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発達障害者である専門職のブログ

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2015.06.05
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カテゴリ:発達障害

有難いことに最近相談を受けることがよくあります。

 

その中で「発達障害の基本的なこと」が乗ってる資料が欲しいと言われて、適当なものがなかったので自分で作成してみたので、ついでに公開します。

 

一部焼き直しもありますが、この間「DSN-5」の解説書を読んだり、たくさんの発達障害当事者と話す中で、積み上げてきた知識を結晶化しました。

 

名付けて「発達障害理解の公式」です。

 

私は数学が得意ではないので、公式というとおこがましいですが、発達障害者それぞれの特性を知るヒントになればいいと思います。


発達障害者のベース特性

発達障害とは脳機能の一部の発育不全、あるいは発達の偏りによって、能力にばらつきがある特性のことです。しかし、一言に発達障害といっても同じ症状の人はおらず100人100通りの特性があります

 

診断名として大きく分別すると

 

ADHD(注意欠陥多動性障害)、ADD(注意欠陥障害)

ASD(自閉症スペクトラム)PDD(広汎性発達障害)

LD(学習障害)

があります。しかし、この特徴が単独であることほぼはなく、要素の濃淡はありますが、多くの場合で合併をしています。このことが診断名と、臨床症状の誤差をうみます。

 

 

診断分類

 

 

各診断名の特徴

ADHD(注意欠陥多動性障害)、ADD(注意欠陥障害)

衝動性が表に出ないタイプを(Hyperactivity)を抜いてADDといいますが、衝動性が表に出なくても、頭の中で発想が湧き出て目の前のことに集中出来ていないタイプがほとんどです。

 特徴:忘れ物が多い 不注意 多弁・多動 物をなくしやすい
   落着きがない 物事を順序立てて行うことが難しい
   衝動的 順番を待つことが難しいワーキングメモリーが乏しい
   過集中と放心を繰り返す

長所:複数の分野を統合する力に長けて創造性に優れている。
   直感力、決断力に優れている。
   興味分野に対しては、素晴らしい集中力を発揮する。
   嘘がつけず、裏表がなく純粋。 ユニークで人当りが良い。 

   周囲を和ませる。

 

 ASD(自閉症スペクトラム)PDD(広汎性発達障害)

自閉症のカテゴリーに入り、ICD-10(国際疾病分類)とDSM-5(米国精神医学会の診断基準)とで名称の違いがありますが、いわゆる「アスペルガー症候群」と明確な区別が難しく、ほぼ同義です。

 特徴:

・社会性の欠如 常識が自然と身につかない

・メタ言語理解の乏しさ 言葉どおりに解釈する 

・曖昧さが理解しにくい
・興味の偏りが強い

・興味分野への集中に比べて一般の事象への興味が極端に薄い
・人間の認識より、法則や物理的な動きへの興味が強い。
・他人の気持ちの機微が読みづらく、空気が読めない、

・不用意な発言をする。

長所:

・超合理的思考。
・言語理解に非常に優れている。

・行動様式などを自然には身に着けられないが、合理的、科学的な理解をすれば、違和感なく 社会に溶け込むことが出来る。
・法則を解析する能力に長けて分析力に優れている。
・興味分野に対するこだわりから、一分野で特価した知識・能力を持つ。
・嘘がつけず、裏表がなく純粋。

※一分野で突出したIQを持つのが、「サヴァン症候群」

※IQが低い方は、「低機能自閉症」「カナー症候群」といいます。

 

 LD(学習障害)

特徴:

全般的な知的発達に遅れはないのに、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論す  るなどの特定の能力を学んだり、行ったりすることに著しい困難を示すさまざまな状態をいいます。

長所:

視覚、聴覚、知覚、触覚、味覚などの特異な分野に人並み以上の鋭敏さを持つ事もあり、芸術や文化の世界で大成する方もおられます。

ベースとなる個性の違い

これらの要因でベースの発達障害ごとに能力・個性の違いがあります。自分の特性は結局、自分で知っていく事しかできず、それをもとに自分の説明書を作成することが必要です。社会生活において、自分の特性の説明を周囲に伝えることが、発達障害者がストレスなく社会で生きていくための重要なカギとなります。

 

  環境による二次障害

これらの特性の偏りにより、社会生活でつまづくことが多いために、発達障害者の66%は二次障害を持っていと言われています。

 

  二次障害として:

 

視線恐怖・対人恐怖・吃音・不安障害・単極性うつ・双極性うつ

 

などがあります。特に「双極性うつ」の方が多くおられますが、実はトラウマ要因のフラッシュバックによる気分の変動という要素も多いみたいです。同様に、ベース疾患を読み取れずに表出する症状に対して「病名」がつき「投薬」がされる誤診も多くあります。

 

DSM-5では、これまで精神疾患と言われていたもののベースに神経発達障害がある可能性を示唆し、2013年の診断基準変更の際に全面に神経発達障害を取り上げるようになりました。

多くの方がAC

 

AC(アダルトチルドレン)とは、マスコミの誤訳「「こどものような大人」と思われていますが、実際には「機能不全家族の中で育ったこども」という意味です。実は、発達障害には遺伝的要素があり三世代遡ると必ず発達障害要素の濃い方がおられます。近年までは、発達障害をお持ちでも生きていける社会であったから、問題にならず自覚がない方が多くおられます。

 

当事者の両親・養育者に発達障害の要素があり、裕福であっても、血筋がよくても、両親健在であってもこどもへの関わりとして「機能不全」であったというケースが多くあります。

 

生育期の関わりによって、「自己肯定感」「他者への信頼」「距離感の測り方」「積極性」などが十分に育っていない部分があるのが、ACの特徴です。

 

発達障害の特性理解の公式

つまり「発達障害者の特性」は


ベースとして、ADHD,ASD,LD要素の割合

        ×

  家庭での影響、アダルトチルドレン要素

        ×

  社会生活でのトラウマ

 
が複合的に重なって、非常に複雑な個別性を持った性格特性がつくられます。


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Last updated  2020.03.18 20:37:39
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