長かった精神科医療機関実習と、最終レポートがやっと終わりました
これから国家試験対策に本腰を入れていきますが、その前に本当に久々に一更新しておきます。
客観的に自分を知る事の重要性
実習では様々な学びと同時に、自分の弱点やトラウマと向き合い立ち向かう機会となりました。
自分の気づかない部分、「感情」や「思考」を規定するものを知る、他者から見える自分を知る事などを「自己覚知」といいますが、発達障害、精神障害の方にはこれが一番重要なステップとなります。
支援者から見ると「病識」などと言われますが、それを本人が理解、受容して解決に向かう気持ちにならなければ進めない事が多くあります。私も、発達障害の診断を受けるまで10年以上かかりました。そして、診断を受けても全てが明らかになっている訳ではないのです。
診断名だけでは不十分、精神症候群の中の発達障害
以前、発達障害の特性はADHD、ASD、LDの要素が混在し、100人100通りの特性があるとお伝えしました。
しかし、精神障害を学び、関わる中で「発達障害」の範疇だけに留まらない事に気づきました。つまり精神疾患全体の中で類似する特徴や要素持っているのです。
精神疾患の病名は、様々な症状傾向が複数当てはまる事でカテゴリー診断がされます。
例えば、統合失調症を診断する為には「シュナイダー一級症状」などで、幻覚の有無や妄想の特徴などを当てはめていくのですが、その人が持つ症状に当てはまらない要素や他病名とされている特徴を合併している事もあるのです。
更に、表面的にはASDの特徴は、統合失調症に類似する点も多くあり、近年になるまではASD者の多くが統合失調症と診断されてきました。
診断名の出世魚現象
診断名は、表出する行動や特徴をグループ化したもので、詳細に分類すると数百の病名がつくそうです。また、出世魚の様に行動のエスカレートによって変化する病名もあります。
ADHD → 間歇性爆発障害、重度気分調整障害、反抗挑戦性障害、反社会人格障害
ASD → 愛着障害、拒食・過食症、素行障害、溜め込み障害
また、自己治療効果を求めてアルコール依存症、薬物依存症
虐待が掛け算となり、解離症、人格障害、複雑性PTSD
ADHDと類似しているものとして、双極性障害など
環境でもたされる認知の歪み
そして、社会との不適合状態、いじめ体験などで、思考や感情がネガティブに捻じれてしまう事があります。
千葉大学では社会構造による不適応を「18種のスキーマ」と分類しています。
他人からの何気ない日常の言動や行動に、過去に受けたショック体験を連想してしまい、過剰な落ち込み、怒り、反抗、こどもの様な反応などを行い、普通であるはずの人間関係に波紋を起こしてしまいます。
発達障害者が日常的に問題と表出する部分は、ベース特性よりも後天的につくられたこのスキーマ行動部分が大きいのではないかと思います。
これらは、認知の歪みなのです。
そして、認知の歪みが病識の受容を妨げる原因にもなります。
例えば、
他人の忠告に対して悪意を感じてしまえば、受け入れる事は出来ません。
同様に、極端な卑下、反発、言い訳、逃避をしてしまえば、病識の認知ばかりか周囲の信頼をそこね、反感も招いてしまいます。
「これだから発達障害者は...」といった、印象は実は社会不適応体験から来る悪循環であるとも言えます。
皇室も認めた!?認知行動療法
この誤った認知を修正する為の手法として「認知行動療法」があります。民間療法ではなく、保険診療として認められた治療法になります。
日本ではあまり進んでいませんが、海外では発達障害特性にあわせて様々な認知行動療法を応用した実践がされています。
なかなか専門的治療を行っている医療機関を探すのは難しいのですが、実はインターネットや書籍でもある程度「認知行動療法」の手法を学ぶ事は出来ます。
私もこれから勉強をしていく所ですが、日常で生まれる「思考」「感情」「行動」を「経験」から分析し行動変容に結び付けていく事を実践していきたいと思っています。
半生より長い心の重り
ちなみに、私の大きなネックはいじめ体験による「落ち込み」「自己卑下」があります。
対人援助を行う上で克服すべき課題として向き合いましたが、自分の内面を掘り下げる事は非常に苦しかった体験でした。
それを、助けたのがPTSD研究をされている中井久夫先生の「アリアドネからの糸」から抜粋された「いじめの政治学」でした。
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私が苦しんでいた体験は、どの様な構造の基で、誰が加害者となり、私にどの様な影響を与えていたのかを、理解する事で私の中に植え付けられた「誤った認知」に気づく事が出来ました。
つまり
「どの様な理由であれ加害者に非がある」
「加害者が誰で、どの言葉が植え付けられていたか」
「加害者の権力の為に隷属化の過程にあった」
「自分が能力・魅力のない人間と思わされていた」
事が理解出来ました。
この部分に対して、認知を改め行動変容を試みています。
同じ様にいじめ体験で苦しんだ事のある方は、ぜひ一度お読み下さい。
いじめ体験は、加害者がどの様に軽い動機で行われ、加害者が忘れられていても、被害者のその後の人生に思い鎖をつけていつまでも束縛し続けるものなのです。
私は20年以上経っていますが、この本のおかげで少し自由になれた事を感じます。
前回の話の続きではなくなりましたが、おそらく多くの方が悩まれているテーマだと思いますので先にお話しをさせて貰いました。
一人でも多くの方が、スキーマ体験から解放され自由に生きていける事を望みます。
今後の動きは、ワードプレスサイトに移転してお送りします。
新サイト「Professional independence with neurodiversity value」
(発達障害者である専門職のインディペンデンス)は以下のバナーからどうぞ。