テーマ:海外生活(7782)
カテゴリ:人物
DSC03665 posted by (C)solar08カールが買った元郵便局の建物、道路に面した側 以前の記事で紹介した、トイレを台所代わりにした元歯医者のカールを今回の旅行でも訪問しました。 彼は南チロル地方で歯科診療所を開業していたのですが、数年前にこれをたたんで、旧東ドイツ、チェコとの国境近くにあるエルツ山地の小さな村(海抜800m)にあった空き家の元郵便局の建物をとてもリーズナブルなお値段で買いました。 ここは緑いっぱいですがすがしいですが、夏でもかなり寒く、冬はスキーの観光地になります。 DSC03664 posted by (C)solar08カールが買った元郵便局の建物、中庭から見た外観 1000平米以上の土地つき、三階建て(プラス屋根裏と地下室)。部屋は数え切れないほどありますが、買った当時の建物は廃墟のようで、まったく住めない状態でした(トイレの配管もなし)。 DSC03680 posted by (C)solar08まだ改装されていない部分。改築前は建物全体がこんな感じ DSC03681 posted by (C)solar08部分的に改装した部屋 これをカールは地元の男性一人に手伝ってもらうだけで、自力で改築・改装しています。 元々は職人の資格をもち、その後歯科医になった彼なので、何でも手作りしてしまうのです。 上下水道の配管、電気の配線はもとより、建物の内壁や空間の仕切り(部屋と部屋の間の仕切り壁)を軽量コンクリートブロックを積みあげて作ったり、システムキッチンや部屋のドア、バスルームの戸棚も手作り。 DSC03668 posted by (C)solar08カール自慢のキッチン。モザイク模様(タイル)も手作り。 DSC03674 posted by (C)solar0850平米ぐらいの広い居間。これも自力で改装 居間も豪華に。ペルシャなどの絨毯も収集しているカールは、これをパネルに貼り付けて、すばらしいタピストリーに仕上げました。 カーテンはホームセンターの安物らしいのに、この部屋では色がマッチしてきれいに見えます。 DSC03669 posted by (C)solar08ソファーも安楽椅子も、カールが自分で革を縫ってカバーを作った 部屋のあちこちのディテールが面白いです。このソファーセットもそう。 DSC03675 posted by (C)solar08 革に穴を一個一個あけ、何日もかけて縫ったのだそうです。 彼は一つのことを考え付くと、憑かれたようになって集中するのです。そこが凡人と違うのかも。 DSC03677 posted by (C)solar08カールの家の居間。 上の写真左はアンチークつづらの蓋。あまりに重いので、ふたをはずして壁に取り付けたのだそう。そして、この蓋を開けると カールの手作りグラス用の棚 posted by (C)solar08 その奥はこれも手作りの棚がしつらえてありました。 こういうアイディアを実現させるのが彼の趣味。 アンチーク絨毯やアンチーク家具など収集が趣味のカールはオールドタイマーカーも18台ほど集めました。歯医者さんて儲かるんですねえ。こういうことができるんだから。 元郵便局だけあって、この家の敷地には、古びたガレージ(何台分もの、でもゴミや建材でいっぱい)や住めそうな豪華な物置建物もあり、カールは数台のクルマをここに「隠しています」。でも乗り回すのは(ナンバープレートがあるのは)一台だけ。 DSC03685 posted by (C)solar08年代もののシトロエン。これでカールは大きな戸棚まで運んでしまう。 あとのクルマはふだんはミニカーで我慢。 自分が所有しているオールドタイマーカーはすべてミニチュアでも持っているカール posted by (C)solar08 ところでカールは70才を過ぎた今でも独身です。 過去にガールフレンドはあれこれといたのですが、彼のあまりにも独断と偏見に満ちた態度がたたってか、長い年月継続するパートナーシップにはいたりませんでした。 この山の上の邸宅での一人住まいは、さすがのカールにもやっぱり寂しいようです。 それで インターネットのパートナー紹介サイトにも加入して、ガールフレンドを探していましたが、お金目当てのロシア人女性などが多くて、なかなか見つかりません。 ある日、この村から30キロほど離れた中都市のカフェで、カールは二人連れの中年女性に、彼らしいジョークをまじえて話しかけました。 それが縁で、二人連れの片方のご婦人とついにカップルに。 市役所にお勤めのこの女性、気さくでさっぱりとしていて、気軽に話せます。 私たちが訪問した晩も、お勤めのあと、トマトやイチゴなど食材を用意してやってきて、和やかに食事・お話できました。 二人は知り合って半年になりますが、もうカールの暴君ぶりが発揮されているようでした。 二人でテント持参でチロルに旅行に行ったときの話。 彼女はドライヤーやらお肌のクリームやら、たくさん詰め込んだバッグを三つ持ってカールの家にやってきました。 それを見たカールは、「そんなにたくさんの荷物はなんのためだ、バッグの中身を見せろ」と「命令」。 居間の床に彼女はバッグの中身をすべてぶちまけました。 カールは「これは不要、これもいらない、俺のようにバッグ一個に納まるようにしろ」と命令。 この時点で、「ふつうのドイツ人女性」だったら、「あんたとの仲はこれでおしまいよ、何を持っていこうと私の自由でしょ。車で行くんだから場所だってあるし」と叫んで帰ってしまうところです。それにふつうのドイツ人って、数日の旅行でもすっごく大きなトランクにたくさん詰め込む傾向があります。 けれども、この方はとても忍耐力があるのか、それほどカールにぞっこん惚れてしまったのか、カールの言うとおりに荷物をバッグ一個に収めて、あとは家に残していったのだそうです。 ほかにもカールは「食器洗いなどするな」(彼女を自分のお手伝い代わりにしたくないという配慮からですが)、「食器洗剤は禁止、雑巾も禁止」などの命令や禁止をするのですが、彼女はそれをそっとかわして、カールが知らない間に持参の洗剤で食器を洗い、持参の雑巾でキッチンを掃除するのです。 日ごろ、多くのドイツの女性は男性に甘やかされているな(何でもやってもらう。頼る、わがまま)、と思っていましたが、彼女はそういう私の偏見を破ってくれる例外の一人です。 いずれ、彼女はカールといっしょに住みたいようですが、そうなったときが本当の試練なんでしょうね。 私のモットーは「いっしょに生きるのはいいけれど、いっしょに住むのは難しい」。 日常生活の雑事・雑音で、人間関係がくずれやすいと思ってしまうのです。でも、これはわがままな私だから感じることなのかも知れません。 いずれにしろ、カールたちの今後が楽しみです。 これもカールの手作り、モザイクも手作り posted by (C)solar08 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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