テーマ:海外生活(7772)
カテゴリ:フライブルク
久しぶりに、町中での買い物の帰途にフライブルクで一番おいしいコーヒーとケーキの店、Kolben Kaffee Akademieに寄った。
2008年のブログで紹介した、セルフサービスの立ち飲みカフェ。 通い始めたのは、留学生時代のこと。当時は違う名前の店だったけれど、店内は今と同じだった。 友だちのクリスチアーネに誘われて、学食でのランチの後に食後のコーヒーとおしゃべりのために寄ったのがきっかけだった。 彼女がエスプレッソに砂糖をごっそり入れるのを、目を丸くして見たものだ。 当時は店内でも喫煙が許されていて、煙がもうもうと立っていた。 その後も、毎日の買い物の後には一人でも寄って、コーヒーとクロワッサン(ドイツのクロワッサンはパンみたいなのが多いけれど、ここだけはバターたっぷりで、とてもおいしい。フランスのよりもおいしいかも)を楽しんだものだ。 このカフェで話しかけられて、知り合った人もいるし、旧知の人に久しぶりに出会うこともあった。 それが、いつの間にか「コーヒーなら家で飲んだ方が安いし、時間も節約できる」というケチな習慣がついてしまって、ここ数年はほとんど入ったことがない。 今日はどういうわけか、足がひとりでにこの店に入っていった。 あらあら、値段が高くなっているわ。2008年には1ユーロ50セントだったエスプレッソやカフェ・クレム(ふつうの泡立ちコーヒー)が、今では2ユーロ10セントだって。ふつうのカフェの値段と同じになったというだけのことだけど。 1ユーロ40セントのクロワッサンは、今でもほんとうにおいしい。 クリスチアーネは、当時は23才の元気な学生だった。 鼻っ柱が強くて、女性なのに一人でヒッチハイクで移動したりして、親の援助も受けずにアルバイトで学業生活をたてていた。 男性に甘えることもなく、パートナーをしばることもなく、「one night standが後腐れがなくて、いいのよ」などと豪語していたっけ。 そんな彼女も、二年前に癌で逝ってしまった。わたしよりも10才も若かったのに。 彼女のやさしい元彼も癌で逝ってしまった。 彼女が生きている間に、コーヒーを飲みにここに来て、もっとおしゃべりをすれば良かったと悔やんでも、後の祭り。 そういえば、この店の当時の経営者も10年以上前に亡くなってしまった。 後を引き継いだ、経営者のパートナーもいつの間にか姿を見せなくなった。彼女も亡くなってしまったのかな。 コーヒーの値段だけじゃなくて、町の様子、店、人々や生活、自分の人生も時とともに変わってしまった。 それが当然、変わらないものなんてないんだね。 でも、この店のインテリアはいまだに変わっていない。当時から「ステキだな」と毎回見ているアールヌーボーの鏡の枠、コーヒー豆の麻袋を貼った壁は今もそのままで、ほっとする。 これも、いつかは消えてしまったり、変わってしまったりするのだろうな。 向かいにはMacカフェがあるし、斜め向かいにはスターバックがあるし、隣にはケーキ屋(兼カフェ)があるしで、生き残るのもたいへんそうだけれど、がんばって生存しつづけて欲しい、このカフェ。 なんたって、この町で一番おいしいコーヒーとケーキとクロワッサンが頂けるのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[フライブルク] カテゴリの最新記事
|
|