テーマ:今日のアーティスト♪(630)
カテゴリ:人物
先日、いろいろなブログめぐりをしている中で偶然、ロック歌手の忌野清志郎さんが、五月はじめに癌で亡くなられたことを知りました。
ある想い出がよみがえります。 2005年の10月、たまたま東京にいた折に、毎年武道館で開かれている、Dream Power ジョン・レノンスーパーライブに行きました。 レノンのパートナーだったオノ・ヨーコさんの提唱で、毎年レノンの誕生日あたりに行われるチャリティーコンサートです。売り上げはアジアやアフリカの学校建設資金に寄付されるそうです。 親しい友人がヨーコさんのご親戚なのがご縁で、このコンサートへのお誘いを受けたのです。 日本の歌手(ドイツもですが)についてはうとい私には、出演者で知っている名前といえば、ヨーコさん以外には小泉今日子さんだけでした。 コンサートがすすんで、舞台にものすごい形相の化粧をして、ヨーロッパの武士のような格好をした男性が登場しました。「御付」役の男性に、マントを脱がさせたりして、いかにも横柄な態度です。 私はひそかに「何だこいつ、偉そうにして」と思いました。 そしたら、この歌手は「おまえら(と言ったかどうかは確かではありませんが、口調からそういう雰囲気)、憲法守らなきゃだめだぞ、九条はだいじなんだ」と演説したのです。 彼の歌については、まったく覚えていないのですが、この言葉だけは記憶に残りました。 「この人、だーれ?」とそっと隣の友人に聞いて、・・・清志郎さんという方だと知りました。 コンサートの終了後、舞台の裏の一室で、出演者やスタッフたち、関係者たちによる打ち上げパーティーが行われました。 友人のおかげで、私もこの打ち上げに参加する光栄に恵まれました。 おかげでヨーコさんや小泉今日子さん(とっても華奢で細くて、かわいい人)を目近で見ることができました。 しばらくすると、清志郎さんが化粧を落とし、髪も洗い(おそらく)、シャツ姿で現れました。スッピンのその顔は、さきほどの偉そうな態度とはうってかわって、とてもやさしくて、気のよいふつうの男性に見えました。 生来、恥知らずな私は、つかつかと彼の方に歩み寄って、 「ねえ、あなた、さっき舞台ではいいこと言ってくれたわねえ。えらい!」と声をかけてしまいました。 すると、清志郎さんは 「そうだよね、言った方がいいよね」とちょっと照れたようにおっしゃいました。 その表情からは、自信たっぷりというよりも、手探りで何かを一生懸命にしようとしている控え目な人、という印象を受けました。 友人が機会をとらえて、清志郎さんと並んでいるところを写真に撮ってくれました。 その写真はその後、このパソコンが置いてある机の引き出しの中で、銀行書類などの間にまぎれこんでしまいました。 この方が、有名で話題性の多い歌手あることを知ったのは、あとになってからです。 おー、知らなかったからこそ、ずうずうしく話しかけることができて、ラッキーと喜んだものです。 ネットで清志郎さんが亡くなられたことを知って、驚き、あわてて引き出しをかきまわして、あの写真を見つけました。 写真では、「ガハハ」とおばさん笑いをしている私の隣で、清志郎さんがちょっと頼りなげに微笑んでいます。 こういう勇気ある、ユニークな歌手がいなくなって、本当に残念です。 「そうだよね。言った方がいいよね」 彼がぼそっと言った声が、今も耳に残っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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