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カテゴリ:恋愛あるいは関係論
なんかいつも「Fixing A Hole」さんから書くことのインスピレーションを受けているような気もしているんだが(実際おもしろいわけで)、いくつかの書きたいこととの重なりもあって、今回も紹介させていただく。
ここの執筆者の一人が、数日前、ある男性から「女の気持ちが分かる小説は何?」と尋ねられたという話をきっかけに、例によってメールが飛び交いました。(⇒全文) こういう風に始められたら、やはり多少読まされてしまう。 俺の場合、いくつかの点で、特別な興味を持った。 まず、冒頭の文に続いて、 こういう律義な質問に対する批判の類は省略して、 と書かれている。 どんな批判が飛び交ったのか、そこに興味を持つんだが、 (ヘテロセクシャルの)男としては、当の男性の気持ちも多少わかりつつ、なんでそんなこと聞くかな、とも思うような、アンビバレントな気持ちを持つわけで。 その気持ちがどこから来るのか、ちょっとわからず、過去を振り返るのだが、それでもよくわからない。 こういう想定はもしかしてジェンダーバイアスを助長するものなのかと思いつつも、しかしそこにはある特定の女性も想定されているわけで、そういう感覚は応援したくもある。 う~ん。 女性一般と特定女性との<あいだ>の問題なのだろうか。 まあ、そんなことを考えていた。 ■昨日、DAIのCDを買いに行ったついでに、阿部和重『無情の世界』を買って読んでいる。 『無情の世界』の一編目に収められている「トライアングルズ」を読んだときに、「Fixing A Hole」さんの例の記事が思い出された。 というか、「女性の気持ちがわかる小説」という言い方が、どうにも遠回りな感じを覚えさせるような気がしていたんだと気付いた。 何というか、阿部和重の小説から感じられる感覚というのは、何とも遠回りであって、しかしそれが異常なまでのアクチュアリティを感じさせているように思うんだが、それがまさに先の問いに関連しているように感じられた。 そして付け加えておけば、いくつか読んだ範囲から言えば、阿部和重の小説には、致命的なまでの勘違いをしている人物が必ず登場する(いや、実は彼らは「勘違い」などしていないのかもしれないが。阿部和重論はすべて読み終えてからにしよう)。 だから、先の記事の問いに対する反応は、応援したくも、「それは違うぞ」といいたくもなるものになるんだろう。 ■いまひとつ。 実は妻が以前(結婚する前)に、ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』を評して、 「こんなに女性の心をわかっている作家はいない」と言ったことがある。 その時の気持ちをなんとなく覚えているからこそ、例の問いに引っ掛かった。 まあ、読んでみるかと考えて読んだが、結局それで女性の気持ちがわかったかといえば、なかなか首肯しがたい。 (今回の「Fixing A Hole」さんのハウスルールでは「中短編に限る」ということでこれは入ってこないが、長編が入ったらどうだったのだろう?) ■今思えば、 女性の気持ちを女性に聞いちゃいけないんじゃないかって気がしている。 そこが、「致命的な勘違い」な気がしている。 そして、何となく、そういう「勘違い」が阿部和重の小説の魅力なんじゃないかって気がしている。 だから、一応、久しぶりに穴を掘って叫んでみる。 違うぞー、それは違うぞー。 なんだかアクチュアリティを感じるぞー。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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Wow, cool man, big thanks! <a href=http://oywudlcewic.com >http://oywudlcewic.com</a>
(2008.05.03 22:04:29)
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