カテゴリ:本
6月末に、久しぶりに訳書を出しました↑。 ドイツ人の女性デザイナーが作った本。 といっても、読むよりも「見る」が主体の本。 世界中の原発、核兵器、核実験の実態や数字が一目でわかるように、絵やグラフで示され、データの解説がつけられています。 原発の是非を正面から論じるのではなく、あくまで事実や数字だけを出して、読者に自分で考えてもらおうというのがねらいのようです。 この本はドイツで2009年に「この年で一番美しい本」という賞をもらったそうです。 デザイナーが作った本ですから、いろいろ工夫がおもしろいです。 私が一番驚いたというか、自分の無知を実感したのは、過去にアメリカその他がおこなった核実験の実態です。 ビキニ環礁、島々の住民は放射性降下物の実態も知らされずに、まだ放射性物質がいっぱいの島に戻され、いわば人体実験のような役割を果たさせられたそうです。 そういえば、小さい頃、ラジオから毎日「ストロンチウム」という言葉が聞こえてきたし、雨にぬれてはいけない、と言われたものだと思い出しました。「ホウシャノウを浴びるから、ちゃんと傘をさすのよ」と母に言われても、傘ぎらいの私は、あまりささなかったなあ。 世界には、まだ一つも核廃棄物の最終処分場がありません。 廃棄物はどんどん増え続けて、たとえ地球の奥の方に最終的に埋設されても、核廃棄物は気の遠くなるほどの年月を超えて存在し、放射線を出し続けますから、問題が解決するわけではなく、次世代の人々を計り知れない危険性の中においてしまいます。 こういうことは頭ではわかっていても、それじゃあ自分はどうする、というところに結びつかないんですね。身近な所で食中毒が起こっていれば、「たいへんだー」と思って、それに対処しようとするけれど、遠くの地、はるか未来に及ぶ危険に対しては、想像力も実行力も働かないの。 私がせいぜい実行しているのは、自然エネルギーだけの電力を供給する電力会社と契約していることだけ。なにしろ、パン焼きでエネルギー消費しているからね、せめてそのくらいは。 日本は電力供給が自由化されていないから、これをしたくてもできないのが残念ですね。 ベランダにソーラーシャワーつけたら、水がすぐに熱くなるだろうなあ。 でもね、まさかベランダでスッポンポンになるわけにはいかないし・・・。 今、ドイツのジャーナリストが最近書いたばかりの「アトム嘘」という本を読んでいます。もちろん、これはドイツの実情を書いた本。 安いといわれている原発が、実は税金から大量の補助を間接・直接的に受けているし、何か起こったときに損害を補償するのも、大半は産業ではなくて国。エネルギー産業からの圧力には、緑の党のような革新政党も屈してしまい、妥協した、などなど、私たちがかねがね推測していたことを、この本は具体的な事実をあげて描いていて、まるで推理小説を読むようです。 こういうの読むと、政治家にはなりたくないなー(もちろんなれもしないけど)、と思いますね。 パン焼いてるほうがいい。 岩波書店の「科学」という雑誌の7月号に、「フクシマがドイツを変えた」という記事を書きました。 ドイツの脱原発の経過とそれに代わる電力供給の見通しというか可能性を記録したまでですが、本号は、福島事故や日本の自然エネルギー発電についての特集号でもありますから、ぜひお目をお通しいただければ、幸いです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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こんにちは、solarさん♪
新しい本ですね!原発問題も、基準もよくわからなくなっています(発表がよくかわる?!)。 科学という雑誌があるのですね♪気にしておきます(●^o^●) 週末にエコなファーム体験(遊びのようですが)のところへ行ってきました♪ 宿泊施設のTVをつけると、まず各自の部屋で使っている電力トータルが表示されて、全戸で順位表示されていてびっくりしました!!! あちこちに、「○○しましょう」ではなく、かわいく「○○だから、○○しようね」といったエコを勧める張り紙もたくさんで♪ 何でも、目に見えると、さぁやろう!考えよう!と思えるのでしょうけどね…わかりやすく正しい情報が伝わってこないのは困りものですね… (2011/07/11 03:14:19 PM)
こんにちは♪
誰が読んでもわかる、という本や記事は大切ですね。わかりやすく書くというのも、なかなか大変なんです。学者はひとりよがりに書いてしまうことが多いから、ふつうの市民に伝わらないんでしょうね。 そのエコなファーム、おもしろいですね。自分が使っている電力がいつも表示されたら、節約する気になるでしょうね。 他の人が電力を使ってないときに使うことで、電力消費ピーク時の消費を下げれば、発電所は少なくてもすみます。夜中にパン焼いたり、洗濯するとかね。 (2011/07/11 04:12:26 PM) |
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