顎振り三年
実は父が経営している蕎麦屋を辞めて、新しい場所で正社員として働き始めた。コロナ等でこの先経営が安定する保証もなく、父が蕎麦打ちをできなくなる可能性もある。結婚しているならともかく、一人で蕎麦屋を切り盛りする気概は自分にはなく、一人で生きていくためには就職するしかない。そう決めてしばらく就職活動をしていた。幸いこんな自分でも拾ってくれる会社があり、コロナの療養期間を終えてから勤め始めた。入ってすぐ、続けられるだろうかと不安になるほど仕事量が多く、途方に暮れた。今まで身内の店で働き、甘い環境に身をおいていたからお金を得る大変さを改めて感じ慄いた。一日目は流れにのまれて頭が真っ白になった。二日目も指示通りに動くだけでいっぱいいっぱい。夜は緊張で中々寝付けず、夜中に何度も起きてしまう。アラームが鳴る大分前から起きて、布団の中で震えていた。大丈夫大丈夫と言い聞かせて体を押さえてもぶるぶると震えが止まらなかった。朝食もほとんど食べられず。車に乗ると不思議と少し落ち着いた。シフト制のため、昨日いた人が今日はいないということがあり、顔と名前が覚えられない。マスクをしているから余計に。幸い、直属の上司がとても理解のある方で、大丈夫大丈夫と言ってもらえたのが救いだった。指導係の方も、根気強く教えてくれる。何が分からないのか、何に引っかかっているのか、一緒に考えてくれる。歳は下だけど、経験値が全然違う。全てのことを把握しているすごい人。コツのようなことも惜しみなく教えてくれる。結果的にチームの効率が上がることをちゃんと知っているのだ。初めての公休。疲労困憊でほとんど動けず。走り書きしたメモを分かりやすく書き直していたら、一日が終わってしまった。まずは三日。三週間、三ヶ月。何とか続けたい。今の、訳が分からない状態からきっと抜け出せる。そのうち慣れる。それまで頑張れ。余裕がなく、ブログの更新はあまりできないかもしれない。コメントの返信も。ご理解していただけると幸いです。花籠のセンニチコウ。これからは水やりを忘れてしまいそう。