少し前ですが、相川章子著 中央法規出版 「精神障がいピアサポーター」という本を読みました。
著者は「社会福祉士」と「精神保健福祉士」資格を持ちながら、ピアサポートの研究をされている大先輩、、、というとおこがましいですが、私の目指す方向をはるかに先んじられている方です。
表現や文面にソーシャルワーカーらしい用語や視点が表れていて、私としては読みやすかったです。
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ピアサポートとは?
ピアとは(仲間)という意味ですが、精神障害当事者が自分の経験を活かして支援する側になって働くことをピアサポートと言います。
その様に活躍されているピアサポーターが全国におられるそうです。専門職では気付かない様な些細な変化を察知し、同じ苦しみを理解する視点で素晴らしい関わりをされている様です。
しかし、日本では十分な研修やフォロー体制がなく、一人体制のことも多いため、スタッフと利用者との立場の葛藤で潰れてしまう方もおられるそうです。また活躍の場もまだ少なく、賃金体系も確率されていないそうです。
海外のピアサポーターの活躍
ところがフランスやアメリカでは、ピアサポーターが専門資格となっており、資格取得の研修も精神障害当事者が団体をつくり、カリキュラムを組み、次々と新たなサポーターを生み出しています。資格取得後も、日常的にも相談が可能なフォロー体制があり、年に数回単位で研修体制も当事者の団体で行われているそうです。
そして、精神科医、保健師、精神保健福祉士などの専門職スタッフと肩を並べて、ACTチームなどでピアサポーターにしか出来ない役割を発揮しているそうです。
リカバリーストーリーを語り、新たなリカバリーストーリーを産む
ピアサポーターの重要な役割は、同じ境遇だから理解できるユーモアがあり、自分のリカバリーストーリーを必要に応じて開示することが出来ることです。リカバリーについては以前も書きましたが、精神障害を受容し、葛藤を経て折り合いをつけながら希望を持って生きていく「人生の旅」を表します。
リカバリーを達成したストーリーは、障害に苦しみ絶望の淵にいる方に希望を与え、生きる力、立ち直る力を与えます。そして、その人が本来持っている力を引き出して、新たなリカバリーストーリーをうみだすそうです。
専門職の驕り
本当に専門職種には出来ない素晴らしい力を持っています。しかし、日本でのピアサポーターの地位はまだ低く専門職種と肩を並べるまでにはいきません。そもそも、ピアサポーターの社会的進出が専門職に阻まれている可能性があるそうです。
確かにそれは一理あると思います。専門職の上からな目線は私自身も目の当りにしてきました。
ある専門職の方は、「自分が痛みを知らないと利用者の痛みがわからないという人が嫌い」だと言われ、「悪人であっても相談援助は出来る。」「むしろ悪人の方が器用に振る舞えて適している」と言われていました。結果、本音と建て前を使い分け、利用者の前では親身に見せて、陰では面白おかしく語られていました。
専門職がその様な視点でいれば、当事者の苦しみを真摯に理解しようとする視点や、ピアサポーターを同等の立場で受け入れることはできないと思います。また専門職は知識や症状だけでは利用者を理解していないことを知るべきだと思います。
私自身が精神保健福祉士の勉強をする中で教科書に書いてある「発達障害」の情報が、浅く不正確なことに驚きました。当事者の立場から見るとこれぐらいの知識で理解したつもりになられては困ると思いました。
その様な専門職の認識を改めるのが、ピアサポーターの社会進出にあります。私は「発達障害者ピアサポーター」の要請を考えていくつもりなので、一度この本の著者である相川先生にお手紙をしたためたいと思っています。
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「障害と共に希望をもって生きる哲学」
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2016年9月以後の動きは、ワードプレスサイトに移転してお送りします。
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