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今年のドイツは冬らしい天候がほとんどくることもなく、やっと2月になって日中でも零度以下の日や雪の日がちらほら(山の上は別ですが)。
冬物のバーゲンセールも終わりに近づいています。 セールで元の値段の半額になったダウンコートを見ると、つい手が出てしまいます。 でもね、わたしが長いダウンコート(半コートでなくてヒザまであるコート)を試着して鏡を見ると、着膨れした雪ダルマが目の前にいるようで、買う気がそがれます。 体重は20代のときと同じなのに、脂肪の配分が昔とは違って、体の真ん中の部分に集中しているから、、、。 店の人に「雪ダルマみたいでがっかりする」と言ったら、「雪ダルマとはね、なるほど、良い表現の仕方を教えてもらったわ。私もこの表現つかわせてもらおっと」と喜んでました。喜ばないでよね。 でも、せっかく半額だから買わないのはもったいない(買わない方が本当はもっと節約になるのに)、今期は二着も買ってしまって、どちらもベルリンの娘に送ってしまいました。 彼女なら雪だるまには見えない。 こうやって、ブティックで服を見ると、娘に送るのが習慣になってしまいました。 ちなみに、娘の職業、一応は衣服のデザイナーです。 これと同じことを、東京に住んでいた母もほんのちょっと前まで、といっても17年前に他界するまで、ずっと長い間、わたしの結婚以来ずっと、わたしのためにしてくれていました。 シルクのタンクトップがほしい」「カシミアのセーターがほしい」とねだると、母はいそいそとデパートに出かけては、いろいろ探して送ってくれたものです。わたしは今でもそれらを着ています。シルクのタンクトップはすり切れるまで(最後は下着として)。 母が自分のために買った衣服も、ちょっと着ただけで、すぐにわたしに送ってくれました。 そういう「お古」をわたしもちょっと着たあと、さらに娘に送ることがありました。 娘はそれらのいくつかを、いまだに着ています。 母、わたし、娘は背の高さや肩幅、靴の大きさはほぼ同じなので、お古のまわしができるのです。違うのはウエスト周りだけ。 そういえば、母の死後に実家の電話のそばで見つかったメモ用紙には、「来週の月曜日にチー(わたしのこと)のためにxxを買うこと、区役所で証明書をもらうこと」などと書かれていました。日付を見ると、倒れる1日前のメモでした。 そのあと意識不明になって、そのまま逝ってしまった母。 最後まで、遠くに住むわたしのために、あれこれしてくれたと思うと、申し訳なくなります。 でも、自分が娘のために服を買っては送る(贈る)ときの気持ちを考えてみると、贈りたくて贈っている部分が大きいことに気がつきます。 別に娘に頼まれたり、乞われてしているのではなく、どこかで娘を応援したいという気持ち。こういうの、親心なのかしらね。 まあ、あんまり親という意識はないんだけれど、それでも少しはあるのかな。 母の遺品の中から、母の母、つまり母方の祖母が母宛に書いた手紙が出て来て、弟がこれをスキャンして送ってくれました。 文面からは、わたしか弟がまだ赤ん坊だった頃のことがうかがえます。 「オシメ二組、古いきれですから洗っている内にやぶれるでしせうが、まあしかたがない、ちゃんちゃんこ1枚と入れてあります」 祖母もまた、母親になりたての母のために、いろいろ気遣っては、送っていたようです。 戦後、数年たった頃の話で、「牛乳の配給券」とか「銘仙の布は闇で買うと2千円以上するけれど、配給切符をもっていけば千円以下で買える」とか、わたしにも想像できない生活の実態がわかって、とても面白い資料です。 手紙には祖父(母の父)についても書かれていて、「お父さんは夜の九時、十時でないとかへりませんので困ります。、、、30日の日曜日にそちらから返って(原文のママ)そのばん、十時半ごろにkさんとかへって来まして(祖父が)、ああお腹がすいたと云って酒一升とウイスキー四合でとうとう午前三時まで吞んでいました」 この祖父は、孫のわたしの目には、とてもおだやかなやさしい男性でしたが、昔はお酒飲みだったようです。 だから、母は酒飲みがきらいで、アルコールがほとんど飲めない父と結婚した理由の一つもこれだったらしいです。 とはいえ、母自体は父親ゆずりでアルコールにとても強くて、飲めないわたしはうらやましい思いをしました。 祖母が母に「配給券をもらってきなさい」と手紙でやりとりしていた時代(電話は自宅にあったはずなのに)から、母がわたしの子どもたちのために、赤ん坊のおむつをさらしで100枚も縫ってくれた時代、わたしが帰省する娘の赤ん坊のためにドラッグストアでパンパースを買う今の時代まで、あっと云う間に過ぎてしまいましたが、その間に世界はなんと大きく変わったこと! それでも、人間の基本的な生活、「食べ、寝る、排泄する」は変わらないですね。 Iなんたらやインターネットがどんなに普及しても、おむつは必要、人生の最初と最後に。あー。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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