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世の中の状況は刻々と変化する。かつて果実専門店が元気だった頃は、小さな産地でも品質が良ければそれなりに評価された。ところが最近では果実専門店がどんどん減っている。消費者へ果実を供給する主役はスーパーになってしまった。スーパーが果物を扱う条件は「安定した品質」、「安定した価格」と「安定した出荷量」だ。たとえばイオンやヨーカドーのような大手スーパーに対応するには産地も量を持たなければならない。大きな産地が俄然有利なのだ。そんな中で小さなtetywestの産地が考えた方法は1月集中販売だった。もちろん、東一へは早生の時期も12月にもミカンを出荷している。ただしその時期の出荷量はそれほど多くはない。
一口にミカンと言っても、品種によってその品質は異なっている。たとえば9月~10月に出回る極早生(ごくわせ)は糖度は10度にも達しない程度だが、その時期に酸度が1%より低くなる。11月に入ると早生(わせ)が食べごろになり、12月には中生(なかて)、晩生(おくて)というように次第に味の濃厚なミカンが登場する。年が明けて1月になると、高糖系(こうとうけい)と呼ばれる晩生の品種、青島(あおしま)が出回るようになる。この青島という品種は確かに糖度が高く美味しいのだが、大玉になりやすいという欠点を持っている。それに内袋が硬いのだ。 tetywestの産地の主な品種は「南柑4号」という従来からの晩生で、青島に比べると果実が小さい。このミカンを1月に集中販売するのだ。青島といえば静岡県が大産地だが、tetywestの産地は静岡より夏場の降水量がずっと少ない。この気象条件を生かして糖度の高いミカンを作り、青島に対抗しようという戦略なのだ。量が少ない産地は一番美味しい時期に集中的に出荷して量を確保する以外生きる道はない。 そのためにtetywestの産地では、農家は正月をゆっくりと過ごすことがない。年内の出荷が終わるクリスマス頃まで収穫と出荷に明け暮れ、その後年末までに慌しく正月の準備をする。その間にも来年用のミカンを選果場へ出荷しなくてはならない。市場の初荷は1月5日だが、選果場は1月3日に稼動し始めて初荷の荷造りをする。農家は1月4日からは毎日、それこそ必死で出荷に励むことになる。 東一で「1月のミカンはやっぱり『マル曽』だ」という評価を確立すること。これがtetywestの産地の生き残る道だと確信している。そして、もう10数年来この1月集中販売をつづけているのだ。定善(さだぜん)のT嶋さんから「年明けのミカンに期待しています」という話があったのにはそういう経緯がある。 続いて、営農課長から今年の晩生ミカンの品質調査データ、7月~10月の降水量データが報告される。この2つのデータは毎年仲卸にお知らせしている。主要ミカン産地の降水量のデータは特に5年前から付け加えている。tetywestの産地の品質調査結果と各県の降水量を比較すれば、その産地のミカンのおおよその品質が予想できるからだ。降水量は各地気象台のアメダスデータを使っているが、常に「マル曽」が日本中のミカン産地の中で一番雨が少ないという結果になっている。こういうデータを産地側から公開できるのは一番だという自信があるからだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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