テーマ:政治について(20406)
カテゴリ:opinion
ドイツではいま、ヴァレンしア・オレンジがとても安くておいしいです。
1キロ当たり1ユーロ(約130円?)という商品も、スーパーではふつうにあります。 そして、しかもそれがおいしいの。 夕食のデザートは一年じゅうフルーツサラダでも飽きないので、冬期間はオレンジを毎日1個は利用しています。 こうしてのんきに喜んでいたら、昨日テレビで哀しい事実を知ってしまいました。 ドイツのオレンジはほとんどすべてスペインからの輸入ものなのですが、フランスなど他の輸入国とくらべても、ことさら安いのだそうです。 それは、大手のスーパーチェーンが生産者や卸業者に安値を迫るから。大手のスーパーチェーンはドイツ以外にも支店をたくさんもっているので、圧力が効くのです。 その結果、オレンジ農家は1キロ当たり15セント(20円以下)とか信じられないような安値でオレンジを売らなければならないのだそうです。 それで、生き残りをはかるためにスペインの農家は、オレンジの収穫をする労賃を節約するために、アフリカからの難民を雇うことが多いのだそうです。 ただし、雇うといっても正式に公正な賃金を払うのではなく、畑に野宿させて、ものすごい低賃金で働かせるのだそうです。アフリカ人たちは住む家もなく、金もないので、テントのようなものをはって、ちゃんとしたトイレもないような生活をおくっています。ゴミや汚物にまみれて。アフリカに帰りたくても、帰る金もないから、こうせざるを得ないのです。 雇い主の農家ばかりを責めるわけにはいきません。 責められるべきは、安いオレンジに目を輝かせ、一番安いオレンジを売っているスーパーを探す、ワタシたち自身。 もちろん、値段をたたくスーパーもですが。 この状況は、こちらですっごく安く売られる衣料のために、低賃金で危険な労働条件で働いているバングラディシュやカンボジアの衣料工場と似ています。月収5000円余りのあめに、休日もなく毎日12時間働いている人の生活が報道されていました。 こういう番組を見ても、ワタシには何もできないよなーとボヤイていたら、オレンジの場合には、最後にちょっと希望のもてる事例が紹介されていました。 ドイツなどのスーパーに売るのをやめて、インターネットを介してオレンジをお客に直売している農家です。 ふつうは収穫されたオレンジを卸業者や輸出業者に売るだけのところを、直売農家は採れたオレンジを畑ですぐにボール箱に梱包して、発送するのだとか。 こうすると、収穫からお客の手元に届くまでに3日しかかからないので、熟したオレンジを収穫して送ることができ、お客は新鮮で甘いオレンジを食べることができるのだとか。 値段は1キロ当たり3ユーロ(360円から400円ぐらい?)だそうですが、人を苦しませないで、しかもおいしいオレンジが食べられる! これから探してみなければ。 ドイツ人は良く言えば節約型で合理的、悪くいえば、かなりケチ。 とくに、食料品が安いことにあまりに慣れきっていて、オレンジが1キロ400円などというと、すぐ「高ーい」と思ってしまいます。わたしもそうです。 食料品というのは生きるための一番大切なものだから、本当は良質なもののためにはケチるべきではないのに、他のものにはおしまず金を出すくせに(ちなみに、タバコは1箱600円以上)、食料品にはケチる傾向があります。 ワタシも反省しなければ、、、。 子ども時代を思い出すと、父がみかんはきらいで、輸入物のネーブルオレンジが好きだったのですが、当時はオレンジは高級品でした。 父が生きていて、今ここにいたとしたら、安くておいしいオレンジに歓喜して食べたかしら、それとも、「そういうふとどきなことをするスーパーからオレンジを買うのはいかん」と言ったかなあ。 昔、実家の近く、東京の根津にはじめてスーパーが出店したとき(周囲は八百屋さんや魚屋さんなど小売り店がたくさんありました)、「ああいう大型資本の店で買ってはならん。昔から正直に商売している小売店を応援しなければ」と言って、スーパーで買うのを禁止した父でした。 ワタシはときどき、父に内緒でお菓子などをスーパーで買いましたが、さすがに野菜や魚、肉は昔から知っている小売店で買ったものです。 根津の商店街の小売店たち、今も残っているのかなあ。ああ、なつかしい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[opinion] カテゴリの最新記事
|
|