テーマ:食べ物あれこれ(50462)
カテゴリ:プライベート
父の勤め先とわたしが6年間通った中・高校はかなり近かった。
だから、夕方の時頃に、務めを終えた父と四谷駅で待ち合わせて、一緒に寄り道をすることがあった。あるときには動物店で大ヘビのゴアコンストリクターをいっしょに眺めて、二人でいたく感激して帰宅し、母に「ゴアを飼おうか」と言ったら、ふだんはやさしい母がこのときだけは声を荒げて、断固反対した。 ピッツァが日本に始めて「上陸」したときには、食べ物には好奇心満々の親子は、四谷駅近くに開店したレストランにすぐさま行ってみた。 その結果はまるで覚えていないから、あんまり感激しなかったんだろうな。 父と一緒ではなくても、たまに友だちに誘われて、ケーキ屋などを試してみることもあった。 いまでも印象に残っているのは、お茶の水駅のすぐ近くの地下にあった、とてもとても小さなうどん屋だ。 安いのに、食券を買ってカウンターで食べる形式ではなく、ちゃんとテーブルにすわってサービスを受ける。麺つゆはうす口醤油の上品な味。それなのにたしか、かけうどんは40円ぐらいだった。 この店を教えてくれた学友が、「ここはしっぽくがおいしいのよ」と言った。 それまでしっぽくを知らなかったわたしは、興味をかきたてられた。 父に「お茶の水の安いうどん屋さんには、しっぽくというのがあるんだ。とってもおいしいんだって」と教えたら、ふだんは老舗(蕎麦は薮、ウナギは伊豆栄、、」にたまーに行くだけで、名もないところには行く勇気がなかった父だったのに、このときは「行ってみようか」とのってきた。 しっぽくは、薄味の汁にひたる太い麺の上に、キノコ、鶏肉、野菜、かまぼこなどがきれいに盛られた一品で、これも上品でとてもおいしかった。 父は若い頃は気分屋でかんしゃく持ち、いつ雷や叱責が落ちるかわからなくて、家にはあんまり居て欲しくない人だったけれど、こういうデートのときには怖いほどやさしく、機嫌が良くて、食べ物に関しても母よりも話が合った(つまりは母よりも食物に関心が強かったということ)。 父の死後もう30年近くがたった。今頃になって、なんでこんなことを思い出したんだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017/01/04 11:43:31 PM
コメント(0) | コメントを書く
[プライベート] カテゴリの最新記事
|
|