《 幸せのひろいかた 》  フェルトアート・カントリー木工 by WOODYPAPA

2006/08/27(日)06:55

第22回「2001年宇宙の旅」

青春時代「アメリカンシネマ」(102)

引き続きキューブリック。 今回は、あのSF映画の金字塔「2001年宇宙の旅」 1968年4月公開です。 人類初の月面着陸は同じ年の12月ですから、映画のほうが先。 撮影自体は64年開始ということですから、東京オリンピックの年。 僕はまだ小学生でした。 キューブリックは美術担当として手塚治虫に依頼を出したのですが、多忙に付き実現しませんでした。 「虫プロ」全盛の頃かなあ。 公開当初、この作品は難解に付き、世界中で不評を買ってしまったのですが、なぜか日本だけには受け入れられました。 日本人は「鉄腕アトム」を読んでいたので、科学知識の基本が備わっていたからですね。 「宇宙家族ロビンソン」ぐらいの認識では辛いかもしれない。 というぐらい本格的な‘宇宙映像’でした。 いまでこそ、スペースシャトルの映像などで、宇宙空間・無重力映像は常識的に理解しています。 でも、あの頃は頭では理解していても、実感としてはつながっていませんでしたから。 だって、‘上・下’というものがなくなっちゃうんですよ。 ‘地動説’に匹敵するほどの転換です。 それで、物語はというと、説明が難しい。 話の柱に謎が多すぎて、しかも哲学的で、象徴的で、神学的で、神学批判的? 頭とお尻をとってしまうと、ひとつのストーリーが残って、そこは面白いのですが、前後とのつながりが厄介なのです。 撮影当初は、科学者の解説やナレーションで説明を入れていたらしいのですが、出来上がったら、それがすっぱり切り落とされていたのでした。 同時に書かれたアーサー・C・クラークの小説には細かくつじつまがあわされているようなので、興味のある方は合わせてお読みください。 でも、その深いところは何にも解らなくても、宇宙の映像はまったく素晴らしいものです。 ‘光’というものが、地球上と宇宙空間とでは、空気がないということで、ぜんぜん違うんですよね。 僕の場合、月面着陸の本物の写真を見てまず驚いたのですが、映画はちゃんとそこまで計算してありました。 宇宙飛行士の談話などで、地球が美しいとよく聞きますが、クリアーな光が反射しているからなんですよね、きっと。 物語の真ん中のわかりやすい部分は、人間‘ボーマン船長’とスーパーコンピューター‘HAL9000’との戦いなのですが、このコンピューターやたらでかい。 当時まだ‘インテル’はなかったから、‘インテル入ってない’んですね。 つい最近まで変じゃなかったから、現実の進歩の速さもびっくりです。 謎の部分の一つは‘モノリス’という真っ黒な直方体の物体なのですが、続編の「2010年」で解き明かすこころみはされています。 でも、さっぱり解りませんでした。 そして、ラストに登場する‘スターチャイルド’ このメッセージを読み取った人は、きっと素晴らしい人になれます。 スピルバーグやルーカスは読み取ったのでしょうか。

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