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カテゴリ:読書、映画
「ヘッジファンドの真実」/ 若林 秀樹 (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4862482163?ie=UTF8&tag=slyandthefamilystone-22 ヘッジファンドというと、最先端の金融工学の理論と巨額の運用資金を武器に金融市場を跋扈する魑魅魍魎の世界を思い浮かべてしまうが、実際のところ、多くは下町のマンションの一室を借りて数人程度のごく小さな組織で切り盛りするような、まさに金融ベンチャーなのだということが分かった。 著者自身もヘッジファンドを運用しており、四季報通読でピンと来る銘柄を探すなどの泥臭い面や、空売り批判に対して「異常に割高な株価こそむしろ悪だ」という回答をしているところには共感を持った。 ヘッジファンドは「私募」ということで、一般に積極的に宣伝することができないらしい。数年前にタワーの清原氏が長者番付に出て有名になり、なんでこんな目立つことをするんだろうかと思ったものだが、あれは直接的な宣伝にならないような、遠回しの宣伝だったのかもしれない。 日本のヘッジファンドの世界で小型株ロング・大型株ショートが流行したらしく、2006年には多くのファンドが厳しい状況に追い込まれたらしい。タワーだけじゃなかったのね。皆が同じ戦略をとると、そこが天井ということか。 まあいろいろあるにしろ、世の中の流れを考えると、日本においてもヘッジファンドは、乱立と淘汰を繰り返しつつも、産業全体で見ると長期では着実にその存在感を増していくのだろうと思う。 もっとも、「ゴールドラッシュで儲けたのはツルハシ屋」理論に当てはめると、そうした流れで一番利益を手にするのは箱貸しのインキュベータなのかもしれないという気もするけど。 さらに長期の10年、20年といった先のことを考えると、ヘッジファンド産業の成長による市場参加者の洗練によって、新興を含めた日本の株式市場が今よりも効率化され、リサーチ力が弱い個人の投資家では、容易に儲けることが難しくなっていくのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.12.28 19:28:37
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