3月は何かとご入用~退去のもう一つの恐怖
皆様こんばんは。夏野家経理部長、夏野素麺でございます。 さっそく、今週のテーマ「3月は何かとご入用~退去のもう一つの恐怖」に入っちゃいます。 3月は入退去のピーク。夏野家所有物件でも動きがありそうなので目を光らせております。 退去があるようなら、早急に手を打って空室期間をできるだけ短くしたいもの。この「空室の恐怖」が1つ目の恐怖。 もう1つの恐怖とは…退去があると、必ず行わなければならないのが敷金の精算。最近は敷金から原状回復費を負担していただくのもいろいろと議論があるようですが…それはともかく、敷金精算というのは会計上、損益の計算と実際の現金の動きとが入り組んでわかりづらいものとなっています。 それでは、例を挙げて見てみましょう。 例.3月22日退去の入居者様に関する情報A.月額賃料70,000円B.入居時に受領した敷金は140,000円、礼金は70,000円C.2月末に3月分として70,000円入金済みD.退去立会いの結果、入居者様負担の原状回復費は 30,000円で確定E.リフォーム代は総額で65,000円となった と、退去時敷金精算にはいろんな要素が登場するので一瞬混乱してしまいますが、ここは1つずつヒモ解いていきます。 1.賃料精算まずは賃料の過不足を精算します。2月末に70,000円の入金がありましたが、これは1か月分(31日間)の賃料なので、日割計算します。70,000×22/31=49,677円 <損益計算> 49,677円が3月分の売上となります。 一方、残金20,323円は一時的な過入金なので、 収益にも費用にもなりません。 <現金の動き> 残金20,323円を入居者様にお返しします。 2.原状回復費精算大家が負担すべきリフォーム代35,000円は大家の費用となります。 一方、入居者様の責任による原状回復費30,000円は入居者様に請求しますので、大家の費用という扱いにはなりません。通常、預かった敷金の中から支払うわけですが、入居者様から預かったお金の中から、入居者様負担の費用を支払うわけですから、大家の側では収益も費用も発生しないことになります。 ということで、 <損益計算> 大家負担リフォーム代35,000円のみが費用扱いです。 <現金の動き> 入居者様には、預かった敷金から入居者負担原状回復費を 差し引いた、140,000-30,000=110,000円 を返金します。 また、リフォーム業者に65,000円を支払います。 3.その他礼金は、最初の入居の時点で売上となってしまうので、退去時には考慮する必要はありません。 4.まとめ以上をまとめますと、 3月の損益は売上 49,677円費用 35,000円利益 14,677円 現金の動きは、・入居者様にお返しする金額 20,323+110,000=130,323円のマイナス・リフォーム業者に支払う金額 65,000円のマイナスとなりますので、合計195,323円のマイナスのキャッシュフローとなります。 そうです!損益計算でプラスなのに、キャッシュフローはマイナスという恐怖の逆転現象が起こり得るのです。 これに備えて、入退去のハイシーズンにはある程度の現金を確保しておくのが必要だと考えられます。 不動産賃貸経営では、こうした季節的な要因を含めた資金繰りが非常に重要だということを改めて考えさせられます。 さーて、来週の素麺日曜劇場は、素麺身の上話をお送りする予定です。 来週もまた、見てくださいね~!