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想像力が未来を切り拓く

想像力が未来を切り拓く

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2004/08/10
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今から14年ほど前の1990年に、米国東部にあるボストンとフィラデルフィアの二都市は、それぞれ2千万ドル(約22億円)もの寄付金を受け取りました。その百年前にも同一人物から50万ドル(約55百万円)の寄付金を受け取っています。この送り主は歴史上大変有名な人ですが、皆さんは誰か想像できますか?

答えは2百年前のベンジャミン・フランクリン(1706-1790)です。彼は米ドル紙幣にも載っているくらいですから殆どの方がご存知でしょう。初代大統領になったジョージ・ワシントンと並び米国独立革命に貢献した18世紀後半の政治家です。避雷針の発明や雷が電気であることなどを証明した科学者としても有名ですね。

そこで問題です。2百年前に一体彼はどんな遺言でいくら寄付したのでしょうか?


benjamin


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複利の力
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「お金から生まれたお金が、またお金を生んでくれる」フランクリンが大好きな言葉だったものです。

ベンジャミン・フランクリンは亡くなる1790年に、2百年間自分の寄付金を運用し続けるよう遺言しました。途中一回、百年後の1890年に公共事業の資金として50万ドルを引き出すことを認めただけで、原則として資金の引出しを封印したのです。そして、遺した金額はというと、5千ドルでした。

彼は長期の運用がどういう効果をもたらすかを知っていて、後世に向けて壮大な実験をしました。複利運用という実験です。

彼の遺した資金は、当時は主に貸付に利用されたようですが、返済された元本と利息をさらに貸付に回すことで複利の運用を継続したといいます。後年は貸付から証券投資に変わっていきますが、運用利息だからと言って頻繁にお金を引出してしまっては運用効果が減殺されてしまうのを知っていた彼の目論見は、2百年の時空を超え、2千万ドル(5千ドルの4千倍)という驚異的なリターンを産んだのでした。

複利とは単利との対比で使われるものです。要は元本から利息が生まれ、そしてその利息から孫利息が生まれ、孫利息からさらにひ孫(?)利息が、、、と延々と続く利回り計算です。

例えば、1万円を年10%で複利運用するとした場合、1年目の利息は1,000円です。しかし、2年目の利息は1,100円となります。当初の元本1万円からの1,000円に加え、1年目の利息で得た1,000円から100円の利息が生まれるからです。合計で1万2,100円となります。
3年目の利息は1,210円で合計1万3,310円となり、10年後には2万5,937円となります。

単利の場合では毎年1,000円の利息ですので、10年では合計1万円の利息となり、元本との合計で2万円にしかなりません。複利との差がはっきり出てきます。

利息・孫利息は金額として小さいので軽視しがちですが、時間の経過と共に奇跡的な威力を発揮するのです。この複利の奇跡を表現するのに、20世紀の天才、アインシュタインはかつて、人類史上最大の発見は何か?と訊かれ、彼の相対性理論ではなく、複利の発見こそ最大の偉業であると答えたと云います。

単利の計算では、10%の利回りで10年運用して2倍になりましたが、複利の場合にはどのくらいかかるかを暗算で出す方法があります。有名な「72の法則」と呼ばれるものです。数字の72を利回り(10%)で割った答え(72÷10=7.2年)が、2倍になるまでに要する年数となります。

単利と比べて圧倒的なスピードが見て取れます。「72の法則」を使って計算すると、4倍になるのは14.4年、8倍になるのに21.6年ですが、一方、単利ではそれぞれ40年、80年です。

「賢い投資家を目指して」(1)では、「時間を味方につける」がキーワードでした。大金がなくても、神様から平等にもらった時間を無駄にせず、長期間お金に働いてもらうことができれば、自分でも驚くような運用金額になること、そして、そのためには早くから始めるということを学びました。
その際、忘れてならない大事なカギは「時間を味方に、かつ、複利で」というポイントです。

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参考図書「お金を働かせる10の法則」バートン・マルキール(日本経済新聞社)








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最終更新日  2004/08/18 12:59:21 AM
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