《 幸せのひろいかた 》  フェルトアート・カントリー木工 by WOODYPAPA

2006/12/20(水)10:07

第80回「エイリアン」

青春時代「アメリカンシネマ」(102)

リドリー・スコットの最高傑作は、やはり「エイリアン」 ’79年リドリー・スコットを一躍有名にしたSF大作です。 この年は「スーパーマン」や「スタートレック2」などアクション系SF大作が繚乱した年なのですが、そんなSF物とは明らかに一線を画しています。 見たことも無い、陰湿な宇宙船と惑星、そしておぞましいエイリアン。 初めて見たはずなのにすごいリアリティを持っています。 絵空事を楽しんで見ているわけにはいきません。 すっかり入り込んでしまいます。 分類としては、“ホラー映画”に収めた方がいいでしょう。 すんごく怖いです。 その時のキャッチコピーは 《宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない》 逃れられない密封された空間。 助けを期待できない状況。 人知がまったく無力となってしまう強大な敵。 ひとり、またひとりと仲間が餌食となり、さらに裏切り者まで登場し、完全に主人公を追い込めます。 その段取りの鮮やかなこと。 主人公リプリー(女性です)の恐怖が、完全に見るものに乗り移ってしまいます。 希望の芽を次々とつぶして、絶望の淵まで追い込む手法は見事です。 ホラー映画のお手本でしょう。 僕がホラー系のシナリオを書くとしたら、このシナリオを分析して、完全にパクリに入るでしょうね。 それだけ見事な設計図です。 今でこそ、女が戦うという図式は珍しくないのですが、当時は画期的でした。 これを機に「グロリア(ジーナ・ローランドのオリジナルの方)」などの戦う女物が出始めます。 僕の思うに、当初は「暗くなるまで待って」のオードリー・ヘップバーンのように、恐怖感を高めるために、本来弱いはずの女性を設定したのではないでしょうか。 でも、シガニー・ウェーバーは弱くは無かった。 貨物船の乗組員だから、あまり弱々しくても、色っぽくてもダメなので、彼女が選ばれたんでしょうが(とにかく荒くれ男と長い旅をするわけですから)、それにしてもシガニーは強すぎました。 男共があっけなくやられてしまう敵に、果敢に挑み、互角に戦います。 なんたってシガニーは180cmの巨漢で、弱い女が切羽詰って戦う羽目になったという感じではないんですね。 最期に満を持して大将出陣、真打登場ってことで、女性といってもまだ特殊な女性でした。 この後「エイリアン2」が作られ、知り合いのタッチャンは、第一作を見ないで「2」を見てしまったのですが、最後までシガニーが女性だと気づきませんでした。 「2」だけ見たらそうなるかもしれない。

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