#bookreview "梅棹忠夫著作集(第11巻)知の技術"
梅棹忠夫著作集(第11巻)知の技術価格:6,320円(税込、送料別)この巻には先日亡くなられた梅棹忠夫氏の・ベストセラー「知的生産の技術」&それに関連する草稿・民俗学と写真に関する文章他が収められています。★★★ 引き合いに出して申しわけないのですが、以前和田秀樹著『なぜか「忙しい」「時間がない」が口ぐせの人へ』という本を読んだときに、和田さんが「自分は簡単なエッセイだったら、20分で書ける」と豪語しておられ、しかもそれにかかる準備や背景等には一切触れておられず、不満に感じたことがありました。実際には何をするにも、成果以上の準備が必要なんだと思います。そこに触れないで成果だけを強調するのは、いわゆる日本的美学なのかもしれません(白鳥は水面下のあがきを見せない的な)。しかし、時間管理術の参考にはならないので、和田氏にはもう少し考えていただきたかったです(苦笑)。で、梅棹氏の「知的生活の技術」という本の意義は、この「準備の大切さ」を始めて世の中に打ち出したという所にあるのかもしれません。☆物を買うことの難しさ原稿用紙、京大カードをオーダーメイド(今もですが)メーカーさんは2~3年一度くらいに細かいバージョンチェンジを行い、紙質だとか、枠線の太さ&色などを微妙に変えていくのです。それが困るので、梅棹氏はすべて自分でオーダーしておられたそうです。今でしたら、パソコンソフトのアップグレードとかファイル形式の整合性、ファイル保存手段の変遷等の問題がこれに相当するでしょうか。☆生活の「秩序としずけさ」『整理や事務のシステムを整えるのは「時間」がほしいからではなく、生活の「秩序としずけさ」が欲しいからである』とのべられています。☆失明されてからの知的生産術私は存じませんでしたが、梅棹氏はお亡くなりになる数年前にウイルス性の疾患で失明されておられたそうです。しかし、情報整理システムを完璧に構築しておられたため、失明して生産性が落ちるどころか、雑用から解放されて空き時間が増えたため、かえって生産性があがったそうです。自分がもし今失明した場合どうなるかと考えた場合、背筋が冷たくなります(笑)。今のうちにせっせと身の回りの物&情報を整理しておかなくてはと思いました。☆民俗学と写真私は写真を趣味にしておりますので、民俗学研究チームにおける写真の撮り方についてなども興味深く読ませていただきました。研究対象だからといって何でも撮ればいいというわけでなく、・芸術的価値・相手民族の文化、個人感情の尊重等にも注意を徹底しておられたのは流石と思いました。以上です。