトルクの自動配分システムであり、私の思い込みかも知れませんが、どうも四駆以外の通常モデルでは、急にパワーオンした時の操安性は劇的に改善されたとは思いません。ステアリングにクセがなく、巡行時に綺麗にラインをクリアしていく特性とは別問題です。現にサーキットではTCオフでドリフト走行しておられるマニアの方々も依然多いのではないでしょうか。
また、ミッションはどうでしょうか。7速マニュアルから7速ATのPDKに大きく移行しようとしていて、992では6速マニュアルがオプション設定になっています。でも、マニュアルをNAとともに好むパラノイアの方が根強くいて、中古車相場もマニュアルのほうが割高になっています。無理にシフトダウンして後ろからの吸気音やエキゾーストサウンドを楽しんでいるパラノイアの方が多いのも理解できます。私が公道で乗った感じではPDKは昔のスポルトマチック、ティプトロニックから正常進化していて、個人的には今やサーキット走行でもPDKのほうが速いのではないかと思いましたが、いかがでしょうか。ポルシェパライアの方はMTないしPDKのMTモードで走行している方が多いかも知れませんが。
内外装では多少の紆余曲折はありながらも完全なフロッグ・フェイスに戻っていますし、中を見ればやる気をそそる懐かしの5連メーターとスイッチ類、スポーツクロノがずらりと並び、タッチパネル化やエンタテインメント装備の充実というプレミアムスポーツの世界的潮流にも背を向けている感がしないでもありません。「それがいいんだ。」と言われれば、反論はしませんが・・。


ポルシェパラノイアの方々はエンジン、ミッションに関して、乗り味との関係で満足されているでしょうが、冷静に見渡すと競合他社のプレミアム・スポーツカーの一般的な状況は異なります。


(注)本表は991GT3RSとの比較に絞って、より厳密に修正しました。GT3RSの重量は「空車重量(DIN)」ですので、「乾燥重量」に乗員1名75kgと満タン燃料、冷却水、バッテリーが加算され、工具とスペアタイヤが減算されています。オイルは両者とも含まれていないようです。


乾燥重量1450kg前後はアストンを除いて当たり前。GT3やGT3RSが異次元に軽いわけではありません。軽さだけでトルクの不足は補えないです。
エンジンは、NAエンジンに見切りを付けてツインターボ化でトルクを重視して加速力の向上を図っており、トルクは700-750Nmが中心です。トルクは加速力であり、トルクがないとスピードが出ません。0→100Kmは2.9秒がベンチマークです。パワートレインはミッドシップないしFRでデフ、ミッション、サス、ブレーキの電子制御がドンドン進化してグリップ走行、ロールほぼなしが基本になっていて、ドリフトはTC-OFFにしない限り、カウンターできっかけを作っても殆どできません。
ミッションはZF8速のデュアルクラッチが主流で今やキックダウンもブレーキの踏み加減ひとつで1段、2段と自在に自動変速してくれる時代に来ています。
ブレーキはカーボン・セラミックが標準、全長350mmはあろうかという巨大エアロキャリパーに6ポッド、ロータ―400パイ、ピストン40パイ以上というスペックが珍しくありません。「宇宙一」は20年前の話でした。
私は好きなGT3、GT3RSを自虐的に腐しているのではありません。スペックの割に価格が高いということを言いたいだけです。
新たな挑戦で928はじめ、カレラGTや918スパイダーがいい結果を出せなかったので懲りているのかも知れませんが、レジェンド回帰モデルに頼らずに、技術革新モデルの市販化を続けてほしいです。フェラーリだって、296GTではハイブリットモデルの開発に悪戦苦闘しましたが、918スパイダーのほうが先行していたのではないでしょうか。

ポルシェパラノイアは、モデルによって劇的な性能革新がないにも関わらず、高くてもGT3、GT3RSはじめ911シリーズのNA、マニュアルにこだわって乗り継いでくれるので、ポルシェにとっても中古車ショップにとっても、非常にいいお客さまに違いありません。911の人気がこれほど高いのは日本だけと聞いたことがあります。​​​

​​
ポルシェセンターを含め、大手の中古車専門ショップを回ってGT3やGT3RSに関して改めて気づいたことがあります。
販売台数が元から少ないせいもあり、7年落ち、8年落ちの991.1でも当初の販売価格を大きく下回らない2500万前後で売られているのです。しかも、1-2年のうちにオーナーが転々と変わり、4人目、5人目の個体が多いことです。距離が出ていないのに経年硬化したCUP2を履いたまま、GT3が泣きます。限定車ではないのに販売台数が少なく、ディーラーが長い間、単純抽選方式で割り当てていたため、納車後、数か月でプレミアムを乗せて転売されている個体も結構ありました。
こうなってくると人気の旧車モデルと同じで、中古車ショップにとっては同じ個体で何度も商売できる絶好の商材ということになります。売っては買取り、また売るという1サイクルで@350-400万円儲かります。ポルシェセンターの認定中古車が少なく、市中のショップにある流通在庫車がかなり多いのは高く買い取ってもマニアに高く売れる環境面のメリットと、エンジンアーキテクチャーやパワートレインの変化が少なく、電子制御化の進度が高くないので最新専用テスターがなくても整備できるメリットが大きいからでしょう。フェラーリと異なるビジネスモデルです。
因みにフェラーリはディーラーで顧客を囲い込んで、階層化し、他方クルマは技術革新で高機能化、高価格化を図り、優良顧客から高額オプション付で割り当て受注を取り、納車待ちの間だけ現在の愛車に乗ってもらって、納車と入れ替えに買い取って次の階層の顧客に売るというカスケード戦略です。458以降は電子制御化とパーツ・専用テスターの供給限定で市中のショップはオミットされつつあります。






991や992には固定ウィングを止めて、可変スポイラーの「GT3ツーリングパッケージ」もありますが、ここまで大人しいベースの911に近いと逆に値段を考えてカレラTなどとも迷いが出てきます。



買う人がいるのでポルシェはポルシェのやり方でいいのです。
ただ、私の結論としては、GT3やGT3RSに限らず、911シリーズは大きな開発費を掛けずに劇的に変化していないモデルの割に、現在の市中相場が高すぎると思います。人気があるとは言え、経年モデルはもっと安くあるべきです。
例えば、991.1の前期型や後期型のGT3、GT3RSであれば、適価は2,000万円くらいではないでしょうか。競合他車と比べて、機能的、スペック的にはそれほどの価値のように感じます。円安でなければ、もっと海外からの中古輸入車が増えて相場が沈静化するはずです。

以上、私がGT3,GT3RSを買わない理由です。
諦めの悪い性格なので価格が安くなれば、食指を動かすかも知れませんが。


​​






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.06.26 08:05:58
コメント(3) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X