『自分の気持ちを伝えることの大切さ』
今日は、私が過去スイミングスクールで教えていた時に実際にあったお話です。生徒は、小学5年生の男の子Aくん。クラスは4種目が泳げ1時間で1200Mほど泳ぐクラスでした。このクラスは人数が多い(15名前後)ために泳ぎ込みの練習の時には私は上から練習内容の支持を出していました。ある時、私が「次は50M10本1分20秒サークル」と言った後、Aくんが私にこう言いました。「先生は良いよな!上で見ているだけで!」と・・・この日の練習は10分前に切上げ、Aくん以外は自由に遊ばせました。私は、その男の子を呼び二人でベンチに腰掛け話しました。Aくんは、さっき言ったことで怒られるのだろうと思ったのでしょう。怪訝そうな顔をしていました。私は怒る気など全くありませんでした。ただ、聴きたかったことがありました。Aくんにこう尋ねました。私:「Aくんは、プールはどうして来てるの?」Aくん:「小学校1年から通っているから」と答えました。私:「Aくん水泳以外に何かやってみたいスポーツはある?」Aくん:「ある!サッカー」私は、この言葉でさっき言ったAくんの言葉の本当の意味を理解しました。私:「それってお母さんかお父さんに言ったことある?」Aくん:「ない。」私:「どうして言わないの?」Aくん:「なんか言いずらい」私:「そっか。 Aくん、プールに通えているのはねお父さんが毎日一生懸命に 働いて、そして、お母さんもAくんのためにと思っているんだと」A君:「・・・・・・(沈黙)」私:「まず、その気持ちをお母さんかお父さんに伝えてみることはできるかな? サッカーをやらせてくれるかどうかは分からないけど その気持ちを伝えることは大切なことだよ。」Aくん:「・・・う~ん・・・でも言いずらい。」私:「そっか。 今日はお母さんは来ているの?Aくん:「うん。」私:「じゃあさ!こうしないか。 練習終わったら先生も一緒にお母さんのところに 言ってあげる。 そうしたら言えそうかな?Aくん:「・・・わかんない・・・」私:「大丈夫。 うまく言えなかったら先生が手伝ってあげる。」Aくん:「う~ん・・・わかった。言ってみる。」と練習か終わってAくんと一緒にお母さんののところへ行きました。お母さんは始めは、何かあったのかとびっくりした表情をしましたが。私から、Aくんがお母さんにお話したいことがあるようです。と切り出しAくんの背中をポンを押しました。Aくんは、サッカーがやりたい。とハッキリと自分の気持ち(意思)を伝えました。その後、私からお母さんに今日練習中にあったことそして、練習後に二人で話をしたことについて報告しました。ようやくお母さんは状況が理解でき、安心した表情を見せました。お母さんは、Aくんはずっと水泳が好きで通っているものだとばかり思っていた。でも、サッカーがやりたいと言ってくれて初めてそうでないことが分かったと・・・そして、帰ってお父さんと相談してみようと言って帰っていきました。翌週、Aくんとお母さんが私のところへやってきました。お父さんと3人で話した結果、ここまでがんばって続けてきた水泳だから、もうひとつ上の級(最上級)まで行ってからサッカーをやろうとAくんも納得の上で決めたそうです。その後、Aくんは練習の態度ががらりと変わり、目標に向かって毎週一生懸命に練習に励んでいました。3か月後に見事最上級に進級し、翌月退会し、新たな道サッカーへ歩んで行きました。最後の練習日には、お父さんもわざわざ会社を休んで見に来ていました。練習後にとてもいい表情をした両親とAくんを見て私も心が温かくなりました。会員を一人辞めさせてしまう結果になりましたが、嬉しい気持ちだったのを今でも覚えています。練習は本人が好ましくないことをさせなくてはいけないことも多くあります。でも、気持ちを聴いてあげることとは大切なことです。本人の思い通りにならないかもしれないけど気持ちを聴いてあげる。そのゆとりを私自身、いつも持ち続けたいものです。