伊東良徳のとき・どき★かるちゃ~

2011/01/22(土)20:10

僕と妻の1778の物語

映画(305)

 癌で余命1年と宣告された妻のために毎日1話の小説を書き続けたSF作家眉村卓の実話を映画化した「僕と妻の1778の物語」を見てきました。  封切り2週目土曜日、パルコ調布キネマの午前10時10分の上映は1割程度の入り。封切り最初の週末、相棒2(時計文字の2が機種依存文字で楽天ブログにはねられました)を蹴落とし、ソーシャルネットワークも抑えて堂々の興行成績1位を獲得した本作も土曜日朝はこの程度というところでしょう。  ロボットオタクというかキッチュなロボット玩具オタクのSE作家牧村朔太郎(草なぎ剛:漢字で書くと機種依存文字で楽天ブログにはねられました。そのため以下「つよぽん」)は、高校時代からのつきあいの銀行員の節子(竹内結子)と幸せな結婚生活を送っていた。ある日、腹痛があり、これはおめでたかと病院に行った節子は、虫垂炎の疑いで緊急手術を受け、その結果大腸癌が方々に転移していることがわかり、朔太郎は担当医から節子の余命は1年、5年生存率はゼロと宣告される。節子には必ず治ると知らせた朔太郎は、家事を手伝うこともできないと痛感し、医師に笑いは免疫力を高めることもあると言われたことから節子のために1日1話笑える小説を書くと決意する。朔太郎の小説を毎日読み続け、抗がん剤治療を受け続けて、節子は1年どころか4年を超えて生き続け、行けなかった新婚旅行の代わりに北海道に出かけるが・・・というお話。  基本的に泣かせる話なんですが、そして竹内結子の表情での表現や台詞で、きちんと泣かせてはくれるのですが、浮世離れしたSF作家の設定のためではありましょうが、つよぽんメインの場面が現実感・シリアス感を外してくれて、まっすぐに入り込みにくい。その外し方がいいんだという評価もあるのかも知れませんが、私は、主として竹内結子の表情で見せている映画かなと思いました。  笑える小説を書いているはずなんですが、出てくる話は、どちらかというと、笑えるというよりはどこか切ないエピソードが多い。特に第50話(朔太郎が旧型ロボットを守ろうとするが、新型ロボットに攻撃されてほとんど壊滅する話)なんて笑いようがないし、1人残った旧型ロボットとサヨナラする場面なんて、癌で闘病中の妻のためという設定で書くか?  毎日1話ずつ書き続けてたら、1002話目の時は、作家なら当然、僕はついにシェヘラザードを超えたって感慨を持つはずですが、そういうお話は出てきません。癌と闘う妻にそういうおちゃらけた話は・・・ということなら、つよぽんメインの場面のおちゃらけは何だって思いますけど。  癌で闘病中の妻のために毎日1話ずつ小説を書き続けるって、美談だとは思うんですが、小説を書くために別室にこもったりアイディアを拾うために外出したりで、長時間その妻を一人で放置するのってどうなんでしょう。特に終盤で、僕が寝ている間に妻に何かあったらと思うと眠れないという朔太郎。そういいながら病室の妻から離れて食堂で小説を書いたり廊下で考えてるのはなぜ?  3年以上も抗がん剤治療を受けていて髪が全然抜けない節子とか、臨終シーンでなぜか竹内結子の腹部に心臓マッサージをしている主治医(胸を触るなって言われたんでしょうかね)とか、いろいろ不思議な場面はありますが、全体としてリアル感が少ない映画だからまぁ仕方ないですかね。  でも、原稿用紙に手書きで毎日小説を書き続けるというコンセプトの映画で、日々書かれる作品の筆跡と、最終回に朔太郎が書く文字の筆跡が全然違うの、白けるなぁ。最終回も書いている手だけで顔は写ってなかったけど、最終回だけはつよぽんが自筆で書こうとしたということでしょうか。それなら登場する原稿は全部書くくらいの手間をかけて欲しい。

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