2007/01/10(水)09:39
第90回「ジョーイ」
アメリカンフットボールの映画といえば、忘れてはいけない「ジョーイ」
「天国から来たチャンピオン」でウォーレン・ビーティが買収する、“ロサンゼルス・ラムズ”のランニングバック、ジョン・キャパレッティとその弟ジョーイの話です。
こちらは実話。
ジョンがペンステ-ト大学の学生の時、11歳の弟ジョーイは白血病に罹りました。
“白血病”は今では骨髄移植で渡辺謙のように治る可能性のある病気ですが、あの頃は不治の病です。
去年はカンニング中島氏が、入退院を繰り返して力尽きました。
その前は本田美奈子さん。
夏目雅子さんの命を奪ったのも“白血病”です。
昔から、お涙系定番で“白血病”は使われます。
「世界の中心で、愛をさけぶ」が新しい所でしょうか。
山口百恵さんの「赤い疑惑」もそう。
僕のメモリーシーンではやはり「ある愛の詩(第12回)」
ドラマで“白血病”というフレーズがでれば、イコール“死”
“死”は悲しく、それを見送る人は、その人を最も愛している人であるだけに、本当に悲しくて辛い。
でも、本当に辛いのは、病気と闘っている本人です。
だから支えが必要で、回りの人は出来る限り希望の支えになりたいと願います。
兄のジョンは弟のために、アメリカンフットボールにまい進します。
弟ジョーイが兄の活躍を希望として生きているから。
ランニングバックと言うポジションは、ボールを抱えて前へ前へと走っていき、最後はタッチダウンと言う得点を取る役割です。
当然、花形ポジションなのですが、アメリカンフットボールという競技は花形ひとりでどうなるというスポーツではなく、複雑な要素が絡む物なのですが、ジョンはお構いなしに走ります。
ジョーイのために。
ある日、ジョーイの誕生日にタッチダウンをプレゼントする約束をします。
それも、4つ。
不可能に近い困難な約束。
野球で言えばホームラン4本、サッカーならハットトリック・プラス・ワンの4ゴールでしょうか。
でもジョンは走ります。
そしてやり遂げます、フォータッチダウン。
本当の話です。
更に走って走って、ついに学生最優秀選手のハイズマントロフィーを獲得してしまいます。
そしてドラマのクライマックスはトロフィー授賞式のジョーのスピーチ。
学生最高の成績を残したジョーは言います。
食事や雑談でざわつく会場の客に向かって。
「僕が戦うのは、フットボールの時だけです。
でも、弟のジョーイは毎日不治の病と闘い続けています。
このトロフィーは、ジョーイが受け取るべきです!」
嬉しそうなジョーイの顔。
ああ、今も書いていて、涙が止まりません。
映画はエンドマークが出ても会場の明かりはしばらくつけませんでした。
涙を拭くための時間を用意していたのです。
ジョンはその後、冒頭に書いたロサンゼルス・ラムズに入団し、この映画公開の後、日本にも来日しています。
ジョーイはその時には、残念ながら天に召されていました。